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ゼンダール帝国の王族

騎士団の男が乗ってきたのはユニコーンだった。

体躯は真っ白で、(たてがみ)は黄色く尾は赤みを帯びている。

騎士団に数頭いるとケープからは聞いていたが、魔角にはポポロがしていたのより随分と大きいリングが()まっていた。

「あれでは逆らう事はできないなあ」

「えっ?」

「あれは完全服従用のリングだ。ただ働かされるだけだ」

ウェリーは悲しい顔で呟く。


一番大きな鞄に穴を開け、底に柔らかい布を敷いてチリーラを入れる。

「これで我慢してね」と話しかけると、「チュン」と一言。

ユキが鞄に《ナオス・ナオス》と言っている。

本当に早く元気になって欲しい。虹色の羽を見てみたい。


半日もかからず、帝都の王宮に到着する。

すぐに会うと言われ、私達は控え室に通される。

私は青いローブを(まと)い、ユキは聖獣に姿を変えた。

《こっちがラク》

騎士に呼ばれ広い部屋に行くと、大勢が並んでいる。

ウェリーの父親も官僚の一人として並んでいるらしい。

ウェリーの側に父親がいるらしいが、その男はウェリーに気が付かなかった。

何年も会っていない息子など忘れてしまうのか。

ウェリーは笑っている。


謁見の間、中央に王様両脇に皇子が豪華な椅子に座っている。

白い顔の皇子が第二皇子なのだろう。

そしてもう一人の皇子は、いかにもファンタジー物語に出てくる小太りの意地悪皇子みたいだ。

「私がゲルガ・フィリオーゲンだ。右が第二皇子のライエル、左が第三皇子のペスタゲルだ」

「私が国母のローセリア・フィリオーゲンです」

第三皇子の後ろにいた女性が自ら話し出した。

「君が各地で人の色や傷痕を治していると聞き及んだ。間違いないか?」

「私が精霊の使途アーヤ・ジカーベです。色を戻すように言われています」

「帝都は災害があまり出ていないが、ライエルは成人となり

丁度南の村々を巡廻していてこうなった」

“災害”?

「後の方々は?」

国母ローセリアが聞いてくる。

「私は元勇者のケープ・ガベルと言います。魔獣討伐のお手伝いに来ました。

後で来るエルフと合流します」

「勇者とは本当ですの?亡くなったと聞いていましたが」

「本当です。私は“流れてきた人”ですので、長生きなのです。

森で隠居生活を送っていました」

「後は冒険者のウェリーとマークとノース、賢者候補の少年ケープです。

そして、使役獣の聖獣ユキです」

ざわめきが波打つ。

「エルフが到着次第我らは魔獣討伐に向います」

「頼む」

「では、私は皇子様の問診を行います。何時が宜しいですか?」

「問診?」

「はい。色々お話を伺ってから治していく予定です」

「わかりました。今からでも構わない。良いですか、父上」

「かまわん。お願いする。アーヤ殿」


ライエル皇子と廊下に出ると、数人の貴族が自分の家族もお願いしたいと言ってきた。

私達は頷きながら控え室に戻る。

部屋に戻ると圭兄は巻物を広げ“召喚”と叫んでいる。

「召喚スクロールですか?珍しいですね」ライエル皇子がすぐに反応する。

「スクロール?その巻物の事?」

「私は使役獣も持っていませんし、魔法も得意ではないのです。

このスクロールは私が勇者になった時、聖女様だった方にいただいたのです」

「精霊?いや妖精?」

「あぁ、精霊ウェンディ西の戦場を見てきてくれ」

《はい。では、夜までに戻ります》

そう言ってキラキラを残し飛んで行った。

「精霊を初めて見た」ライエル皇子の瞳からもキラキラがでそうだ。

「水の精霊ウェンディは姿を変える事が出来る。

今回は偵察だから小さいがね、人の姿にもなれるよ」


圭兄とケープと共に第二皇子のライエルを色付けする為に色々な情報を聞いて回る。

「一番良いのは肖像画でもあれば早いのですが……」

「ある!母上の部屋にあります。連れて行きましょう」

中庭の離れに皇子と私で向う。

圭兄とケープは部屋の外に待機してもらっている。

「僕の母は第一側室なのです。今は病気がちなので離れにいます」

ベッドの上で横たわる女性。

「どなた?」

「僕だよ。事情があって使徒様を連れてきた。

あれが僕の肖像画だ」

「お客様がいらっしゃるのにこのような姿で恥ずかしいわ」

「大丈夫です。肖像画を見に来ただけですので、そのままで、お気遣いなく」

女性は紅の髪に翡翠色の瞳で美しい人だが、唇は生気無く白くなっている。

自然と鑑定してしまった。

酷い貧血だ。

私が持っていた薬をあげてしまった。

「一日一錠飲んでください」


そんな私を第三皇子が見つめていたとは気が付かなかった。


読んで頂き有り難うございます。

感想等いただけると嬉しいです。

宜しくお願いします。

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