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マリア  作者: 深森みずち
2/5

2.

彼視線での完全な創作

マリアは、教室の窓際で寝るのが上手かった。


授業中なのに、ちゃんと先生に当てられる直前だけ起きる。


ずるいやつだと思った。


「今、聞いてなかったべ?」


って言うと、


「聞いてたよ」


って笑う。


本当に聞いてる。


意味分かんないくらい頭が良かった。


マリアは名前に反して男みたいだった。


髪も短いし、毛質は硬め、天然のパーマ、歩き方も乱暴だった。

スカートは2種類選べるけど、いつも真っ黒の礼拝堂に入る時のスカートだった。


でも、女子の輪の中にいる時はちゃんと女子だった。


恋愛の話をしてる時もあったし、購買のパンを半分こしてる時もあった。


だから、変な感じだった。



冬の終わり頃だった。


マリアを含め、数人でカラオケに行った。

いつもなら、「ドリンクとってきて」と、頼むマリアが珍しく自分で取りに行くし、

「◾︎◾︎◾︎のも取ってこようか?」ってきかれた。


反射的に「ありがとう」ってゆった記憶がある。


見たことの無い笑顔で

「どうぞ」

って渡された。


早く飲んで?と言わんばかりの顔に、すぐ頼んだ炭酸のジュースに口をつける

「なんかまぜた??」


と、聞くとマリアが

「大丈夫だって」


って笑うから。


少し背中が、寒くなりながら半分くらい飲んだ。


飲んだあと、世界が少し遠くなった。


指先が痺れて、呼吸が変になって。


なのに頭だけ妙に起きていた。

頭がクラクラして、最後に見たのは笑ってるマリアの顔だった。


病院で目が覚めた時、母親が泣いていた。


自分の身体なのに、自分のものじゃないみたいだった。


春になって学校へ行くと、みんな妙に優しかった。


何も聞いてこない。


何も言わない。


その沈黙だけで、もう何か決まってるんだと分かった。

俺の声は出なくなった。


廊下で、マリアを見かけた。


普通に笑っていた。


友達に囲まれて。


いつものマリアだった。


その時、初めて怖いと思った。


そして同時に、憎しみしか無かった。

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