3 アイビードーム
おこめ父さんは突然の展開に、かなりビックリした。
「えっ、僕がエレクの修行ですか⁉」
「そうじゃ、もしかしたらあんたも、エレクトルが使えるようになるかもしれんぞ」
キネウス村長がアッサリと返した。
「ええー…本当ですか?」
にわかには信じられなかったが、おこめ父さんはエレクゲートを通る事ができるし、確かに適性があるとも言える。
そう言えばアーサ王女が、みんな自分がどんなエレクトルを使えるかは選べなくて、彼女自身もある日突然、力が使える事に気付いたと言っていた。
でも、微妙なエレクトルが発動したとしても、もしかして彼女の父親を探すのに役立つかもしれない。おこめ父さんは次第に興味がわいてきた。
「ちなみに修行って、どこで何をするんですか?」
「お、いい質問ですね!ちょっと移動した所に、エレクアイビーが生い茂ってる場所が有るんですよ。俺達はアイビードームって呼んでます」
エレクアイビーとは地下世界独特の植物で、夜に溜め込んだエレクを日中に放出してくれている。この性質のお陰で地下世界にも昼夜があるし、おまけに熱や二酸化炭素を沢山吸って酸素に変えてくれるから、人々が快適に暮らせているのだそうだ。
「あそこのエレクアイビーって何かすごい良くて、スッポリ包まれると力がみなぎる気がするんですよね…たぶんあそこは昼でも良い感じのエレクが放出されてて、それを間近で浴びれるからじゃないかな」
(何だかマイナスイオンみたいだな…)
おこめ父さんがそう思っていると、横からキネウス村長も口を挟む。
「わしも若い頃はそこで修行して、いつしかエレクトルを使えるようになっとった。最初は指がいつもよりちょっぴり伸びた程度じゃったが、さらにそこで修行を続けて、今ぐらい手足を伸ばせるようになれたと思っとる」
「へえー…じゃあ本当に効果あるんですかね。みんなでやってるんですか?」
「…実際のところ狭くてな。7人か8人が限度ってとこかの…10人はキツキツで修行にならんな。まあ、狭いから効果が強いのかも知れんが。しばらく使われて無かったんじゃが、ポタトリアがまた何か仕掛けてくるかもしれんからの…最近それぞれの村から有望そうな若者を一人ずつ集めて、修行させとるんじゃ」
ノリスケと呼ばれたおこめ父さんの隣の人物はどうやら、選ばれし有望そうな若者の一人らしい。
「そう言えば村長、いつか会議で誰かが言ってたんですよね?オニギリ村の代表はトーサンで良いんじゃないかって」
若者の発言に、キネウスも真面目にうなずいた。どうやら本当の話のようだ。
「そうなんじゃよ。オニギリ村は誰を出すかまだ決まってなくてな…空いてるならトーサンを修行させたらどうかとな、誰か言っとったな…」
話しながら、老人の動きが一瞬止まった。視線は宙をさまよっている。大丈夫か…?とおこめ父さんが危険を感じた瞬間、キネウスが再び口を開いた。
「ん⁉よくよく思い出したら、わしが冗談で言ったんじゃったわい!ガハハハ…」
(ええ…僕のいない所で勝手な…しかも自分で発言したのに忘れてたんかい!)
さすがのおこめ父さんも開いた口がふさがらない。
横からノリスケがフォローに入った。
「でも誰も反対しなかったらしいですし、みんなトーサンの事は信頼してるんですよ!何たってこのライス王国を救ってくれた方ですから」
信頼されていると聞くと、悪い気はしない。
「それにアーサ様も、別に良いんじゃない?って言ってたそうですよ」
「‼」
自分の知らないところで話が進んでいるのもビックリしたが、ちょっと嬉しかった。それにエレクが使えるかも?というのはやっぱり魅力的だ。
「頼りになるかはちょっと分からないですけど…正直、興味は有ります。でも僕、若くないですよ?」
「何言っとる、わしから見たら子どもじゃわい!ガハハハ…上手いこと言うのう」
(そんなに上手くないし、自分で言ってたけどな…)
再び呆れているおこめ父さんの肩を、ノリスケ青年が軽く叩いた。
「よし決まりだ、ちょうど俺もこれから顔を出そうと思ってたんですよ。行きましょう…あ、ちなみに俺はノリスケ・イソベって言います。モチモチ村出身です。よろしく!」
「はい、僕はおこめ父さんです。こちらこそよろしくお願いします」
家に戻るというキネウス村長と別れ、ノリスケとおこめ父さんはアイビードームへと向かった。
高速輸送機を降りた2人は、徒歩で郊外の方面へ向かった。かれこれ30分近く歩いていくと、卵電車駅や建物も段々少なくなってきた。
「人里離れた場所もあるんですね…」
おこめ父さんは周りをキョロキョロしながら、とりあえずノリスケの後ろをついて行く。
「そうですね、大体の家や施設は遠くても最寄りの卵電車駅から15分以内ぐらいですけど。それより離れると結構どこも田舎だし、元々エレクアイビーも豊富なんです」
確かにツタのようなエレクアイビーが、地面の至る所に連なっている。避けながらだと、ちょっと歩きにくい。
やがて前方に、半円形の建物らしきものが見えてきた。ちょうどかまくらのような形だ。色は全体的に緑を基本としているが、黄色い光が放たれて淡く輝いている。近づくとそれは建物でなく、緊密に絡まったエレクアイビーがドームの形を成しているのであった。
「これがアイビードームですか…」
「そうです。ほら、もうここからでも何か良い感じでしょ?」
言われてみると、10メートルぐらい離れていても何だか心地良い気持ちになってきた。例えるなら天気の良い日に、木漏れ日の中で山を散策している感じだ。
ドームの一角には大人二人分ぐらいの隙間が空いていて、ちょうど出入り口となっているようだった。
すぐ近くまで来ると、ドーム内から声が漏れ聞こえてきた。
「ハッ!」「ハッ!」
中に入ると、5名の男達が掛け声に合わせ、空手の型のような正拳突きを繰り返している。
「(これが修行なんですか…?)」
おこめ父さんは小声でノリスケに話しかけた。
「そうです…体内のエレクの巡りを操る事が、エレクトル習得に近づくらしいですよ。地道ですけどね」
(これで近づくのか…?)
なおも疑いの目を向けるおこめ父さんに、ノリスケがさらに続ける。
「ほら、掛け声に合わせて拳を前に出してるでしょ?息を吸いながら自分の気を体の中心に集中させて、息を吐くと同時に手や足の先まで力を込めて、集めた気を一気に体内に巡らせるんです。掛け声は切替の合図ですね…この動きは、伝統の型らしいですよ。上手くなると、エレクがコントロール出来るようになるんだそうです」
そんなもんかなぁ…でもとにかくみんな真剣だ。キネウス村長もここで腕を磨いたと言っていた。とにかくやってみるか…
が、おこめ父さん達が修行に加わるより先に、前方で正拳突きをしていた男が話しかけてきた。
「ノリスケーぃ、今ごろ来たのか?」
「知ってるでしょ、ハレ踊りコンペティションだったんですよ」
「ああ、そうだったな…で、結果は?」
「優勝しましたよ」
「うぃー、さすがだな!…あれ、隣はもしかして、トーサン・オコメかぁ?」
その言葉に、集中していた他の男達も手を休め集まって来た。邪魔しちゃったかな…と思っていたら、聞き覚えのある声がする。
「トーサンじゃないですか!お久し振りです」
「あっ、ビーフンくん!」
かなり細身の青年が近寄ってきた。彼の名はアゲ・ビーフン。セリーナ王妃やアーサ王女には忠実な家臣5人組がいるが、そのうちの1人だ。
先程のオセキ・ハーンとこのアゲ・ビーフンのほか、気が短いが身内想いのポタポタ・センベイ、気が弱いが時に大胆なヅケマグロ・エドマエ、まとめ役で兵隊長のインディ・ピラウ。彼ら5人は昔から王妃や王女を支え、王国を乗っ取ろうとしたイモモチ前国王から不遇な扱いを受けながらも、王家の一族を信じ従い続けた者たちである。
「ビーフンくんも選ばれてたんだ…」
「ええ、僕は仕事があるんで断ろうとしたんですけど、ピラウさんがせっかくだから行って来いって…やるからには、メンカユ村の恥にならないよう頑張ります」
「そっか、スゴイね」
再会を喜びながらおこめ父さんは、もう一人見たことのある顔を見つけた。
「あれ?君はもしかして…」
視線が合った若者が、僕ですか?と言う顔で近づいてくる。
「何だよ、お前もトーサン・オコメと知り合いかぁ?」
先程最初に話しかけて来た豪快な男が、若者に尋ねた。豪快な方の男は間近で見るとかなり大柄だ。オセキ・ハーンと同じかそれ以上である。
「えぇ…あの、どこかでお会いしましたっけ」
若者はどうしても思い出せないようで、申し訳なさそうに頭をポリポリかいている。だが思い出せないのも無理はない。おこめ父さんはその時、ずいぶん違う格好をしていたのだ。
「ほらあれです、relief gardenの部屋で一緒になった…先輩と二人で来てましたよね?」
若者は驚いた様子で、目を見開いた。
「えっ…あ、あの時の…オシャレお兄さんすか⁉」
「いやまあ…オシャレかはちと分からないですけど、一応…」
王子のド派手でギラギラした衣服で出かけたら超絶オシャレ扱いされたのだけれど、地上世界ではとんでもなくダサいと不評だったので、何とも複雑な気分である。
おこめ父さんは最初にライス王国に来た際、崖から転げ落ちて全身ボロボロとなったのだが、その時アーサが案内してくれたのがrelief gardenで、エレクの力でものすごく身体の傷や痛みを癒してもらった。サウナのようなその一室で、この若者も先輩と一緒に来ていたのを思い出したのだ。
「そっか、あのオシャレお兄さんが…全然気づかなかったっす」
言いながら若者は、おこめ父さんの服装をチラチラ見る。今着ているスーツじゃ彼には物足りないんだろうな…そう言えば今日もライス王国の住人たちは、派手で奇抜な格好をしている。地下ではこういうのが普通なのだろう。
「君も選ばれたんだね…そう言えばあの時先輩さんが、君のこと未来を担う若者って言ってたもんね」
「よく覚えてるっすね…まあ一応ヤキメシ村代表ってことで、先輩にも頑張って来いってハッパ掛けられたっす。まさかあんな所で出会ってたなんて、全然気づかなかったなあ…光栄っす!」
若者はその後、申し遅れたけど自分はレタス・アンカケだと名乗った。ちなみに先輩は、ミミー・ゴレンと言うそうだ。続けてさっきの大男が話に入って来た。
「うぃー、せっかくだからちと休憩して自己紹介すっか!俺はサケマロ・コメノコウジってんだ。コウジ村から来たんだ、うぃー、ヒック…よろしくな」
大男は心なしか顔が赤く、フラフラしているように見えた。年齢はレタスやビーフンより年配だが、おこめ父さんよりは若そうだ。
「あの…もしかして酔ってますか?コメノコウジさん」
おこめ父さんが尋ねると、男は赤ら顔のまま答えた。
「いや、酔ってないよ」
「あ、そうですか…コメんなさい」
「あと、俺のことはサケマロでいいよ。だけど、うぃー…酒と聞くと飲みたくなってきたぜえ…」
「あ、はい…サケマロさん、よろしくお願いします」
(本当に素面なのかな…?)
サケマロの後ろで、小男が突如、爆笑し始めた。こちらは兵士のセンベイぐらいの背丈だ。
「ギャハハハ…!コメんなさいだってよ!ハハハ、ごめんなさいとコメをかけてるのかよ…笑いが止まらねえ、ひぃー」
改めてお米ギャグを解説しながら笑われると、なんだか恥ずかしくなってきた。自分で言うのも何だが、そんなに面白いか…?
さらに横から真面目そうな男が出てきて、メガネを拭きながら一息に挨拶した。
「ボリンさん、笑いすぎですよ。ええと、私はナット・マキと言います。ナットで良いですよ。スシクイネ村からきました。このバカウケしてる人は、マジウケ・ボリンさんです。彼はベイカー村出身です」
「あ、はい、僕はおこめ父さんです。よろしくお願いします」
モチモチ村のノリスケ・イソベ、コウジ村のサケマロ・コメノコウジ、ヤキメシ村のレタス・アンカケ、メンカユ村のアゲ・ビーフン、スシクイネ村のナット・マキ、ベイカー村のマジウケ・ボリン。
選ばれし6人に、不在のオニギリ村代表に代わっておこめ父さんを加え、計7名が修行の参加者となったわけである。そしてドームの広さから言えば、確かにこれぐらいの人数がちょうど良いようだ。
「うぃー、サボってないでそろそろ修行再開すっぞ!」
サケマロがパンと手を叩いた。自分で休憩にしたはずだけどな…
皆が間隔を取るため散らばって行く。おこめ父さんは他の人の動きを真似できるよう後ろに陣取った。
「よし、始めるぞ…ハッ!」
「ハッ!」
全員が正拳突きを始めた。おこめ父さんも見様見真似で交互に握り拳を前方に突き出す。もちろん掛け声も忘れない。
「ハッ!」「ハッ!」
声に合わせ手足に神経を集中させるのは、なかなか難しかった。慣れてないせいも大いにあろうが、何となく、口を開けたままだと何だか引き締まらないのだ。とりあえず5分ほど動きを続けると、体中がポカポカしてきた。
「どうだ、トーサン・オコメ?」
サケマロが振り向きざま話しかけて来た。
「うーん…僕が慣れてないせいでしょうけど、なかなか難しいですね…なんかキツイというか…でももう少しやってみないと」
「ハハハ遠慮しなくていいぜ、ちょうど俺達も伸び悩んでたんだ。何か違和感があるのなら、それが成長のキッカケになるかもしれねえ」
ボリンも汗だくになりながら言った。
「じゃあ…この掛け声で手足の先に集中させるのが難しい気がしました」
「確かにな、俺もちょっと締まらねえなあって思ってたんだよな…何か良いのねえかな?」
「えっとじゃあ…試しに僕に続いてください」
おこめ父さんは前方に出てきて、他の6人と向かい合わせになった。そして叫びながら正拳突きを放った。
「ハッツ!」
「ハッツ!…おお‼」
みんな驚いた様子だ。
「おいおい最後に一つ加えるだけで、べらぼうに違うじゃねえか!」
「ああ、流れはそのまま続けられそうだし、それなのにめちゃくちゃ引き締まる感じだぜ…トーサン、そのまま続けてくれ!」
「ハッツ!」『ハッツ!』
「ハッツ‼」『ハッツ‼』
(よし、この辺でもう少し…)
「ヨッツ!」『…ヨッツ⁉』
再び全員にどよめきが走る。
「おお!何だか分からんが少し変えるだけで、さらに良い感じだな!」
「本当っすね!ずっと同じじゃないのが良いのかな…マジ気合入るっす」
「ハッツ!」『ハッツ!』
「ヨッツ!」『ヨッツ!』…
「ミッツ!」『!!…ミッツ!』
「ムッツ!」『ム…ムッツ!』
「何だこれ…さらに力が入るぜ!すごいなトーサン」
「いやぁたまたまです、どうも…」
(何となく言ってみたけど、上手く行ったからまあいいか…)
7人はその後しばらく、ハッツヨッツ叫びながら修行に専念することができた。
「うぃー、いい汗かいたなおい!今日はこれぐらいにしとくか」
「ああ、トーサンのお陰で修行がレベルアップしたよな…ハハハ、ありがとうよ」
今日の修行はこれでお開きとなりそうだ。みんな充実した面持ちで腰を降ろし、汗を拭いたり水を飲んでいる。
おこめ父さんも汗を拭き拭き、レタスから水を分けてもらった。キリッと冷えた水が体を駆け抜けていく。
「前から思ってましたけど、地下の水って美味しいですよね」
「ええ、地下水だからミネラルを含んでるのと、普通にきれいで澄んでるんっすよ。保冷技術も発達してるし、食料と違って水は豊富にあるがさらに痛むことだろう。単純な動きだが繰り返せばかなりキツイし、一つ一つに集中しようとすると疲労度が半端ない。
「それにしても、エレクトルを覚えるのって大変ですね…みんなこれをずっと繰り返すんでしょ?」
「そうですね…しかも、何年も何十年もかかって芽が出ない事も多いですからね」
ロールが事も無げに答える。
「えぇっ!じゃあこれ、僕なんてぜったい無理なんじゃ…意味無かったかなあ…」
ビーフンが隣に座った。
「でも、トーサンは才能ある方だと思いますよ。地上の人間でエレクゲートを通れる人は、なかなかいないそうです。しかも今日、トーサンのアドバイス一つですごい良くなったんですから!」
「えー…あんなので?うーん、じゃあもう少し頑張ってみるか…ちなみに実はもう、エレクトル使えてる人とかもいるの?」
「そうですね…サケマロさんやボリンさんなんかは、兆候が出てるとか言ってましたよ。まだ確信が無いらしいですけど、修行を続ければ伸びるだろうって…僕は全然まだです」
「へえー、あの人達が…あ、でもほら、ビーフンくんもあの時の戦いとか凄かったし、きっと大丈夫だよ!」
「ありがとうございます。頑張ります」
「…それでよ、ハハハ!」
サケマロと話すボリンのバカ笑いが聞こえてきた。サケマロとボリンは年齢も近そうで、仲が良いようだ。2人は笑いながらこちらに歩いてきた。
「うぃー、それにしてもトーサン・オコメ、よく来てくれたぜい」
「おうよ、すっかりもうオニギリ村代表ってか⁉ガハハハ」
2人は酔っているようにも見えたが、きっと酒は飲んでないのだろう。
「いやいや、僕なんて全然です。誰か良い人が来たら譲りますから」
「遠慮しなくて良いぜ…ヒック、確かオニギリ村からはアーサ様どうですか?って誰か言ったんだけど、アーサ様が私は遠慮しとくわって言ってたらしいんだよ。謙虚だよな」
(うーん…もしかすると、謙虚ってよりこの動きが恥ずかしいからとかじゃないのか?)
おこめ父さんはそう思ったが、言わずにおいた。その横でレタスが続ける。
「まあ、この男臭さじゃ、アーサ様に混ざって修行してもらうのも申し訳ないっすね」
「ガハハハ!確かにな…ハハハ…」
ボリンは相当笑い上戸のようだ。
「ヒック、それによ…アーサ様がここで一緒に修行なんてしてたら、こいつも集中できないもんな!」
サケマロがニヤッと笑いながら、ビーフンをアゴでしゃくった。
「な…何言ってるんですかサケマロさん!真面目にやってくださいよ‼」
見るとビーフンの顔は、サケマロぐらい真っ赤になっている。
「うぃーすまんすまん、悪かったよ。芯があるし硬いやつだなあ、ヒック」
「はは…まあ言われます、お前は一族の中でも硬いやつだなあって…家族や親戚はみんな柔らかいんですけどね」
ビーフンが照れ隠しに頭をかいた。その横でボリンが笑い転げている。
「ハハハ!ハハハ…腹が痛え、ヒィー」
結構いつもの事なのか、ビーフンはサケマロ達と普通に会話し始めた。その横でレタスがそっとおこめ父さんに話しかけて来た。
「ビーフンと仲いいんすよね、トーサン?」
「えっ、まあ仲良いっていうか一緒に戦った仲間っていうか…」
「それならもう友人っすよ…あいつ、見ての通り芯は硬いやつなんすけど、ああ見えて結構心が折れやすいんすよ…修行でも自分がエレクトル出てないからって悩む時もあって。そんなすぐできるわけ無いって言ってんすけどね…トーサンもよかったら、あいつの事少し気にしてやってくれると嬉しいっす」
「分かったよ…レタス君、優しいんだね」
「そんな事無いっすよ」
レタス青年は照れくさそうに笑った。彼の温かさはまるで、チャーハンを包む餡掛けのようだ。
「…でもこれで、7人揃ったんじゃないですか?」
出し抜けにノリスケが言った。
「今ロールと話してたんですよ。ちょうど7人いますからね」
「うぃー、伝説の勇者7人ってか、確かに…神が願いを聞いてくれるかもな」




