話し合い
今日はエルフの森に泊めさせてもらう。
ケープたっての願いで私と圭兄と三人で一部屋にしてもらった。
「勇者の話が聞きたいです。お願いします」
二時間程話してケープが漸く疲れて眠ってしまった。
二人で今までのことを話し合う。
―― 人に押され事故にあった事。
「とても心配したよ。爆速で病院に駆け込んださ」
「あれ?結婚相手は?」
「あれは……母さんが五月蠅いから、偽彼女をお願いしたんだ」
「なんだ、そうなの?私全て諦めたのに……次は」
異世界に来て、神様に精霊の使途様として色の無くなった世界を変えて、“徳”を積むように言われた事。
その為に色付けをしたり、怪我などを治していた事を話す。
「生き返る為に“徳”を積もうと思っていたのに、圭兄がこっちに来るなんて……」
「俺の為?」
「だけじゃなくて私の人生“可もなく不可もない”って言われたのが、
解っていたけれどちょっとショックだったの」
「そうだね、今の彩の顔生き生きとしているよ」
「……圭兄」
「にいは止めて欲しいな。もう一人の男として見て欲しいんだが。彩」
「けい……ごめん、まだ恥ずかしい」
「追々でいいけど。まずは?」
―― 誘拐事件
「覚えているかな?まだ彩が小学校に入る前、キャンプに行って近所の女の子がいなくなった。誘拐事件だと大騒ぎした事?」
「ううん。覚えてない」
「実はその子と一緒に俺も彩もこの世界に来たんだ」
「それで?」
「さっちゃん=清花ちゃんはこっちの異世界に残らされた。
教会は聖女が欲しかったのだろう。俺と彩は捨てられた。
なぜか俺にはこっちとあっちを結ぶ黒い穴が視える。
彩を連れてあっちの世界に帰れたんだ」
「その子は?」
「帰ってこなかった。
報道で誘拐事件として大騒ぎになったから、今のマンションに引っ越したのを覚えてない?」
「今お爺ちゃん達が住んでいる家?」
「そう。そして三年後、俺はまた黒い穴を見つけて飛び込んだ。
あっちでは三年だったけど、こっちの異世界では三十年も経っていて、
彼女はもう大人になっていた。
一緒に俺と帰るかと聞いたが、答えはNOだった。
その子はダッサク共和国で聖女として長い生涯を終えたよ」
―― 勇者の話
「さっきもケープに話していたけど、魔王をやっつけたのって百数十年前?」
「大学生の頃、俺がバックパッカーに行ってたのを覚えているか?」
「十三年ほど前かな?」
「その時だよ、こっちで十年程勇者だったよ!
さっきも言ったけど、あっちの世界とこっちの異世界はパラレルワールドだと思うけれど、
時間の流れが十倍ぐらい違うんだ」
「?」
「そして、もう一つ……」
「まずは教会に行って神様と話をするわ」
「教会か……エルフの森にはないから、近い教会と言うと帝都だな。
帝都に一度向うか?」
「そうね。もう寝ましょう」
私はわざと話の先を聞くのをやめた。
私はなかなか眠りにつく事が出来なかった。
大好きだったはずの圭兄が手を伸ばせば届く所にいるのに、
私は一人手を握りしめた。
大猫姿のユキが私の胸の上に来て欠伸をする。
彩と圭のお話を整理してみました。
今までの所で、おかしい点がありましたらお知らせください。
読んで頂き有り難うございます。
感想等いただけると嬉しいです。
宜しくお願いします。




