表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無敵の三姫  作者: 猫化猫
15/25

14.依頼掲示板

次の日の放課後。

入学初日に寮長から軽く聞いた“金銭の稼ぎ方”の話をされた。話の内容をまとめると、冒険者ギルドとの連携によって多種多様な依頼が学院に届く。それをこなせば報酬として金銭が手に入る。と言ったものだった。金稼ぎなんて、貴族の子息令嬢には必要無いと思われがちだが、ここでは“最低限の生活費の援助”のみ許されており、それ以外は自費で買わなければならない。よってどれだけ裕福な家の出でもそこそこの金額を貯めておかなければ、いざという時に困ることとなる。


「ということで、1年生は今日から中央校舎にある依頼掲示板を使えるから。依頼関連でもし分からないことがあったら在中してる受付に聞きなさい。」


説明が終わると先生はさっさと教室を出ていく。

いままでの1週間の放課後は、特にすることがなかったので、僕は人気のない場所で訓練をして過ごしていた。他の2人が何をしていたかはいまいち把握していない。マイは「図書室めっちゃ広かったー!」などと感想を叫びながら帰ってくるので学校探検でもしているのではないだろうか。シロナは本当に何をしているか分からない。気づけば教室にはおらず、ふとした時に寮に帰ってくる。いつも別々に行動しているため、マイもきっと知らないだろう。


「失礼しまーす!…ん、いた。ユウリー!シロナー!一緒に依頼見にいこ〜。早くいかないと混むってうちの先生言ってたよ~!」


噂をすればなんとやらと言うべきか。マイがバタバタバタと音をたててA組の教室まで乗りこんできた。他のクラスメイトのぎょっとした視線をものともせずに僕らを呼び出してくるのでマイの元まで行ってから軽めのチョップをお見舞いする。


「そんなに声を張らなくても聞こえる。貴族だったらもう少し淑女らしくしたらどうだ?」

「ぶー。騎士らしいふるまいしてる人に言われたくはないかな~。侯爵とか辺境伯爵ならともかく、ユウリは公爵なんだからきっと淑女らしくって耳タコレベルに言われてるんじゃないの?」


軽い冗談としてふるまいについて軽くつついたら、思ったよりも痛い返事が返ってくる。もちろん親から口煩く言われているが、()()()()()ここに来たのだ。男に生まれたかったわけではないが淑女らしく、というのがどうにも耐えられなくて。


「さぁ?どうだか。そっちだって辺境伯の長女だからもっと振る舞いについて指導されているはずだろ。マイの家は男兄弟はいないそうだし、家の顔として振舞えと言われているんじゃないか?」


反撃のつもりで言い返すと、マイは勝ち誇ったような笑みを浮かべてきた。


「残念でした~。うちは妹が次期当主ってほぼ決まってるから私は結構自由にできるんですよ~。…結婚は聞かないで。というか、シロナはこんな話聞いててもわかんないよね。別の話しよ?」

「2人の話を観察しているからいい。」

「そこはうんって言うとこだよシロナさん?!」


マイがこの話題をそらすためにシロナを逃げ道にしたが、シロナにあっさりと切り捨てられている。思わず笑ってしまうと、マイに怒られた。そのまま言い合いをしているうちに、依頼掲示板の前までたどり着いていた。


「…よし、まだギリギリ混んでないかな。2、3年生もここに依頼を見に来るから週明けの放課後は特に混むんだって。」

「そんなに広くはないんだな。」

「全校生徒は多くても150人。広くなくても混むと思えない。」

「いや、物理的な込み具合の懸念じゃなくて、依頼が持っていかれちゃうほうの懸念なんだけどね?」


確かに依頼を見る限り数こそあるが、報酬の金額にはばらつきがあり、高額であればあるほど難易度が高そうに見え、難易度が低く、高額なものは見当たら無い。既に人に取られて無いのか、元からないのか。…あそこの『ドラゴンの討伐、報酬大金貨150枚』は学生に任せるような内容だろうか?


「ぽつぽつある報酬の大金貨って、太っ腹だね〜?平民なら良くて小金貨ぐらいまでしか見ないんじゃない?」

「普通の平民なら銀貨までしか使わない。金貨を使うのは商会の商人ぐらい。」

「へぇー。そうなんだ。ま、ドラゴン倒せる人なんて国に1人いるかどうかだけどね〜。」


それは個人討伐の話だろう。ちゃんと対ドラゴン専用の軍を組めば国にも倒せる。被害は途轍もないだろうが、大金貨150枚ももらえたら収支はプラスになるのではないだろうか。


「…チームで受けなくてもいいらしい。」


シロナが手に取った依頼書を見てみると備考欄のところに『個人可』と書かれていた。逆にそれが書いていないものはチームでの参加なんだろう。この学院らしいというか、とことんチームで行動させたいようだ。


「じゃあ今日はお試しってことでこれ受けよ?明日からは各自で好きな依頼探して、チーム必須なら随時相談する感じで。」


そういってマイが見せてきた依頼はトレント系モンスターの間引きだった。トレント系モンスターはその体に多くの魔力を蓄えており、物理からも魔法からも強い。さらに倒しても倒しても森がある限りいずれまた復活するため、トレント狩りは不人気な仕事の一つだ。かといって森を全てなくしてしまうのは問題がある。しかし放置をすればするだけ数を増やし、そのうち森を出て人を害するため、定期的な間引きが必要となる。

お試しにしては重くないかと思ったが、マイ曰くこれはリスクが低いのに他と比べてもそこそこ報酬がいいらしい。めんどくさい点を抜けばそこそこ優良な依頼となる。シロナにも意見を聞いたが、特に反対しなかったので僕らはその依頼を受けることにした。


−–この時点で僕らはもう少し疑うべきだったのだ。多少面倒な部類とはいえ、大したリスクもなく、報酬の良いこの依頼が売れ残っていた理由を。最初見た時に、低難易度の高報酬が無いと断言したことを、思い出すべきだったのだ。

いつもありがとうございます。


次回、皆様お待ちかね(?)バトルシーンでございます。…生暖かい目で見てください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ