黒霊亀
ケサンドラ家の馬車に揺られているが、どうも心がザワザワする。
ケープが覚えたての知識を話し出す。
「ルミエ(闇夜花)の実は数年に一つ成るかどうかで、成った場合は十日目に結界を張っている黒霊亀様が焼き尽くすそうです」
「こくれいき様?」
「この大陸を護られている四神獣がいて、玄武様はそのお一人です。
神獣玄武様のお子様で百年結界の修業をされた緑霊亀様の中で甲羅が黒く成長された方が黒霊亀様といわれ、全国の危険な場所で結界を張られているそうです」
「大きさは?」
「黒霊亀様は最大で2mほどと言われています」
ケープは説明もどんどん上手になっていく。
「このルミエ畑のようなところはこの国で二カ所、大陸では八カ所あるそうです」
「ケープ凄いね」
猛毒だから結界が作られている。
「えっと。実は猛毒だが、球根は毒を抜いて薬剤としても使用する場合がある。
その為、三年に一度一日のみ結界が解かれる日がある。だそうです」
「じゃ、その日だけが黒霊亀様はお休み?」
「交代の日だそうです。三年間霞しか口にしないって聞いたことあったな」
領主様が教えてくれる。
「お父様も博学でいらっしゃる」
もう親子で嬉しさ倍増の笑みである。
しかし、近づくほどザワザワ感が増してくる。
そしてそれは現実の物になった。
光らなかった花があった北側のルミエ畑に着くと、大騒ぎになっていた。
「北の黒霊亀様が大変じゃ!結界が壊されている」
近づいてみると、黒霊亀様の甲羅に大きな傷痕があった
「誰がこんなこと……」
「黒霊亀様の甲羅って物凄く堅いんじゃ……」
「ミスリルの剣……」
領主様が青い顔をして黙ってしまった。
ユキが身体を大きくすると人々が道を空ける。
ユキは亀に近づいて《ナオス》を繰り返す。
「北の黒霊亀様!」
そう言って近づいて来た老人がいた。
そこに立っていたのは、あの眼が赤い真っ白な老人であった。
読んで頂き有り難うございます。
感想等いただけると嬉しいです。
宜しくお願いします。




