暗殺
エルフ達が早めに到着したので夕食会は途中でお開きとなった。
明日の早朝に魔獣討伐隊が出陣する事に決まった。
部屋に帰ると、圭兄がとても迷った顔をしている。
「何?」私は不安になる。
「十六の頃、勇者になる前にこっちで結婚した事がある」
「えっ?」
「子供もいて、その子の子孫が今もここで生きている」
「待って!情報量が多すぎて追いつけない。その彼女は?」
「亡くなった。子供を産んだ時。
こっちではもう二百年ぐらい昔の事だけどな」
私は頭を押さえ込む。理解が追いつけない。
「いきなり婚約者って言ったと思ったら、奥さんがいたなんて……」
「ごめん。俺が婚約者って嫌だった?」
(そこじゃない!)
「嫌じゃ無いけど、嫌なの」
「……結婚していたこと?」
「……」
「今も昔も本気で好きなのは彩だけだよ。彼女は彩に少し似ていたんだ」
――静かな廊下に大声が響き渡る。
「お前の目!何故呪いまで解けているのだ?」
ペスタゲル第三皇子の声だ。
やはり緑の目は呪いだったのだ。
「呪い?」
「あっ」
そう言ってペスタゲルが走り去っていく。
私達の話が途切れた。気まずさだけが残る。
「魔獣討伐から帰ってきたら、ちゃんと全て話すよ。信じて待っていて」
肯くだけにしとく。
そのまま圭兄はエルフ達の所に行った。
翌朝、エルフのガテム十数名と圭兄とマークそして騎士団が討伐に出かけた。
人姿のノースも腕試しをしたいとついて行った。
―― (いなくなればいい!)
「勇者もライエルもいなくなればいい。そしたら全部僕の物だ」
「そうね……」
ペスタゲルとローセリアが何処かに連絡している。 ――
次の日、魔獣討伐隊が出発した後、城内が騒がしくなる。
「ライエル皇子のお母様が毒で殺されたぞ」
「犯人は使途アーヤだ。毒薬を飲ませたそうだ。捕まえろ」
突然の出来事にライエル皇子が私を匿ってくれる。
皆でライエル皇子の部屋に隠れる。
「どうして?」
「君は母上を殺したりしない。そうだろ?」
「はい。でも何故?」
「きっとペスタゲルの仕業だろう」
すぐにペスタゲルが部屋に入ってくる。
「おや?自分の親を殺した者を匿うとは、おかしいな?」
「ペスタゲル、お前が母上を殺したのか?」
ペスタゲルは笑って剣を振り下ろす。
私を庇ってライエルが手の甲に傷を負ってしまった。
傷口が紫色に変化する。
「まさか……ルミエの毒?」
「ほう!これがルミエの毒と知っているとは」
ベランダに出るがもう逃げ場はない。
ユキが炎を吐く。
その時、天から馬が落ちてきた。
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