26.三国会議 視察の日②
◆ヴァリオス王国郊外 リオン視点20
『やべぇ!リオン!テル-がやべぇ‼早く助けに行け!』
いきなりカゲ丸が、俺の影から飛び出してきた!皆びっくりするだろう!心臓に悪い…
『テル-がカサンドーラの皇太子に絡まれてるんだ!』
いつになく焦るカゲ丸。なるほど…理解した。
周囲を見渡し、すぐそこに居たハロルドにアナ王女のエスコートをバトンタッチする。
「ハロルド!アナ王女の騎士に任命する!頼んだぞ!」
「は!はい!拝命しました!」
ピシッと敬礼で答えるハロルド…頼もしい。
「…ハロルドきゅぅ~ん♡」
「(コソッ)アナ様…声に出てちゃってますよ」
『じゃあ!いくぞ‼』 ”とぷん” 影に沈む・・・
次の瞬間には目の前に小屋があった。角の向こうから声が聞こえる…
「お断りします!愛人なんて気持ち悪い!それに、恩人のミスティ様を裏切れとか馬鹿馬鹿しい!」
テル-の声だ!
『ミスティを裏切って情報を寄こせって!そしたら自分の愛人にしたやるって言ってたぞ!』
カサンドーラめ…初日の公爵令嬢がらみのヤツか…ミスティを婚約者から降ろす為に、テル-を巻き込もうとするなんて…ゲスいにも程があるぞ!
小屋の角から飛び出すと、腕を掴まれた状態で抵抗するテル-とニヤつくビクトル皇太子が居た。
なぜだか無性にイライラする……落ち着け…
「ビクトル皇太子…何をされているのでしょう?」
いつもより低めの声で牽制する。テル-は俺を見てホッとしているようだ。
「リオン公子…だったかな?いや何、可愛い子を見つけたから口説いていただけだ。この国も恋愛は【自由】だろう?」
「違います!私にミスティ様を裏切れって!」
「うるさい黙れ!いい加減なこと言うな!平民が!」
本当にこれが次期皇帝なのか?ヤバすぎるだろうあの国…
言い合うふたりの近くに行き、ビクトル皇太子の手からテル-を奪う。
「彼女は私の将来に関わる(らしい)人なので、こういった事は止めて頂きたいですね。次もし何かあったら、手加減出来そうもないのでご注意を…」
と、周囲に冷気をまき散らす。その冷気に充てられたのか、皇太子の顔は真っ青になっていた。
「では行こうか。テル-」
「は…はい!」
急いでこの場を立ち去る。後ろで舌打ちが聞こえたが、追って来る事は無さそうだった。
「あ…あの!リオン様!助けて下さりありがとうございました!」
声を掛けられ、ハタと気付く…手を握りっぱなしだった。
「い…いや!カゲ丸に呼ばれて…その、無事で良かった」
「はい…」
何か照れる…こういうのは慣れてないんだ。
『ヒュ~~♪ヒュ~~♪』
うるさいぞ。外野!
◆ヴァリオス王国郊外 カサンドーラの面々
「ちょっとぉ、な~にしくじってるのよ。簡単だって言っといて~」
イザドラは一部始終を陰から見ていた。テル-に裏切らせるのも、もとは彼女の提案だ。
邪魔なミスティを醜聞で排除して、傷心のアレクセイにすり寄る作戦だったのだ。
「邪魔が入ったんだ。仕方ないだろ!」
「でもそうね~…リオンって公爵家の嫡男でしょ?あっちでも良いかしら。王太子もリオンも美男子だけど、どっちかって言うと黒髪の方が好みなのよね~」
ビクトルは心の中で『お前はあのふたりの好みじゃないだろうがな』と思っていた。口には出さない。出したら最後、キーキー余計に煩くなるからだ。
20歳になっても自国で縁談が纏まらなかった…推して知るべし…だ。
「さっきの使用人の女と深い関係が有りそうだったぞ。無理じゃないか?」
先程の事を思い出す。深い関係じゃなけりゃあの冷気は出さんだろう…。
「たかが使用人でしょ~。平民か下位貴族じゃない。あたくしの魅力に気付けば、あんなの捨てちゃうわよ。ウフフ♪ 王太子も同じ、あの小娘がいなかったらあたくしを選んでいたに違いないんだから~」
頭が花畑とはこういうヤツの事を言うのだろうか…とも思う。
「あたくしをめぐってふたりが争ったりして~ああ、美しいって罪ね~♪」
イザドラの妄想はいつまでも尽きる事が無いのであった。
[おまけ]~ライラはお見通し~
ハロルド「大役を任されたからには、絶対にアナ殿下を守り切ってみせます!」
アナ殿下「まぁ!期待しておりますわ(わたくし萌え死ぬかも…)」
ライラ 「(コソッ)アナ様。骨は拾います」
ハロルド「離れないように手を握っていても宜しいですか?」
アナ殿下「わかりましたわ…(もうこの手は洗わない…一生洗わない…)」
ライラ 「(コソッ)王妃に云いつけますよ」
ばっちいのダメ絶対‼




