2.悪役令嬢役(予定)と言われました…マジ卍っ‼
◆パルセノス侯爵邸 リオン(15歳)視点2
カゲ丸と意思疎通が出来るようになって、初めてパルセノス家にやって来た。もちろん報告・連絡・相談をする為だ。決して遊びに来たわけじゃない……決して…
「きゃんきゃん!」
「わんわん!」
「くう~~ん」
「カゲ丸と違って可愛い過ぎる」
3匹のお出迎えに悶絶気味だ…
『…どういう意味だよ』
パルセノス家にはカゲローとリコスの子が3匹残っている。
ミスティのペットの【クロミ】 カゲロー似の真っ黒なメス。
弟のハロルドのペット【マシロ】 リコス似の真っ白なオス。
そして、八割れ模様のメス【コカゲ】 この子は内向的で貰い手が見つからなかった…というか、それらしき人間が来訪すると、隠れて出てこないそうだ。俺の場合は対象外らしく、いつも歓迎してくれている。
「ワンワン(お前ら、ミスティとハロルド呼んで来い。出来たらリカルドも)」
「きゃん!(わかった~)」
「わん?わん!(ハルも?わかったよ)」
カゲ丸に命令されて、クロミとマシロが駆けていく。
そっか、何か子犬の間でカゲ丸がボス的な位置にいるな~と思っていたけど…中身32歳だったからか。謎が解明したよ…と残されたコカゲの頭を撫でる。ご満悦だ…かわいい……今からでもカゲ丸とチェンジ出来ないかな…
『…リオン。変な事考えてないよな?』
するどい…
「やぁリオン。今日はどうしたんだ?」
クロミに押され気味のリカルド伯父上と、姉弟二人がやってくる。
「リオ兄様。コカゲは確かにかわいいけれど、あげないですわよ~」
相変わらず野生の勘が働く娘だな…。
「リオ兄様!来週から学園ですね!ご入学おめでとうございます!」
「ありがとうハロルド。9歳なのにしっかりしてるね。今度お姉さんの紅茶に君の【爪の垢】入れといて」
ミスティ・パルセノス侯爵令嬢。俺の2歳下の13歳。
リカルド伯父上似のこげ茶色の瞳に、ピンク色の髪と可愛い系の容姿はミリア伯母上似だ。
【光・風】の属性持ち。
彼女が赤ん坊の頃からの付き合いで、今でこそ淑女に目覚め若干おとなしめになってはいるが【光】のせいなのか、伯母上(異世界転生者)似の性格なのか、とにかく元気で明るい。
ずっと俺の【婚約者候補】と言われているんだが……俺の中では【妹枠】なんだよなぁ。
「爪の垢ってなんですの!ハル!爪の中までキチンと洗って無いんですのっ!?」
ムキ~~っとなっているミスティはさて置き、リカルド伯父上も交えて【カゲ丸の情報】を話す事にした。
伯父上はずっと乙女ゲーム【聖女の祈り天まで届け】の世界だと思っていたそうで、カゲ丸の言う【if小説】のこれまた【スピンオフ】という事実に困惑気味だ。(あと年齢的な事も…by[おまけ])
「精霊に古代竜に…魔王?この世界では初耳だな」
「俺も【魔王】という存在は聞いたことがありませんね。伯父上の前世には居たのですか?」
「いや。前世でも『実在はしない』というか、魔法も魔王も魔獣も竜も前世では空想の産物だ」
驚いた。魔法やこの子達【魔犬】もいないんだ。 コカゲをナデナデ…
「精霊もいないし…いやまて、子供には妖怪とか見えたりしたっけ??」
と、ひとりブツブツ呟いている。
「ねぇ…カゲ丸ちゃん?わたくし【ミスティの断罪】って…何ですの?」
ミスティに詰め寄られて、カゲ丸がたじろいでいた。うん、圧がツヨい。
◆パルセノス侯爵邸 ミスティ(14歳)視点1
リオ兄様がカゲ丸ちゃんとやって来て、突然不思議な話を始めたの。
さすがのお父様も困惑してるみたい…。
わたくしの両親には、普通の人には無い『前世の記憶』があって、ハロルドもわたくしも色々聞かされて育ったので、大抵の事には動じないつもりだったのですけど……
「ねぇ…カゲ丸ちゃん?わたくし【ミスティの断罪】って…何ですの?」
「カゲ丸が言うには、作中の俺がヒーロー(主人公)で対になる【ヒロイン】にミスティが嫉妬して、いろいろやらかすらしい。ほら、前に聞いた【セイテン】では俺の母上がその役だったとか何とか?【悪役令嬢役(予定)】ってヤツだろうな」
「悪役令嬢役!? マジ卍っですわっ‼」
「……姉上。何でちょっと嬉しそうなんですか。淑女の猫が逃げてますよ」
ハルに呆れられていますが、だってだって!憧れのエステル叔母様と同じ役(あくまで予定)ですのよ!
ハルはお母様と同じピンク色の髪にグレーの瞳。お父様曰く『少年だと勘違いしていたミース(後のミリア)にそっくり』なのだそう。
余談ですが、わたくしの名前はその『ミース』に因んでいるとか。
確かにお母様に似て『可愛い』と言われるのも嬉しいとは思うのですが…やっぱりお父様と同じ黒髪がよかった!
エステル叔母様とも同じだったから……でも
「エステル叔母様と同じ役目なんて!最っ高~ですわぁ!」
◆パルセノス侯爵邸 カゲ丸視点2
「エステル叔母様と同じ役目なんて!最っ高~ですわぁ!」
ガッツポーズのご令嬢…あれ?ミスティってこんなキャラじゃなかったよな。
「あら…でもどうしましょう」
「どうしたミスティ?」
「わたくし、リオ兄様に恋情は持ってませんの。どうやって【嫉妬】すれば…」
「…アレ?何か思いも寄らない場所で勝手にフラれたのか?俺は?」
「いやだわ、リオ兄様!婚約者候補のお話はあくまでも【虫除け】ですもの!お互いWinWinでしょう?」
アハハハと淑女らしからぬ笑いのミスティ。
小説では、それこそエステルと同じ【風・闇属性】だったのに。何故【光】に変わっているんだ?
そのせいでか性格設定【傲慢・高飛車・横柄(略してG・T・O)】が破綻しているじゃないか!
まったく!リオンといいミスティといい…逸脱が甚だしいぞ!
……けど何だろう…ちょっと安心している部分もあるんだよなぁ。
[おまけ]~死語…硬直~
リカルド「ミリア~。ミスティに『マジ卍』教えただろ?」
ミリア 「うん。つい口癖で出ちゃった」(てへぺろ)
リカルド「…確かもう【死語】だったと思うけど」
ミリア 「‼マジ卍っ‼…(固)」




