25.三国会議 視察の日①
◆ヴァリオス王国郊外 リオン視点19
三国会議三日目。
今日は郊外の、路線拡張の工事現場に来ている。
リブラリア王国のコンコード陛下が、鉄道についての視察を切に希望されていたからだ。
「誠に素晴らしい!この発想はパルセノス侯爵のものと聞きましたが、いったいどのような経緯で…」
あまりの熱意にリカルド伯父上もタジタジの状態だな。
実際のところ、鉄道の責任者はもう伯父上ではないのだが、発案者という事でパルセノス家は全員かりだされているみたいだ。
ミスティはアレクにエスコートされているな。お、今日は侍女としてテル-も連れて来たのか。外は何かと不都合があるからな。本日俺がエスコートしているアナスタシア殿下にも、護衛兼侍女としてライラが貼り付いてるし…。
「では実際の工事風景をみて頂きましょうか」
ステファン陛下が促し現場に足を踏み入れると、そこではアンドレア前王が魔法を揮っていた。
「ようこそわが”工事現場”へ!しっかり見ていってくだされ」
「はい!はいっ!」
現役時代より日に焼けた逞しいアンドレア様に、コンコード陛下は興奮気味に頷いていらっしゃる。
一方、後方でつまらなそうに付いて来ているカサンドーラ帝国の面々。興味も無いのに何をしに来たのか……まぁ大体見当はつくけど。
昨日魔素酔いで千鳥足のジジさんが、帰る前に声を掛けてくれたんだ。
魔素が消えた理由もその時教えてくれた。『気を付けよ』そう言い残してフラフラ帰って行ったけど…無事帰れたかな?何処かで竜に戻って寝てないか心配だ……。
アンドレア様が相変わらず『こうして!』『こうだっ!』とやっていらっしゃるのを見て『すごい!』『素晴らしい!』と合いの手を入れるコンコード陛下。それを微笑ましく見ているステファン陛下とアレク達。
時々ミスティの『ふわぁ!』『ひょぇ~』も聞こえるが、それは淑女としてどうなんだ……ディアナ王妃が扇子に隠れて肩を震わせているぞ。…アレク、注意しろ!嬉しそうに見るな!…まったく~。
「ミスティがお兄様の婚約者に決まってから、お兄様は表情が豊かになりましたわ」
隣にいるアナスタシア殿下が仰るには、普段俺が見ない【完璧な王太子】を演じるアレクは、笑顔でも本心は笑っていないのが普通だったそうだ。
「王太子の周りには、心を許せる人間があまりに少ないのです。弱いところ等見せられませんし…ですから、本当のお兄様を知るリオンやミスティには意外かもしれませんね」
「アナ殿下は?…大丈夫なんですか?」
彼女も王族で唯一の王女様……故に…と心配していると、一瞬年相応のキョトンとしたお顔から、俺の心配を察したのか、
「わたくしにはライラがおります。大丈夫ですわ」
と、クスクス笑って仰った。
◆ヴァリオス王国郊外 カゲ丸視点16
リオンに付いて来たものの、やる事が無いのであちこちフラフラしていると、目の前を【ヒロイン】ことテル-が横切っていった。
今日ミスティの侍女として来ていたのか……
あれから何度かパルセノス家に行って確認してみたが、ミスティに虐められる事も無く、楽しく過ごしているみたいだ。ミスティもアレクと婚約したしなぁ。改編に次ぐ改編ってやつだ。
でもって、相変わらず何故かリオンを警戒しているが…何でだ??イケメンアレルギーとかなのか??
そう思ってなんとなくテル-を見ていたら、ひとりの女に声を掛けられついて行ってしまった。
『ん?あの女は・・・』
なんだか悪い予感がして、そっと後をつける事にした。
「連れてきたわよ♪ 後はお願いねぇ」
女は現場にある人気のない小屋の影に、テル-を置いて去って行く。
「わかったよ」
そこにはカサンドーラ帝国の皇太子ビクトルが待っていた。
「あ…あの?急病と聞いたのですが…患者様は?」
どうやら光魔法で治療が使えるテル-は、まんまと騙されてここに呼び出されたんだな。
「患者はこの俺だ。恋煩いってヤツさ。きみに一目惚れしたから、愛人にしてあげよう!そう思って呼び出したんだ。皇太子の愛人だよ。光栄だろう?」
げ……気持ち悪いヤツだな。誰か呼んでくるか?
「君はアレクセイの婚約者の侍女なんだろう?彼女の悪癖や弱みの一つや二つ知ってるんじゃないかな?それを教えてくれたら、俺の愛人にしてやろう。どうだ?」
やべぇ!やべぇ!リオン!リオン呼んでくるからな!
オレは一気にリオンの影まで飛んだ‼
[おまけ]~引退後はやっぱりね~
コンコード「こうっ‼ですか!?」《ボガガガッ‼》
アンドレア「うむ!そしてこうっ‼」《ドゴゴゴゴーーーッ‼》
コンコード「はいっ‼」《ドゴゴゴゴーーーッ‼》
アレク 「何で通じるんだ…あれで……」
ステファン「あの人の第二の人生が決まったな」




