15.王太子の魔法と秘密の特訓?
◆聖バルゴ学園1-A教室 リオン視点12
何だかんだで、もう一年生の後期だ。学生生活にもすっかり慣れて、油断していた…。
目の前には”ズズ~~~ン”と落ち込んでいる男が一人……一応、このヴァリオス王国の王太子である。
「アレクセイ殿下。そう落ち込まずとも…」
先日発表されたのだが、このヴァリオス王国と近隣の二か国で【三国会議】が催される事になったらしい。急な話だが二ヵ月後に……。
なんでも開催自体はずいぶん前から決まっていたのだけれど、隣国のカサンドーラ帝国の国内が落ち着かず、日取りが決められなかったらしい。前にリカルド伯父上が新聞を見て”天候不順”と言っていた国だ。
「…リオンは良いよ。…1日だけ【王太子】替わらないか?」
元気で明るい王太子はどこ行ったのかな?ジメジメきのこが生えそうな男がいる。
「きゅう~ん(アレクさま元気だして~)」ペロペロ
「ミカゲ~~~~!」
アレクがこんなに落ち込んでいるのには訳がある。
さっきの魔法の授業で、先生にダメだしをされたからだ。
従来なら王族は、魔法の素質や素養がそれ程で無くとも問題にはされないのだが、今度の三国会議のエキシビジョンのひとつでアレクが魔法を披露する事になったのだ。
というのも、隣国はこの国の【鉄道】に多大な関心を持っていて、その工事では前王のアンドレア様の土魔法が大活躍したのだ。…そりゃ~見たいよね。
「何を(ふざけた事を)仰いますか…。俺は土魔法は使えませんよ」
「…でも、今のままじゃ…披露しても到底喜ばれない…と…」
確かに、土属性の魔法は地味だから、余程じゃないと感心されないだろう。
「前王アンドレア様に教えて頂けば、宜しいのではないでしょうか?」
見かねた護衛が助言してきたが、
「御祖父様は、人に教えるのが壊滅的に下手な方なんだよ…」
そう、幼いアレクがアンドレア様に教わりに行った時に俺も見ていたんだが、あの方は感覚で魔法を使う方で『こうして!』『こうだっ!』って言われても、何言ってんのかさっぱり?な状態になった記憶があるな。
「もう一層の事、アンドレア様に出て貰えば良いのでは?」
冗談めかして言うと…
「私もそう言ったさ。そしたら父上に蛇蝎の如く睨まれた…コワイ」ブルブル
既に陛下に言ってたんだ~アレク勇気あるな~。俺は絶対無理だ!視線で射殺される未来しか見えない!
二ヵ月しか猶予は無いし、アレクも普段から公務で忙しいから時間もあまりとれない。となると、やっぱりアレしかないか…
◆聖バルゴ学園1-A教室 アレクセイ視点2
『今度のエキシビジョン、国の威信にかけての成功は殿下に掛かっております!今のままでは到底難しいでしょう。より一層の努力を期待いたします』
そう教師に言われてしまった…。
確かに俺の今の実力では、披露しても喜ばれる事は無いだろう。
努力…は勿論するさ。多少の無理も覚悟の上だ……けれど、圧倒的に時間が無い!公務は山積みだし、同級生が休んでいる休日だって、王族の俺は休みじゃないんだよ?
「…リオンは良いよ。…1日だけ【王太子】替わらないか?」
俺だってたまには弱音を吐きたい・・・
「きゅう~ん(アレクさま元気だして~)」ペロペロ
「ミカゲ~~~~!」
ミカゲだけだ!と抱きしめて、癒される。
護衛に『御祖父様に教わっては?』と言われたが、俺だって一時はそう思ったさ!でも…
『おじいさま。僕もおじいさまみたいになりたいです!教えてください!』
『そうかそうか。アレクは頑張り屋さんだ。よ~し!おじいちゃんのやるのを良く見て覚えるのだぞ!』
『はいッ!』
『こうして!』《ズガガガッ》
『・・・』
『そしてこうだっ!』《ゴゴゴゴ~~~ッ》
『・・・・・・・』
『どうだ!わかったかい?』
……御祖父様が、先生に向いて無い事だけはわかりました…。
父上に『無理だ』と直談判に行ったら、蛇蝎の如く睨まれ、妹には鼻で笑われ……いったいどうすればいいんだ~~と、頭を抱えていたんだが、
「俺にひとつ提案があります。ですが、これは陛下の許可が必要になりますし、内容は許可が下りるまでは秘密です」
と、リオンが言ったのだ。
「あと、ミカゲにも手伝ってもらいます。いいかい?ミカゲ」
しゃがんでミカゲに問いかけている。
「きゃうん!」
ミカゲは『いいよ!』と言ってるように見えた。やはり天使…(ヤハテン)
「ありがとう!リオン!」
「ぬぉわぁ‼」
ミカゲごとリオンを抱きしめる!何故か周囲で悲鳴があがったが、今の俺に気にする余裕は無かったのだった。
[おまけ]~影の業務日誌~
カゲ丸 「ワンワ~ン(BL疑惑が復活だな~)」
ミカゲ 「きゃんきゃん♡(アレクさまってば、だいたん♡ムフフ)」
カゲ丸 「ワウ~ン…(腐女子の波が人間界に留まらず、魔獣界にまで…)」
王家の影「やば…きたコレ…業務日誌ネタ!」
影の引継ぎ用業務日誌は、今日も楽しい出来事でうめられるのだった。




