23.三国会議 エキシビジョン①
◆エキシビジョン会場 リオン視点17
俺たちは今、アレクが出場するエキシビジョンの会場に来ている。普段から闘技やイベント事で使われる、とても大きな円形の競技場なのだが….。
「ふぉふぉふぉ~儂にはちと窮屈じゃがのう」
…何で『この竜』は俺の隣に座っているのだろう?ここ一応は公爵家専用の貴族席なんだけど?
「ジジ殿は、リオンの『キャンプ友達』だとか。いつも息子がお世話になっております」
「リオンはソロキャンプの事、何も話してくれませんの!是非お話をお聞きしたいですわ!」
「ふぉふぉふぉ。よろしいですとも~」
何かすっかりうちの両親と打ち解けてるし……
「ジジさん。なんで来たんだ?」
「弟子の活躍を見たくてのう。アレクは何処じゃ?」
「まだ控室だと思うよ。アレクの出番は最後だから…」
各国の出し物の中で期待値が高いのは、アレクの魔法披露と【光竜】に乗った竜騎士の模擬バトルだ。
そのバトルが今始まろうとしている。
「ほぉ~。人間は面白い事を考えるのう。只の飛竜に光属性を付与するとは…実に面白いのう」
「ジジさんは、怒らないのか?『人間が勝手な事しおって!』とか?」
ジジさんは同種族が人間に勝手に弄られて、腹が立ったりしないのだろうか?
カゲ丸が前に言っていた『古代竜は人間が魔獣達の世界を脅かす事に怒る』に当てはまったりしないのだろうか?
「何故じゃ?あの光属性の竜達は、とても楽しそうにしておるぞ。それに儂の養い子は人間じゃが、常に儂を楽しませてくれるぞい。腹の立つ事などありゃせんわい。ふぉふぉふぉ」
そっか…。なら良かった。ジジさんやその仲間たちと戦うのは嫌だから…。
てか、ジジさん養い子が居たんだ。前に聞いた【家族】って人間の子供だったんだな。
『リオン!リオン!あの光竜に乗ってる竜騎士って、この国の宰相の息子だよな!』
竜騎士のバトルに夢中のカゲ丸は、カッコいいなぁ~と目を輝かせている。
「ああ、シリウス・ペリステラだな。宰相ヨハン殿の息子だ」
シリウスは俺の一つ年下で15歳。頭脳は宰相に似てとても優秀。母親のローズマリー伯爵夫人は元辺境伯爵家の竜騎士隊隊長の称号を持つ【戦女神】だったそうで、シリウスはその血統も受け継いだみたいだ。
容姿も、紺色の髪にエメラルドグリーンの瞳、ローズマリー夫人似で大層なイケメンなのだが……今は甲冑の兜でほぼ見えてないな。
二匹の竜が空中でぶつかり合うと、光の粒子を纏った波動が起こりとても幻想的だった。
俺も【竜】に乗ってみたいな…と、チラリとジジさんを見る。
「なんじゃ??」
いや、駄目だな。ご老体に跨るのは何か忍びない…。
『カッコよかったなぁ~。オレも竜に生まれたかったぜ』
竜騎士じゃなくて、竜に見惚れていたのかこの駄犬は・・・
光竜バトルのエキシビジョンが終わり、次はようやくアレクの番だ。
『次は最後の演目になります!ヴァリオス王国王太子!アレクセイ殿下のご登場です!』
歓声と拍手の中、アレクが姿を現した……しかし、何か様子おかしい。
引き攣った笑顔で手を振るアレク。
「ふむ。どうやら悪さをした輩がおるみたいじゃのう・・・」
◆競技場出演者控室 アレクセイ視点9
光竜の派手なバトルで競技会場の【場】は十分温まっているようだ。
次は俺の番。師匠やリオンに教わったモノを昇華させる時だ!ギュッと手を握りしめる…
キャンプから帰った後も欠かさず練習し、今日の為に頑張ってきたんだ。
大丈夫…問題ない!と、光魔法でキラキラを発動させ……ようとしたが、
「……発動…しない…?」何故だ……
「きゃんきゃん!!(アレクさま大変!魔素がなくなっちゃってるよ~!)」
ミカゲが激しく吠えている。きっと何かを訴えているんだろう。どうしてリオンみたいに言葉がわからないんだ!
「このままでは、魔法の披露が出来ない……いったいどうすれば…」
◆競技場 とある一室
「うまくいったようだな。これでヴァリオス王国も大恥をかく事だろう」
「魔素を吸収する魔道具とは、考えましたね父上」
「思いっきり凹んだ王子様を、このあたくしが慰めて差し上げればいいのね♡」
この部屋に設置されている魔道具は、本来ならば過剰に魔素が溜まったところに設置し、余分な魔素を吸い上げ正常化させるものである。
故に過剰な場所ではない所で使用すれば、普通に魔素が足りなくなってしまうのだ。
「持ち込むのには苦労したがな。…ステファンめ、息子の失態で青くなる姿が目に浮かぶわ!ハハハッ」
魔道具は、”シュウシュウ”と音を立てて魔素を吸い上げ続けた。
[おまけ]~肩書が増えました~
ジジさん「リオンは魚を捕るのと、料理が上手でのう」
エステル「まあ!料理男子ですのね!ポイントが高いですわ!」
レオン 「よし!釣書に追加しておこう」
リオン 「おねがい…絶対やめて……」




