族長会談
森の奥に進むと、可愛い扉がある大きな樹があった。
扉を開けて階段を降りると広々とした空間が現れる。
敵が来ると樹の妖精ドリュアスに頼んで扉を消し、逃げ道の地下道を作ってくれる。
ファンタジーの家だ。
「公民館とか避難所みたいな場所かな?」
「そうだな」
圭兄はまだ手を離してくれない。
ケープ、ユキ、ノースまでみんなが地下に呼ばれる。
地下の部屋は見た目よりかなり広く、もう族長達が集まっていた。
「遅くなってすまない。ケープがいちゃついていたから」
ガテムがからかうと、
「僕は何もしてない!」
少年のケープが叫ぶ。
「君もケープというのか?俺の名もケープ、ケープ・ガベルと呼ばれている。
よろしく」
「勇者の名前?」
「こいつは正真正銘の勇者だよ!」
一同が驚く。何より私が一番驚く。
「後で色々話そう」圭兄がウィンクをする。
異世界では圭兄の格好良さが五倍増しだ。
「さあ、まずは自己紹介から
長老が杖で床を二度タップすると、床から人数分の椅子が現れる。
それぞれの椅子に皆が座った頃、奥の扉が開き黒霊亀ノースと似た生き物が現れた。
《これは神獣玄武様では?北の神殿は?何故此処に?》
ノースが驚いて質問を畳み掛ける。
《 儂は引退して此処で余生を送っている。ただの相談役の玄武だ。 》
「次は長老を紹介する。第一の長ドラウ・ジェノブーナ 隣が儂の姉で大長老のドーラ・ジェノビーノだ」
「ちなみに森の名がジェノブ。森の皆は名が○○・ジェノブになる。
長になるとジェノブーナとなる」
圭兄が説明してくれる。
でも、何故こんなに詳しいのだろう?
「次は俺、第二の長ガテム・ジェノブーナ、次が第三の長のガラナ。
後ギュウラにゲルダだ」
「ケープはしばらくここに居たから皆知っているだろ?」
「魔王討伐の事で族長会談してもらったな」
「あの~、魔王討伐って百数十年前ですよね?」
「そうだ、少年。我々は皆三百歳前後だ」
「やはりエルフは長生きなのですね」
ケープは感心している。
「しかし、圭兄の年齢は?」
「勇者様も長寿なのですね。アーヤ様とはご兄妹だったとお聞きしたのですが……」
「何故か勇者や聖女は“流れてきた人”が多く、この人達はなかなか歳を取らないのだよ。
エルフほどではないが……」
大長老のお婆さんが笑いながら説明する。
「まぁ、年齢の秘密は彩にしか話さないよ」
また圭兄は私だけを見つめて微笑む。
ガテムが会議を始めると宣言する。
「心を癒やすアルタマリを助けてくれて感謝する
犯人はこちらで処分する。ダッサク共和国の者らしいが……」
処分?深く訊くことは止めよう。
「最近のダッサク共和国の動きは解らんことばかりだ」
「ユニコーンも欲しがっていたし、アルタマリは断れば盗んで行ったようだ」
「しかし、どうやって結界を入ったのだ?」
「……」
「彼奴らの荷物にシルバーフェンリルの毛皮があったが、
関係があるか?」
「シルバーフェンリルだと?」
「シルバーフェンリルは我々の特別な友人だ。フェンリルの長にも確認を取ろう」
長老が手を振ると、第五族長が何も言わず席を立った。
「ところで、なんで彩達はエルフの森に来たんだ。
少年の故郷に帰ったんじゃなかったのか?」
「これで相談が……」
ウェリーが懐から虹色魔石を取り出した。
「ポポロを生き返らせてください」
「これはユニコーンの虹色魔石です」
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