2.
彼視線での完全な創作
マリアは、教室の窓際で寝るのが上手かった。
授業中なのに、ちゃんと先生に当てられる直前だけ起きる。
ずるいやつだと思った。
「今、聞いてなかったべ?」
って言うと、
「聞いてたよ」
って笑う。
本当に聞いてる。
意味分かんないくらい頭が良かった。
マリアは名前に反して男みたいだった。
髪も短いし、毛質は硬め、天然のパーマ、歩き方も乱暴だった。
スカートは2種類選べるけど、いつも真っ黒の礼拝堂に入る時のスカートだった。
でも、女子の輪の中にいる時はちゃんと女子だった。
恋愛の話をしてる時もあったし、購買のパンを半分こしてる時もあった。
だから、変な感じだった。
冬の終わり頃だった。
マリアを含め、数人でカラオケに行った。
いつもなら、「ドリンクとってきて」と、頼むマリアが珍しく自分で取りに行くし、
「◾︎◾︎◾︎のも取ってこようか?」ってきかれた。
反射的に「ありがとう」ってゆった記憶がある。
見たことの無い笑顔で
「どうぞ」
って渡された。
早く飲んで?と言わんばかりの顔に、すぐ頼んだ炭酸のジュースに口をつける
「なんかまぜた??」
と、聞くとマリアが
「大丈夫だって」
って笑うから。
少し背中が、寒くなりながら半分くらい飲んだ。
飲んだあと、世界が少し遠くなった。
指先が痺れて、呼吸が変になって。
なのに頭だけ妙に起きていた。
頭がクラクラして、最後に見たのは笑ってるマリアの顔だった。
病院で目が覚めた時、母親が泣いていた。
自分の身体なのに、自分のものじゃないみたいだった。
春になって学校へ行くと、みんな妙に優しかった。
何も聞いてこない。
何も言わない。
その沈黙だけで、もう何か決まってるんだと分かった。
俺の声は出なくなった。
廊下で、マリアを見かけた。
普通に笑っていた。
友達に囲まれて。
いつものマリアだった。
その時、初めて怖いと思った。
そして同時に、憎しみしか無かった。




