領主の娘
今回のお話の途中には 領主の娘シェリューの視点で描かれています。
二日後領主様から呼び出しがあった。
朝から温いシャワーを浴びて準備をする。
熱い風呂が懐かしいが、一流ホテルにもなかった。
私はいやいやワンピースを着て青いローブを纏い、ケープには瑠璃色の子供用スーツを用意した。
ホテルの前には黒い大きな馬車が用意されていた。
馬車には“使徒様”しか乗れないと言われたので、ウェリーとケープは一角獣のポポロに乗って馬車の後から付いて来た。
入城も私だけと言うことだったが、助手は絶対にいると強く願ってケープが私の後ろに立っている。
城の中は使用人も少なく調度品も華美な物は無く、貴族というのにお城以外は質素な感じだ。
この応接室も“断捨離”という言葉が浮かんでくるぐらいソファーとテーブル以外何も無い。
ノックがあり入ってきたのは執事らしき若い男性と私が大好きだったハリソン・フォードに似た“イケおじ”だ。髪はロマンスグレーだし、目の色が綺麗な萌葱色だ。
「私はこの町の領主ライドン・ケサンドラです。使徒様とお呼びしてかまいませんか?」
握手を求められる。
「私はアーヤ・ジカーベと言います。アーヤで結構です。
後ろにいるのは私の助手でケープと言います」
「使徒様というのも半信半疑でした。
失礼とは知りつつ、昨日ずっとあなた方を注視させていただきましたが、トメトの事は驚きました」
「あの…私達が呼ばれた理由を欲しいのですが、どなたかがご病気ですか?」
「いいえ。どこから話せばいいのか…。
まずは七年前なぜか私達の寝室から火が出て、となりの部屋に居た娘が逃げ遅れ大火傷を負ってしまったのです。
貴族とはいえこの町は裕福ではないのです。
ダッサク共和国の聖女の祈りを受けるのに白金貨三十枚以上と言われ、四年掛けて家財も売り払い、領民にも課税し、入国の税も引き上げ漸く集めたお金だったのです。
娘が成人する前にと思いダッサク共和国に向ったのです。
ところが三年前のあの日、この国に異常事態が起きたと連絡があり私は数名の兵を連れ帰る事に……。
妻と娘は聖女様の下へ向わせたのですが、途中賊に襲われお金を奪われたのです」
なるほど……それで領主様は色を奪われていないのだ。
「それは大変でしたね。お嬢様は?」
「命辛々神殿に着いたのですが、大神官にお金が無ければ治療は出来ぬと追い返されました。
こちらに帰ってきて妻は心労で倒れてしまい、そのまま帰らぬ人に……娘は部屋に閉じこもったままなのです」
「お嬢様にご兄弟は?」
「妻は元々身体が弱く子供は娘が一人なのです。いずれは養子をとるか、貴族籍を売るか……」
「火傷の痕なら消せると思います。
私も自分の傷を消しましたし、外にいるウェリーさんの傷も治しました」
私が漸く笑顔を見せると
「どうかお願いします」
領主様が泣いて私の手を取る。
「まずはお嬢様の様子を見なければ分かりません」
領主様とお嬢様の部屋に向う。
――シェリュー・ケサンドラの視点
窓から可愛い猫が入ってきた。
私はもうベッドから起き上がれそうも無い
私の上に乗る猫 いや猫よりかなり大きい
《ナオス!》
大猫が喋ったような気がする
もう私は永くないのだろうか
あれ、身体が軽い。今日は起き上がれそうだ。猫が窓の方で私を呼ぶ?
ベールを被り窓際へ行くと、窓の下に綺麗な馬が……いや一角獣が私を見つめている
綺麗だ。久々にベランダに出てみる。もっと近くで見てみたい。
男性が側にいた。私を見上げる
私は慌てて隠れ、座り込む。
ドアがノックされお父様が蒼いローブを着た女の人を連れ入ってくる。
「大丈夫か?」
お父様が私を抱き締める。
大猫は?……女の人に抱きかかえられている。
「初めましてシェリュー様、私はアーヤ・ジカーベと申します」
女は笑顔で私を見つめている。
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