治療
【残酷な描写】
事件・怪我等の描写があります。
みんなで応接室に戻り、治療?の話をする。
「まずこれは治療というより絵を描き直すイメージです」
不安顔の皆さんにタブレットを見せる。
私の腕を撮った写真が残っているはずだ。
「私にも火傷の痕が残っていたのです。その時の物とこれが今の私の腕です」
見比べて貰う。
「これは絵ではないのかね?」
「絵とは異なります。まずお嬢様の腕から手の甲を写真で撮ります」
撮った写真のケロイド状の傷を消し、色を足していく。
「では、治していきますね。ペースト!」
一瞬で綺麗になる腕と手の甲。
「動きは大丈夫ですか?スムーズに動かせますか?」
お嬢様はゆっくりと腕をそして指を動かして号泣した。
「有り難う!有り難う!」
貴族の領主様が何度も頭を下げる。
「いえまだまだです。問題はお顔のほうです。かなり時間がかかるかもしれません」
「そうか……」
「それと昔にお嬢様か奥方様の書かれた絵とかは無いですか?」
「シェリューが生れたときに描いたのが一つだけあるが、火事の際にかなり煤けてしまった」
「一度見せてください。奥様のお顔が分かればもっと美味く描けそうなので」
「わかった。探させよう」
「まずは写真を撮りたいのですが、二人っきりになれる所へ行けませんか?」
お嬢様の部屋でベールを外して貰う。
流石に驚いた顔を私はしていたのだろう
「大丈夫ですか?かなり酷い傷なのでしょう?
鏡を見たことがないので……」
本当にこの屋敷で鏡を見た事がない。遠慮してもしょうがない。
「正直に言いますね。頭と右顔の傷がかなり酷いので時間がかかります。
背中とかはどうですか?」
「……」
「治して欲しい所を言って頂ければいいのです」
「では……では一緒にお風呂に入りませんか?
あそこなら裸になっても大丈夫だと思うので……」
「お風呂?お風呂があるのですか?」
「はい……」
「こちらに来てお風呂と聞いたのは初めてなので、嬉しくなって」
思わず浮かれた自分を反省。彼女は勇気を出してくれたのに……
「使徒様は“流れてきた人”ですか?」
「“流れてきた人”?」
「違う世界から来た人という意味です。聖女様は皆“流れてきた人”らしいのです」
「えっ……」
「使徒様、お風呂はどうですか?」
お城の地下に温泉があるなんて羨ましい。
「アーヤでお願いします。温泉なんて羨ましいです」
「はい、では私もシェリューと呼んでください。アーヤさんの好きなだけ居てください」
「そうですね。薬草を探しに来たのでそれが終わるまでお世話になります。
「まずは後ろ姿を見せてください」
「はい」
笑顔で答えるが右目は開くのも難しそうだ。
また長い髪が燃えてしまったのだろう背中も広範囲が傷だらけだった。
ゆっくりお風呂に入りながら、治し方を相談していく。
「白い肌と綺麗な髪ですね」
「三分の一しか残っていない髪を褒められたのは初めてです。
ストロベリーブロンドという色で母が同じ色だと喜んでいたのを覚えています」
風呂上がり写真を撮り、顔と頭以外のケロイド状のあとを消していく。
後は綺麗になった所に色を足していく。
一度ペーストして成功を確認し、顔と頭は数日かけると話した。
翌日、家族の肖像画が見つかった。
かなり燃えていたが、シェリューの母親の顔が判る事が出来た。
明日は満月らしい。
ユキの餌は勿論、作図に関した物も思いつく限り全てを元の世界から取り寄せよう。
極細のペンで顔を整え、綺麗な髪をできるだけ沢山書き加えていく。
丁寧にと思いながら睡眠も削ったが、お風呂だけは一日に二度入らせてもらった。
四日掛けて描いたシェリューは自分でも誇れるほど綺麗に描けた。
注釈に髪はストロベリーブロンド、眼は領主様の翡翠色にした。
「ペースト」
私の鏡を見たシェリューは驚いている。
庭に出てベールを外したシェリューを見て、皆が感嘆の声をあげる。
陽の光の中ピンクにたなびく髪はとても綺麗だった。
領主様はただただ涙を溢していた。
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