ミスリルの剣
光が消えると真っ青の領主様が怖い顔で訊ねてくる。
「黒霊亀様は大丈夫ですか?切りつけた者は?」
「命は助かりましたが、ミスリルの剣でいきなり切りつけられたそうです」
「まさか……」
慌てて教会を出て行く。
屋敷に帰ると項を垂れている領主様
「ミスリルの剣はこの国に三つしかなく、一つは王族もう一つは現王の外戚にあたるキンレイ公爵家が所有しています。
そしてもう一つの所有者がこのケサンドラ家なのです。
家宝として地下の宝物庫にあるはずが……」
いつなくなったのか?
火事の後に一度確認したはずだ。
俺以外で開けることが出来るのは執事しかいない
あの時の執事見習いは?
大火傷を負って辞めた者がいた。
執事が土下座している。
「火傷の詫び状を兄にずっと手紙を書いていたのですが、字が読める甥のミセルは居なかったのです。
ミセルは会計士になってずっと他の貴族に務めていると、大火傷など負ってはいないと……昨年返事が来て……申し訳ございません」
「ミスリルの剣があったという事は、この家は王族と関係が?」
「四世代ほど前かな、王が我が家の一番綺麗な娘を側室にと所望された。
彼方此方から縁談があったので、「正室でなく側室はお断り致します」と断ったところ、
いきなりミスリルの剣が届き断れなくなったと……一応家宝だ」
横暴な王だこと。
「ルミエ畑の事件は公になりますか?
ミスリルの剣の確認に王家から調査に来ますか?」
「エルフの森に連絡がいったから、来るだろうな……」
領主様の責任問題になるだろう。
「宝剣を見せて貰うことは出来ますか?」
「どうぞ構いません。宝剣以外にたいした物は入っていませんから」
領主様は項垂れているので、執事のアンジーさんに案内してもらう。
本当にがらんとした宝物庫だ。
シェリューの為にほとんど売り払ってしまったのだろう。
綺麗な箱の中には宝石で装飾された物があったが、抜いて見ると中は錆びた鉄剣だった。
一応鑑定もしてみるが“ただの錆びた鉄剣”としか表示されない。
「確認はしていました?」
「いえ、七年前の火事の時一度抜いて確認した後は、箱を開けるだけで鞘から抜いて剣を確認したことはありません」
《神様が言われたように、私はアーヤ様の使役獣となりましょう。
良ければ名前を頂けませんか?》
「北の黒羅様だったから、単純だけど“ノース”はどう?」
名を付けると絆が結ばれるのを感じる。
《聖獣黒霊亀ノースとなりました。宜しくお願いします》
「まずは智恵を貸して!」
《智恵ならばお近くに賢者様候補がいらっしゃいます》
振り返るとケープが本を読んでいた。
読んで頂き有り難うございます。
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