染色クスルクの実と薬局
染料の元になるクスルクは春に実を付け、初夏は染められた糸や布が彼方此方で干されているはずだった。
しかし今は、荒れ果てた畑の中に枯れかけたクスルクがちらほらあるだけだ。
実は茄子のような形をしている。
まだまだ小さいがもうそろそろ色付く時期だと教えて貰った。
実を乾燥させて粉にして染料として使用し、粉の混ぜ合わせで色が変わるらしい。
黒色はまた別の染料があり、これは他国からの輸入らしい。
今日はあのお爺さんは居ないようだ。
少しホッとする。
実が沢山なっているクスルクを選び、周りの雑草を刈り取る。
写真を撮って教えて貰ったように色付けをする。
一つの株から赤と黄色と青の実が4:4:2になるように色付けと注釈を付ける。
これは六つの実がなっているので赤三個黄二個青一個で色を付ける。
もう一つの株も六つなっているので赤二個黄三個青一個と色を付ける。
そして、「同種一斉ペースト!」
白い雑草の中に色の付いたクスルクの実が現れる。
「諦めるところでした。有り難うございます」
涙を流す村人達……。
村長が皆に雑草等の手入れをするように促す。
この村に一件だけある薬屋を教えて貰い、ケープと訪れた。
魔女のようなラリー婆さんと陽気なラットンおばさんが二人でやっている店だ。
カッコンは採ったばかりの物があるらしいが、
甘草は最近手に入りにくいらしい。
どうしよう……。
「昔はバンブ林の中で見かけたのだけど、最近は見つけ難いのよね、色が無いから……」
薬局も薬草が手に入らなければ機能出来なくなっていく。
バンプ林で鑑定しまくって見つけ出そうか……
「外国産はとても高くてね。貧乏人には手が出せない。
こんな小さい店でもないよりましだけど、もうかなり経営は難しいね」
「そうだ!熱冷ましの薬があるのですがいくらかで買って貰えないですか?」
夢中になって二日で五十個ほど作っていた。
箱に入れた熱冷ましの丸薬を見せると
「あんた、調剤の魔法ば使えるとね?」
急にお婆ちゃんが立ち上がって驚いて、すぐ器用に二粒ずつ紙に包んでいく。
じっと見ていると
「あんた、薬包紙の包み方知らんとね?教えてあげるよ」
娘のラットンさんが教えてくれる。
教えて貰っている間、ケープは標本棚をずっと観察していた。
私は五回も包むと上手く包めるようになった。一つ勉強になった。
「これ全部とカッコン一袋交換でどうね?」
「はい」
カッコン一袋銀貨五枚と言っていた。丸薬一個100ドラになる計算だ。
「また何か作ったら持っておいで、私もお婆ちゃんも魔力が多い方じゃないからこんなに沢山作れんけん」
暫く通って色々と教えて貰おう。
夕食後、ケープに誕生日プレゼントだといって、本とマジックバッグをあげると飛んで喜んだ。
しかし、本を読んで暫くすると窓の外をじっと見つめた。
初めて見せるケープの寂しそうな表情だった。
本当なら家族でケーキを囲んでいたのかもしれない。
ケープの頭をくしゃくしゃに撫で回す。
「プレゼントありがとう」ケープはそう言って無理した笑顔を私にくれた。
次の日の朝早く、約束の二週間より前にウェリーが一人でやって来た。
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