表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
147/150

久々の現在進行形(23)

「ム・・ムグ・・ムググ・・」

あまりの痛さに、顔を押さえて悶絶した。

「AJ!」

ナノが猛スピードで飛んできて、心配そうに顔を覗き込んでいる。大丈夫と言いたいところだけど、それどころじゃない。

「さあ!さっさと説明してちょうだい!」

おいおい泣いているクソミミズを足にまとわり付かせたメデューサが、顔のすぐ横に仁王立ちして容赦なく訊いてくる。

「姫様〜!よ、よくぞご無事で!ワ、ワタシは、ワタクシめは・・!うおぉぉぉ〜ん!」

「ちょっと!シャア2邪魔よ!なんか痒いし」

「ひ、ひどいぃ・・うおぉぉぉ〜ん!」

邪険にされたクソミミズは、さらに声を大きくして泣いている。

もはや、嬉しくて泣いているのか、悲しくて泣いているのか。

「・・って・・痛ってぇ・・」

ケガはしないんだから、痛みがなくても良さそうなのに。まったくこのシステムには納得できない。

「こんなに痛がってんだから、いま説明なんて無理に決まってんじゃん!だいたい、そっちが悪いくせに!」

ナノがいきり立っている。

「ナ・・ノ・・待て・・っつ・・」

「なんで止めんのさ!」

薄目を開けると、ナノは真っ赤になって明滅していた。

「そっちが悪いってなによ!」

「姫様〜!よ、良かった〜!うおぉぉぉ〜ん!」

「だから、離れてってば!痒いって言ってるでしょ!」

「ひ、ひどいぃ・・うおぉぉぉ〜ん!」

メデューサにウザがられながらも、ミミズはさながら絞った雑巾のように身を捩らせて号泣している。

・・・うぇっ。キモっ。

首を中心とした全身がゾワゾワして、思わず目を逸らした。

自分の身体の表面を、まるで何かが這い回っているような嫌な感じ。

泣いてることがキモいんじゃない。

ん?じゃあ、どこがキモいんだ?

そろそろ見慣れてもいいはずなんだけど。

いつの間にか痛みはひいており、トゲを引っ込めたナノが、「AJってば!」と言いながら頭の上を高速でバウンドしていることも気に留めず、首を捻った。

・・・そうか!

胡座をかきながらポンと手を打った。

『充血したデカい目から、大粒の涙をボタボタたらしながらウネウネしている脚の生えた巨大なミミズ』のうち、『ウネウネしている脚の生えた巨大なミミズ』というのが生理的にムリなのだ。

イソメ玉もダメだったし、俺は細くてウネウネ動くモノがダメなのかもしれない。

うん、絶対そうだ!間違いない。

「ナノ!わかったよ」

声をかけると、ナノは俺の頭の上で動きを止めた。

「なに?何がわかったの?コイツらの弱点?」

「俺の弱点」

「・・・・・?」

「俺って、細くてウネウネ動くモノがダメなんだ。自分でも気づかなかったな〜」

一人でウンウン頷いていると、ナノに思いっ切り頭を叩かれた。

「なに言っちゃってんの!いまそれどころじゃないでしょ!」

「なんだよ!怒ることねえじゃん!」

俺とナノが内輪揉めしていると、

「あ〜、醜い」

メデューサはそう言って溜息をつき、俺達は動きを止めた。

「ほんっと、バッカじゃないの?醜態晒してんじゃないわよ。ああもう、だんだんイライラしてきた。ごちゃごちゃ言ってないで、早く説明してよ!」

「なんだよ、さっきからイライラしてるくせに。ちゃんと説明するって」

俺は立ち上がって話し始めた。

「まず冷静に聞けよ、いいな。最初から話すと、」

そこで突然、クソミミズが被せるようにして俺の話しを遮り、

「コイツ、コイツが姫様に毒を・・!」

などとのたまった。

「毒!?」

「や、違っ、」

「そうです!コイツが姫様に毒を盛ったので、姫様のお髪が傷んでしまったのです・・ヨヨヨ」

「なんですって!?どういうことよ!」

メデューサの眼がギラギラと光り、ザンバラ髪が、逆立って大きくうねり始めた。

「ちょ、ちょっと、お、お前、クソミミズ、これからお、お、俺が説明するから、お前はよ、よ、余計なこと言わずに黙ってろ」

クソミミズの野郎、余計なこと言いやがって!

しかも、『毒』なんてパワーワード使うんじゃねぇよ!

「ほらほら!慌てておるのが、何よりの証拠です!」

「違うって!とにかく話を聞けよ。な、落ち着けって」

くっそお!肝の部分はオブラートに包んで話そうと思ってたのに、何もかも台無しじゃねぇか!

「よくも毒なんて仕込みやがったわね!?」

「いや、待て、そもそも毒じゃないし、」

「毒じゃないならなんなのよ!」

「あわわわわ」

メデューサの髪が360度・・あれ?180度?・・まあとにかく、全ての髪が逆立って毛束ごとにうねりながらこちらに向かって伸びていく様子は、神話に出てくるメデューサそのものだ。

俺は今、神話を体現しているのかもしれない。

「もう我慢できない!」

ナノが俺とメデューサの間に浮き塞がった。

「AJになんかしたら、ボクが許さないからね!」

赤く光っているナノの表面が、青白い輝きを放ちパチパチいっている。

もしかして、放電する気なのか!?

「ナノ!ちょっと落ち着いてくれ!メデューサも、ちょっと落ち着いて、」

「メデューサですってぇ!?」

げっ!地雷踏んだ!

「ちょっと待てって!俺には羽がない」

「はあ?」

「ロ、ロウで固めた羽を持ってないんだ。だ、だから、お前に何かされても、避けることもできないんだよ!そんなの卑怯じゃないか!それとも、火星人は卑怯な奴らなのか!」

こうなったら、言いくるめるしかない。

火星人に通用するかはわからんけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ