14.キャンプとジジさん
◆ダイナモ霊山山麓キャンプ地 リオン視点11
今日は本当にキャンプ日和で、やる事やったらキャンプに行くぞと決めていたんだ。
この山麓は空気が澄んでいて、やっぱり水も美味い。
「キャンプ最っ高~~~!」
『別人のように生き生きしてるな…』
夕飯の魚でも捕りに行こうかな~(釣りに…では無い)と、いったん渓谷を目指す。大物がいる穴場スポットがあるのだ
途中、幾度か魔獣と出くわしたが襲って来る事もなく、皆一様に来た道を引き返していった。
『リオンにビビッてるのか?それとも……』
カゲ丸は何やら考え込んでいるが、放っておくとしょう。
お、目的の場所に到着だ! ああ、先客がいるな…
「ジジさ~ん!」
「!」(シーじゃシー!魚が逃げる!)とジェスチャーの老人。
そろりと音をたてずに岩場を移動する。老人の垂らす糸の先に大きな魚影が見えた。
老人の隣にしゃがんで一緒に水面を睨んでいると、
《ちゃぷ…ちゃぷ………ちゃぷん!》 と、浮きが沈んだ!
「今じゃ!!!」「おおっ!」
老人がナイスなタイミングで糸を引いた……が、
《プッチン》魚は水面に現れる事も無く、糸が切れてしまった。
「…ジジさん。あのサイズはその細い糸じゃ無理だよ」
「仕方ないのう。リオンにも御馳走したかったんじゃが…」
白髪で白髭のジジさんはがっかりと肩を落としているが、その気持ちが嬉しい…料理するのは多分俺だけどね。
『リ……リ…オン?…その方…は?』
カゲ丸がカタカタ震えている。そういえば此処に着いてから、妙に静かだったな。
「俺のキャンプ仲間の『ジジさん』だ。ご老体だけど、力持ちだから侮るなよ。ハハハ…」
ジジさんとの出会いは、カゲ丸がキャンプに付いて来なくなってからだったっけ…
あれは、丁度二年前だったな。
当時まだ魔法が上手くなかった俺は、この場所で釣りをしていたんだ。
「釣れるかの?」
いつの間にか老人が真後ろに立っていた。まったく気配を感じなかったぞ!
老人は優し気な風貌で、俺の警戒心をみるみる溶かしてしまった。
それから、キャンプの話・家族の話・スローライフの話で盛り上がって、すっかり意気投合した俺たちはキャンプ仲間として、度々ここで文字通り【逢瀬】を重ねている。
ジジさんは普通の老人では無い。わけあって他の人間には紹介出来ないんだ。でもその知識は凄くて、魔法の修行をしてくれたおかげで、俺の技術は跳ね上がったのさ。
◆ダイナモ霊山山麓キャンプ地 カゲ丸視点14
どうやら目的の場所に到着したみたいだ。先客がいる?…え…あれって
「ジジさ~ん!」
「!」(シーじゃシー!魚が逃げる!)とジェスチャーの老人。
「今じゃ!!!」「おおっ!」
《プッチン》
「…ジジさん。あのサイズはその細い糸じゃ無理だよ」
「仕方ないのう。リオンにも御馳走したかったんじゃが…」
白髪で白髭の老人に見えるソレは、がっかりと肩を落としているが……人間じゃない…よな?
『リ……リ…オン?…その方…は?』
老人から発せられる圧に押されながら、震える声でリオンに問いかける。
「俺のキャンプ仲間の『ジジさん』だ。ご老体だけど、力持ちだから侮るなよ。ハハハ…」
めちゃくちゃ軽快に答えてくれたけど、
『その方って【古代竜】じゃねぇかーーーーーーっ‼』
「・・・・・・・そうだな」
しれっと答えるリオン。お…おま…知ってたのか?
「これ【様】を付けんか!魔獣のくせに!【古代竜様】じゃ!」ぷんぷん
あ、スミマセン。・・・じゃねぇーーーーっ!
リオンの話によると、もう二年も前からの付き合いで、その正体も割と早い段階で知ったらしい。
「あの時は腰抜かしそうになったよ。いつものこの場所でデッカイ白い竜が寝てたんだからな。危うく退治するトコだった。アハハ!」
…知らんところでストーリーが進められそうになっていたとは……恐るべし強制力。
「ふぉふぉふぉ…リオン如きに儂がやられるものか~」
「違いないけど…そうゆう事いうとあの魚捕ってこないぞ」
「ウソじゃウソじゃ!今日は焼き魚の気分なのじゃ!」
なんだこのラブラブな祖父と孫は…。
リオンはいつものトルネードで巨大魚をゲットし、建てたテントの隣で調理する。慣れたもんだな。
古代竜様はお腹いっぱいになると、自分の巣?家?に帰って行った。
『リオンは精霊の話を聞いた時に、もう古代竜様の事知っていたんだな』
「お前から古代竜の話を聞いた時は、ジジさん以外にも古代竜がいるのか…と思っていた。お前の言う古代竜がジジさんと重ならなかったからな。だから精霊がこの霊山で【スローライフ】してるって言った時には正直驚いたんだぞ。今日カゲ丸を此処に連れてきたのは『俺は古代竜と戦う気はない』と分かってもらう為なんだ」
古代竜探しに、全然乗り気じゃなかったもんな。
オレはずっとリオンに、師匠と戦えって言っていたのか…。悪い事したな。
[おまけ]~実はやられかけてたよ~
古代竜「この山麓にやってくるリオンは、儂のキャンプ仲間じゃ。手出しするでないぞ」
魔獣Ⓐ『はーい』
魔獣Ⓑ『この前に古代竜様をボコボコにした人間ですね!』
古代竜「ボ!ボコボコになどなっておらん!見間違いじゃ!見間違い!」
危うく退治されかけていた、ジジさんであった。




