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28.交流パーティー 前日

◆パルセノス侯爵邸 ミスティ視点7


 今日は三国会議の五日目で、各国の専門家の方々がお勉強会をなさるそうです。


 わたくし達は本日特に予定は無く、明日の交流パーティーの準備をしておりますの。


 寝耳に水の婚約でしたから、急遽用意したドレスはわたくしのピンクの髪より少し濃いピンクで、アレク殿下のプラチナブロンド色の糸で出来る限りの刺繍をお願いいたしましたの。王妃様のご発案ですわ!


 お飾りはアレク殿下が、ブルーサファイヤの首飾りと耳飾りを贈って下さいましたので、戦闘準備は万端なのです。どんとこいなのですわ!


「姉上…鼻息が荒いですよ」


 ハルが今のわたくしを見てそう言いますが、リオ兄様に視察の日の話を聞いた時は、もっともっと荒かった筈ですわ!

 あろう事かテル-にわたくしを裏切らせようとするなんて!



「ミスティもハルも、ちょっと話を聞いてくれるか?」

 突然来られたお父様に付いて、執務室へ向かいます。


 お父様の執務室でしなくてはならないお話……お父様のインク壺にタコ墨を混ぜた事がバレたのかしら?…ドキドキ…


 執務室に入ると、何故かテル-とシュッとした貴婦人がいらっしゃいます。


 ヨハン宰相様の奥様、ローズマリー伯爵夫人ですわ!元竜騎士で、今でも飛竜に乗られているとか…かっこよすぎますわ~♪


「実は、視察日の件で陛下たちと話し合ってね。テル-がペリステラ伯爵家に養女として迎えられる事になったんだよ」


 お父様がリオ兄様からお話を聞いて、その日のうちに陛下に直談判に向かわれたのは聞いておりましたが、皆さまとてもお仕事が早いですわ!

 わたくしなんかのん気に王妃様と、ざまぁ小説の『悪役令嬢談義』に興じておりましたのに…。


「あ…あの、わたしは元平民です!今も平民になってしまってますが…伯爵令嬢なんて…とてもとても」


 テル-は男爵家の使用人だった母親と、ずっと平民として暮らしていたそうです。

 引き取られた筈の男爵家も今は無くなり、また平民に戻っていると聞きましたわ。

 波乱万丈な人生ですわ!


「うちのミリアも、元々は平民だよ。子爵家の養女になって…今は侯爵夫人だね」

 そう!お母様も平民だった実の父母が亡くなって、父の兄に引き取られたと仰っていましたわ!


「可哀想に…苦労したのね。元の身分なんて気にする事無いわ♪うちに来たらそれはもう可愛がって♡可愛がって…ウフフ…ずっと【娘】が欲しかったのよね~♪」


 ペリステラ伯爵家にはお子様がシリウス様しか居ないのです。


 幾度か【養女】を引き取る機会はあったらしいのですけれど、伯爵家にはシリウス様のペット兼騎竜の【光竜ルチア】が居て、それを皆が怖がって…結局纏まらなかったそうですわ。


 テル-は【竜】を怖がらないかしら?

 あと、タコ墨の事では無かったからほっとしましたわ!




◆パルセノス侯爵邸 テル-視点1


 雇用主のリカルド侯爵様から執務室に来るように言われ、中にいらした山吹色の髪のご婦人にお茶をお出ししました。


 席を外した侯爵様が戻られるまで、ご婦人と話をする事となりまして・・・


「テル-殿は、動物や魔獣は大丈夫そうね♪」

 この部屋にいるコカゲを見てそう仰いました。


 わたしは生き物が好きだ!特に魔犬は別格で、コカゲはわたしの意を酌んでくれるし、カゲローもカゲ丸もわたしを助けてくれたから…。

「…はい。大好きです」


「じゃあ、竜クラスはどうかしら?わたくしの家には飛竜がいるのよ。白くて可愛い女の子でルチアって言うのよ♪見たくない?」

「み!見たいですっ!」

 被せ気味に答えてしまった…『あらまぁ』とクスクス笑われるご婦人。はずかしい…。



「実は、視察日の件で陛下たちと話し合ってね。テル-がペリステラ伯爵家に養女として迎えられる事になったんだよ」

 ミスティ様とハロルド様を連れて戻っていらした侯爵様のお話が、一瞬頭に入って来なかった。


 ?わたしが養女??えっと…今度は……は!伯爵家ぇ~~~!?!?


「あ…あの、わたしは元平民です!今も平民になってしまってますが…伯爵令嬢なんて…とてもとても」

 無理です!無理無理っ‼‼


「うちのミリアも、元々は平民だよ。子爵家の養女になって…今は侯爵夫人だね」

 侯爵様!アハハじゃありません!


「可哀想に…苦労したのね。元の身分なんて気にする事無いわ♪うちに来たらそれはもう可愛がって♡可愛がって…ウフフ…ずっと【娘】が欲しかったのよね~♪」

 えっ!?もう決定事項なんですかっ!?


「ところで、テル-は【竜】が怖くは無くって?」

 ああ・・・さっきの伯爵夫人のご質問って、ソレだったんだ…。





[おまけ]~世紀の大実験~


リカルド「ところで、この間からインク壺が生臭いんだが、何か知ってるかな?ミ・ス・ティ~?」


ミスティ「な!何のことでしょう?オホホ…」


ハロルド「姉上がタコ墨混ぜてましたよ」


テル- 「世紀の大実験だと仰ってました」


ミスティ「う、裏切り者~~~!」


 この後、アリサが召喚されたのは言うまでもない・・・





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