ベクターの活躍
今回のお話は ダッサク共和国の教会・大神官ベクター・ゼステス の視点で描かれています。
教会に勤めて十五年、漸く大神官にまで上り詰める事が出来た。
大神官総帥ダーレン・カトラス集団の一員になれて喜んだ。
貧乏貴族の四男や五男は教会職員か冒険者だ。
同世代で大神官までなれたのは俺とハルリだけだった。
魔力の多いハリルはダーレン様に気に入られ養子にまでなったが、
「俺は何か間違っているかも」という言葉を残し、数日後魔力枯渇で亡くなった。
そう聞いた。ハリルの死んだ姿を誰も見ていなかった。
養子にしたのにちゃんと弔ってももらえなかった。
教会の裏庭の合同墓に投げ入れられていたという。
怒りから総帥への不信感が募った。
まずは貴族への賄賂。まぁこれはよくある話だが、脅迫に殺人教唆。
悪事千里を走るとはこのことか……。
悪い噂が絶えない。
「養父の後を継いだだけだ」そう言っているが、もう耐えられない。
酔って神を捕まえたと豪語している。
まさかそんなことなどあるはずが無い。しかし、確かめなくては……。
ダーレン様が出てきた地下室に向う。
男性が鎖で繋がれている。
生気も無い。本当に神様なのだろうか?
「大丈夫ですか?お水飲まれますか?」
《 誰だ? あの男の仲間ではないのか? 》
話すとまだ神のオーラが感じられる。
「神様なのですか?お名前を伺って宜しいでしょうか?」
《 ハーデルだ。お前は? 》
「ベクターと申します。貴方様をお助けしたいと思います。
何か私に出来る事はありませんか?」
《 ない 》
「大神官総帥ダーレンにはわからないようにします」
《 ……。
では、これをエルフに渡してくれ。もしかしたら…… 》
そう言って髪を毟り取り私に渡してくれる。
エルフ?私に届ける事が出来るだろうか?
「わかりました。直ぐには無理かもしれませんが、努力します」
二日後、ダーレン様は今日深酒をしたはずだ。
今夜しかない。何処まで行けるか?
教会を出て森に入ると、目の前に精霊が飛んできた。
《貴方が持っている物を出しなさい!命が惜しくば……》
「待ってください。これは大事な物でエルフに届けなければならないのです。
神様に頼まれた物なのです」
《神様ってハーデル様ではないでしょうね》
「どうして?」
《ずっと私はハーデル様を探していたの!ハーデル様は今どこに?》
「精霊様を信じます。私は神様を助け出したいのです。助力をお願いします。
神様は悪い男に地下牢に捕まっているのです」
神様の髪を入れた封筒を精霊に渡す。
精霊は封筒を抱き締めて泣いている。
「神様は神力を失っています。助け出すにも私一人の力では無理です」
《わかりました。では、三日後、ここで、もう一度お会いしたいです》
「はい。では」
それから私は精霊トキ様と使途タム様に時々会うようになり、ハーデル様を助け出す計画を立てた。
やり取りに暗号を使い、エルフ族や精霊様と連絡出来るようになった。
だが、戦争という言葉が聞こえてくるようになった。
隣国の大統領も大神官総帥ダーレンの息の掛かった者がなったと聞いて愕然となった。
それに、神様の反応が悪いと行動になかなか移せなかった。
そんな時、心強い勇者がこの国にいることを使途タム様から知る。
鍵も手に入れた。仲間も出来た。
やっと準備が整った。救出の実行を急ごう。
読んで頂き有り難うございます。
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