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無敵の三姫  作者: 猫化猫
23/25

22.危険だらけの山の中

タイマースタートと共に多くのチームが駆け出し、閑散とした広場。

周囲には、僕らを含めた3チームがいた。

カウントダウンも始まっているのに、移動していないチームだ。


正直に言えば、僕も先生の合図に煽られて走り出そうとしていた。けれどマイもシロナも一切走り出す様子を見せなかったため、合わせることにした。

ふたりに理由を聞けば、山の把握が終わったから、共有して動き出そうと思っていたらしい。こういう時、魔法は便利だと思う。


「て、ことで!今からシロナとすり合わせながら山全体の特徴を言っていくね?なんかもう既にやばそうな気配しかしないから、死ぬ気で覚えてね~?」


一通り話を聞く。マイの言った通り、この山はとにかくやばかった。何がどうやばいかというと、東西南北それぞれに違った危険が存在することだ。


まず南。

僕らが通ってきた方角だが、一度道からそれると迷子になるかもしれないらしい。らしい、というのはここから探索魔法を使った時に上手くいかなかったようで、何かしらの方向感覚を失わせる効果があるのではという推測らしい。推測だったとしても、宝が人である以上、迷いやすいところにあまり立ち入りたくない。


次に北。

北に行くとここ、広場よりも標高が高くなり、岩場に出る。岩場はそこそこ広いらしいが、その先が断崖絶壁となっていて、もし落ちたりなんてした日には命すらも危ういだろう。さらに標高が高いせいか、かなりの強風が吹き荒んでいるようだ。宝を連れた状態ではあまり近寄りたくはない。


次の東側。

ここは生い茂った木々が無い代わりに、一本の大きな木が生えている。ここからでも見えるくらい巨大な木だ。そこら周辺は大樹の根がいたるところから出ており、地面ももはや沼と呼べるレベルにぬかるんでいて、歩きにくいことこの上ない。個人的にはあまりそこで戦闘をしたくない。


そして西。

西はかなり広めの湖が1つあるだけで他は特にないらしい。他がギミックだらけのこの山でそれだけというのはあまりにも疑わしい。マイがここに行きたがっていることは、話し方から察することができたが、シロナは行きたくなさそうにしている。


東西南北に分けたが、尾根と呼ばれる部分に人工的な道があり、そこもある程度の広さ、長さがあるため、宝が配置されている可能性がある。

どこから行くかと話し合った結果。

西に行き、他にも何か特徴がないか自分たちの目で確認することにした。


「…開幕走り出したチーム、大丈夫かなぁ。」


試験開始までは戦闘行為は禁止になっているから、場所取りは早い者勝ち状態だ。駆け出したメンツが間違った行動をしたわけでは無いが、こうも危険な山だと心配になるのも分かる。北や東はまだしも、不確定要素の多い西と南に行った人たちは無事に試験を終えられるといいんだが。


「特に南に行ったチームが多い。…集団迷子になる?」

「集w団w迷w子www15、6にもなって?…ぶふっ――無理っ。」


シロナがボソッと言った単語にマイが撃沈する。なかなか深いツボに入ったらしく、移動するときにいつもの浮遊魔法が解けている。

マイが笑いから帰ってきたころ、西の湖周辺に着いた。

ここには現在3チームほどいるようだ。人数は…3人のところが2つと4人が1つか?


「…あー、ねぇ、シロナ。これ見て。」

「ん。…これは、水滴?」


こちらが他チームの数を確認している間、後ろで2人が木をしげしげと眺めて話し合っている。


「いかにも滑りそうじゃない?」

「…。確かに滑る。」

「実践してくれなくても良かったんだよ?!」


べしゃっと音が聞こえて、振り向くと、盛大にこけたシロナとあわあわと助け起こし、魔法で汚れを落としているマイの姿が目に入ってきた。

…何をしているんだ何を。

聞けば、試しに木に向かってぶら下がろうとジャンプしたシロナが、うまく木を掴めなく、そのまま落下してきたらしい。本当に何をしてるんだ…。


「ユウリは戦闘中注意して。」

「いや、他に調べ方があっただろ。——ほら、触るだけでも充分滑る。」


何事もなかったかのように注意してくるが、わざわざ跳んだ意味とは?疑問に満ちた顔でシロナに説明を催促すれば、当たり前の事のように返される。


「ユウリは戦闘中、そういった行動を取ると思った。から、シュミレーションした。」

「…マイ。」

「え、通訳しろってこと?完全にそのままの意味で言ってるよ、この子。」


いや、分からないわけでは無いのだが、脳が理解を拒んでいるというか。そもそも同じ状況になったとして、そんなへまはしない。なんなら僕自身が実践したほうが早かったのでは?


「んー、多分自分でも確認しておきたかったんじゃない?どれくらい滑るかとか。知ってたら指示も出しやすいだろうし。ね、シロナ。」

「…ん。」


なるほど。確かにどれだけ滑るか実践に近い形で確認を取るのは理にかなってはいるのか…。それでも開始前から怪我をするような行動は慎んでほしいと苦言を伝えておく。マイにもたしなめられ、ゆっくりと頷いていた。


3人で話をしていると、突如どこからか機械音がしてくる。発生場所を探ろうと周囲を見回すが、特に目に入る場所に機械らしいものは無い。気のせいかと思い、探すのを止めれば、また同じ音が聞こえた。何の音だと2人に聞こうとすれば、先にシロナが答えてくれた。


「警告音。あと20秒。」


なるほど。試験開始までのタイマーから出た警告音か。あと20秒って、これだけ話したり、動いたりしていたのに正確に時間を計っていたのか?体内時計どうなってるんだ。…とつっこみを入れる前に、流石にこの湖の周辺は人目に付くので、残り時間で移動することにした。


「あと10秒」


多少駆け足で、森に紛れる場所に移動する。他の3チームともうまい具合に距離を取れた。


「…5、4、3、2、1…」

「2人とも息止めて!〖樹・眠〗!」


カウントギリギリのマイの警告に慌てて呼吸を止める。おそらく、吸い込むと敵味方関係なく巻き込まれる魔法を使うのだろう。魔法の範囲にいたら儲けもの。ぐらいの感覚で使っているんだろうな。


――0。

先ほどよりも高い音で機械音が響くと同時に、魔法が周囲に広がっていく。

しばらくして魔法が収束すると一瞬の静かさの後、周囲からなにかが倒れる音が連続的に聞こえてくる。あの短い詠唱を聞く限り、眠らせる魔法でも使ったのだろう。


「よし、3人もかかった!他に取られる前に、ちゃちゃっと回収しよ~。」


想定より多く魔法にかかったからか、上機嫌なマイと共に眠っている生徒を順番に集めて、軽く拘束しておく。開始1分で3人。上々だな。



――試験終了まで残り:2時間58分

いつもありがとうございます。



魔法の範囲を舐めていたらこれですよ。魔法は対多数が得意ですからね。どんまい。


遅くなりますが補足です。

「学院」と「学園」は全く別の学校です。

「学院」は選りすぐりの強者揃いですが、「学園」は単に貴族の子息令嬢が通う学校なので、強く無い子たちもたくさんいます。

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