第31話 リーリャと不思議な剣
「じゃあフィルマはこっちで剣の練習ニャね」
魔法を発動している2人が視界に映る位置を保ったまま、フィルマと共に彼女らから離れる。いきなり剣を合わせるというようなことはせず、まずは姿勢の確認だ。
ミレアさんの話によると、1人で草原に出ては動物を狩ったり、野草を採ったりとかなり活発な子だということで、短剣での戦闘は多少わかるとのことだ。
ただ騎士になるとしたら短剣だけでなくしっかりとした片手剣も覚える必要があるわけで、リーリャはフィルマに片手剣を主軸とした教育をしようと考えている。
もちろんすでに短剣を使った戦闘がある程度できるということであれば、そちらも同時に延ばしても良いだろう。
短剣にはデメリットがある。それは基本至近距離での戦闘になるという点だ。
片手剣だって近距離戦闘ではあるが、その長さ分安全マージンを確保して接敵ができる。ただ、短剣は相手の懐まで飛び込まねばならない。
それがウサギ型の魔物といった、小動物であれば問題はない。ただ、対人戦闘や、大型の魔物と対峙するときにはそのリーチの短さは大きな欠点だ。だからこそ、いまの戦場のスタンダードは誰にでも扱いやすく、ある程度の距離を確保できる片手剣。
もちろん騎士にも片手剣以外で戦う人はいる。片手剣が上手く扱えない人、少しビビりな人なんかは槍を使う。フィルマはそういう性格ではないだろう。
短剣を使う人、グローブをつけて格闘で戦う人。そういう騎士もいるが、大抵片手剣も使える。そういう人は状況に応じて武器を使い分けたりしているのだ。
つまり、すべての基本は片手剣だ。
「ということニャ。わかったかニャ?」
「ちぇ~、俺片手剣なんて使いたくないぞ……」
「でもさっき片手剣見て喜んでたニャよね?」
それに今もがっつり握りしめて離さないじゃないか……、ということは置いておいて、渋々といった表情で片手剣を主軸にしたレッスンを承諾してくれた。
「そういえば、さっきから先生が持っている奴はなんだ?」
「ああ、これのことニャ?」
そうフィルマはリーリャが持っている剣身の付いていない柄だけの剣を指さした。真っ白でシンプルでありながら、黄金に輝く魔石が複数付けられているその剣の柄は、これで剣身が付いていればさぞ強そうな見た目であった。
しかし剣身が付いていないから一見何もできそうにない。
「これは魔法剣ニャ。ウチがこの柄に魔力を流すと剣身が出てくるんニャよ」
「すげぇ! やってみてくれよ」
「わかったニャ」
リーリャは軽く柄を握ると、一気に魔力を注入する。するとあっという間にフィルマが持っていた剣の剣身より長い剣身が現れた。通常剣身は非常に重く、突然その剣身が現れたら姿勢を崩してしまいそうだ。
しかし、魔力で形作られたこの剣は重さが柄の部分だけであり、極めて軽い。
「ほら、こんなに軽いニャよ」
そう剣を右手から左手へと交互に投げ動かしてみせる。
「でもそんなに軽かったら威力が出ないんじゃないか?」
「おお、よく知ってるニャね。でもこの剣は万能ニャから重さを付けることもできるんだニャ。的に当たるときに重さを付けたり、持ち運ぶときだけ重さを消したり、自由自在なんだニャ」
今度はその長かった剣身を短くしてみる。リーリャが少し意識するだけですぐに刀身は短くなり、短剣のような見た目になった。
「長さも自由自在ニャ」
「……ほしいっ!」
「だめニャ。魔力を大分使うニャから、魔力総量が多い人じゃないと扱えないんだニャ」
いつも作品を読んでくださりありがとうございます。
スマートフォンで読むということを意識して少し表記方法を変更してみました。文のまとまりごとに1行空白を入れるような表記にしています。
余計に読みにくくなっている用でしたら戻しますし、読みやすければ過去投稿文も変更していきます。
作品のストックについてですが、かなりカツカツになってきているような形です。できるだけこの隔日投稿を維持したいのですが、どこまで維持できるかはわかりません。またお知らせします。
これからも本作をどうぞよろしくお願いします。




