13.ヒーロー(予定)とヒロイン(予定)の邂逅
◆パルセノス邸 リオン視点10
ヒロイン(予定)のテル-がパルセノス家で働きだして、かれこれ1か月程経つのだが、俺は未だ彼女に会えないでいる。今日で4回目だが、さて…と
『リオン。もしかして避けられてないか?』
言うな…俺も気にし始めたところだ。
一回目は先触れを出して行ったら、休みを取っていた。
二回目は割と急に先触れを出したのだが、街に用事で出掛けたそうだ。
三回目は先触れ無しで突撃したが、急に居なくなって誰も見ていないと言う。
『完全に避けられてるな。特に三回目は協力者がいる筈…』
協力者? 誰だ?ミスティか?いや…居なくなったと聞いて真剣に驚いていたから違うな。
「ワン!ワワン?(コカゲ!テル-隠したのお前だろ?)」
「クウ~ン…(バレちゃった…)」
なんと!俺はコカゲに裏切られていたみたいだ。地味にショックだな…。
「ワンワン!(何で隠したんだ!)」
「クウウ~~~ン(リオンに…会いたくないって…言うの)」
そんな嫌われてるのか?俺何かしたっけ??
「クウウ~~~ン(カッコいい人…にがて…みたい)」
なんだ…そういう事か。何か仕出かしてたんじゃないなら安心したよ。
なので、今日は伯父上の許可のもと、闇魔法【認識阻害】を使って屋敷に潜入している。
どうやら協力者であったコカゲは確保したし、これで逃げられる事も無いだろう…フフフ
『…リオン。ヒーローが悪役みたいな笑い方するなよ…』
今日はミスティの部屋に居るとの事なのでそこへ向かう。すれ違う使用人は、気配を消す俺たちを気にも留めない。
前もってアリサに言っておいたので部屋の扉は開いていて、中を窺い知る事ができた。
「ミスティ様。違いますよ。その問題はこちらの数式を使います…」
「ふむむ…」
ミスティは家庭教師から指導を受けている。何故かその隣で、同じく教科書を開く侍女…
「(コソッ)あれがテル-か?」
『そうだ。リカルドが、折角だから一緒に学ぶようにってな』
なるほど、一緒に勉強する相手がいればミスティも逃げられないし、伯父上も考えたな。
「テル-様は呑み込みが早いですね。知識も豊富ですし…あとはマナーや貴族の嗜みについて学ばれるとよろしいでしょうか」
「あ!ありがとうございます」
家庭教師に褒められて嬉しそうに笑うテル-。
一見どこにでもいそうな印象の容姿…、なのに何だかキラキラして見えた。
『光属性持ちだぞ』
あ~それでか…。陛下もアレクの良く『キラキラ』してるもんな。
陛下はアレ意図してやっておられるけど、アレクは無意識だろう。
ミスティがキラキラしてるのは見た事が…無いな……精進しろよ。
◆パルセノス邸 カゲ丸視点13
今日はヒーローとヒロインの邂逅の日だ!
本来なら菓子店ステラで偶然ばったり会う設定の【邂逅】だが、こうなった以上!偶然でなくても何でもいい!2人は今日【邂逅】するんだ!このオレが決めた!
『リオン…一旦ここを離れるぞ。偶然会った事にするんだ』
「え?めんどい」
《コンコンコン》と開いてる扉をノックして、認識阻害も解きやがった!
『‼バカヤロー!邂逅が台無しだーーーっ!』
「あらリオ兄様」
「ひえっ‼」
驚かないミスティとは対照的に、テル-は驚きで固まってしまったようだ。
「やあ、勉強中にごめんね。先生、すぐに退室しますので少しだけ」
教師の許可を得て、リオンがテル-と向き合う。
「驚かせてゴメン。逃げられると追いかけたくなる性分なんだ。ミスティの侍女は色々大変だと思うけど、頑張って。俺はミスティとハロルドの従兄弟のリオン・アエトース。頻繁に此処に来るけど、今後ともよろしくね」
一頻り話すと『じゃあね』と部屋を出ていく。
『おい!何だ今の!』
「何って、自己紹介?」
一方的過ぎるだろ~~!会話を成り立たせろよ~~・・・
小説ではお前の伴侶になるんだぞ!何だこの蛋白な出会いは!もっとこう甘酸っぱい何かがあるだろぉ……オレのワクワクドキドキを返せ~~~!
「さて…やる事やったし、明日は休みだしこれからキャンプにでも行くか」
リオンはいそいそと帰路についた。気分はもうソロキャンプなんだろう。
『…何処に行くんだ?オレも連れていけ』
「キャンプは孤独を楽しみに行くんだぞ……まあ偶にはいいか」
一旦帰って準備をし、オレ達はまた出かけるのだった。
あんな事になるとはつゆ知らず・・・
[おまけ]~お膳立てしたのに~
ミスティ「ほんと!一方的なんですから!リオ兄様は!」プンスコ
テル- 「リオン様って…いつもあんな感じなんですか?」
ミスティ「基本情報!適当で面倒くさがりで朴念仁で…趣味はソロキャンプ!ですわ」
ほぼ悪口……ミスティは【キューピット役】に不向きだった・・・




