ゼンダール帝国の悲劇(ライエル皇子Ver)
【残酷な描写】殺戮・戦闘の残酷描写あり
今回のお話( ライエル皇子Ver)は ライエル皇子 の視点で描かれています。
ウェリーとポポロに乗ってレスト町の領主ケサンドラ家に向う。
“ポポロ!”そう叫んでシェリュー・ケサンドラがペガサスに抱きついている。
綺麗な人だ!
領主は貴族会が行われるので帝都に向ったという。
「こちらの方は?」シェリューがウェリーに訊ねている。
ウェリーは耳打ちで私の身分を告げたようだ。
耳打ちするほど二人は仲が良いのか?
私の身分に彼女はカーテンシーで立派な挨拶をする。
姿も美しいし、品格も申し分ない。
いや、今はそんな考えを持つべきではない。
シェリュー・ケサンドラ子女の護衛と偽って、帝都に同行する事にした。
顔にはマスクを付ける。
ウェリーが以前付けていた物らしい。
顔を隠すような事をしたのだろうか、あいつは……。
このマスクを付け、翼を閉じたペガサスに騎乗してあいつの身分証を受け取る。
エルフも帝都に入るとノースから連絡があったらしい。
自分一人では何も出来ない事に歯痒さを感じる。
順調に貴族馬車は帝都に入る事が出来たので、直ぐに王城へと向う。
マスクを外し、城に入る。
「ライエル皇子が無事に帰城されました」
この言葉に驚いてエントランスホールにまで来たのはペスタゲルだった。
「生きて……いた?」
そのまま貴族会の大広間にウェリーと共に乗り込む。
「第二皇子ライエルです。失礼を承知で意見を述べさせてください」
部屋中に響くように大きい声で一気に捲し立てる。
「立太子についての協議と思いますが、私はペスタゲルに殺されそうになりました。
その様な皇子を立太子に就かせる事は出来ません。
今一度お考え直しください」
しかし、宰相のクラリーゲンが静かな声で制する。
「明後日ペスタゲル様が誕生日を迎えられた時点で立太子に就かれます。
ライエル皇子の証言だけでは覆す事は出来ません」
大広間のドアを開け王とエルフ達が入ってくる。
「ライエル皇子を立太子にする。私の推薦でも駄目か?」
父王が訊ねてくれる。
エルフの後ろからもう一人現れる。
「私は聖獣黒霊亀ノースである。ペスタゲルがライエルを傷つけるのを見た。
他にも証言する者がいるぞ」
「いや、しかし……」
貴族達に混乱が起こる。
ペスタゲルと王妃親子までが大広間に入ってくる。
片目が赤くなった王が静かに話し出す。
「今日今からライエル皇子を立太子に推挙する。
そして、私が死んだ後は直ぐに王となす!」
そう言って自分の首を小刀で切りつける。
「駄目です!」王妃の黄色い声が部屋中に響く。
「どうせ、明後日には朕が死ぬ呪いが罹っている。これで良い」
「駄目です。父上!生きてください」
「今からライエルが王である。我に呪いをかけた者を道連れにしよう」
王の最期の言葉だった。
「いやー!」王妃が倒れて苦しんでいる。
王と王妃に慌てて僧侶達が治癒魔法をかけるが、どちらとももう遅かった。
父の手にある小刀を取り、ペスタゲルに投げる。
「俺を殺すか、自分の命を投げ出すか?」
ペスタゲルは小刀の前に座り込み泣き崩れる。
「出来ない。僕には出来ない。お母様!」
この状況を見て宰相クラリーゲンが宣誓する。
「新王ライエル様に忠臣として使える事をここに宣言いたします」
そう言って片膝をつき胸に拳を当てる。
宰相クラリーゲンの後を追い貴族会の皆が服従の姿勢を取る。
悲劇で幕を開けた新王ライエルの物語がここから始まる。
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