魔王の正体
精霊トキが語り出す。
《本当の事を話します。魔王はたぶんハーデス神のお子様ハーネル様だと思います》
皆が驚く。
《リリー様はとても美しくお優しい方でした。
二人は恋に落ちお子が出来たのですが、ハーデル様が天上に帰られている間に
体の大きなお子が産まれ、産後の肥立ちが悪くリリー様はすぐに亡くなられたのです。
ハーデル様は悲しまれリリー様のご両親にご子息を預けられ、また天上に帰られたのです。
その後ご両親も亡くなられて、ご子息は教会の預かりになりました。
そこまでは私も確認出来たのですが…… 》
タムが説明を引き継ぐ。
「教会関係者の話によるとハーネル様はやはり不思議な力を持っていたようで、その時の大神官総帥と仲の良かった貴族が引き取ったらしいです」
「どうして魔王になったんだ?」
「六歳で身長が二メーターを超し、その不思議な力が暴走したのを誰も止められなかったらしいのです」
「不思議な力とは何ですか?」私が訊ねると、タムが困った顔で答えてくれた。
「魔獣を作り出す力です」
「折り紙を折っては鳥や蟲、土を捏ねれば大型の獣に……。
そして、魔獣へと変わっていくのです」
「それから?」
「貴族が彼を隠していたようですが、数年後見た彼は怒りで我を忘れていました。
背丈が山のように大きくなった彼が暴れては誰も止める事が出来ませんでした。
貴族が何をしていて、彼があれほど激怒していたのか……。
私達は知らないのです」
「魔王が現れて、街中に魔獣が溢れたと聞いたのです。
それで、魔王討伐の願いが出たと……」
《はい。ハーネル様が作り出した魔獣が暴れたのだと思います》
「ハーネル様はどうして魔獣を作ったりしたのですか?」
「わからないのです。はじめは可愛い獣だったのですが……」
「俺は神様の子を封印してしまったのか?」
圭兄がショックを受けていた。
《封印?では、まだハーネル様は生きているのですか?》
「生きているのか?」圭兄も疑問形だ。
《封印を解くことは?》
「出来るかもしれない」
圭兄が思案を巡らせている。
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