出発
隣村までの出発の朝、ウェリーが護衛をしてくれる。
ウェリーの背には新しい弓があった。
弓道でみる和弓と呼ばれる物で、この村の特産品の一つだ。
少し違和感があるのは、弓の握る所の下に魔石を入れる部分がある事だ。
繁々と眺めていたら
「昨夜特別に良い弓を買ったんだ。
ここ、ポケットに風の魔石を入れると矢は倍以上のスピードが出る。
俺は風魔法が得意だからな」
ウェリーが説明してくれる。
火魔法が得意な人は火の魔石を入れると火矢が使えるそうだ。
ユニコーンはとても綺麗だ。
見惚れてしまう。
「ポポロは本当に綺麗だよね。帝都の騎士団にも数頭いるらしいよユニコーン。
そして、鬣と尾の色は一頭一頭違うんだって!」
自慢気にケープが話しかけてくる。
ポポロは鬣も尾も綺麗な天色だ。
ケープは旅に出られる事が嬉しいのだろう。足が地に着いてない感じだ。
目立たないように朝早くの出発なので、見送りは村長とケープの家族のみだ。
まだケープは淋しさよりも嬉しさが勝っているようだ。
ポポロは私達が乗った荷車をゆっくり引いてくれる。
積んでいるグラスバードの世話はケープの仕事だ。
私達が乗っているので、危険な山道を避け遠回りの道をウェリーは選んでくれた。
隣村までは宿がないので、基本野宿となる。
まだクリーンが上手く出来ない私とユキをケープが綺麗にしてくれる。
水魔法で上手くミストに出来ないのだ。
雨をかぶったように濡れたままになってしまう。
ウェリーがモンゴルのゲオをおもわせるテントをあっという間に組み立てていく。
屋根と入り口に魔獣除けの薬草袋を置く。
二人用なので少し狭いが、ケープと私で小さくなったユキを包み込んで寝るには十分だ。
二日目の夜にウルフの遠吠えが聞こえたが、魔獣に襲われることはなかった。
ただ、携帯食といわれる物はあまり美味しくなかった。
なので、グラスバードのゆで卵が凄く美味しく感じた。
ケープが何度見てもやはり調薬魔法の本は白紙で読むことが出来なかった。
がっかりした様子にウェリーは冒険者の基本が書かれている本をケープにあげた
「もう俺にはいらないし、まず全部覚えているしな」
ケープは飛び跳ねて喜んだ。
そうだ!もうすぐ誕生日だと言っていた。
それなら本をプレゼントしよう。
〈この国、いやこの大陸の歴史書〉
小声でリュックを探すとかなり分厚い本が出てきた。
〈布袋で……軽減措置がついたマジックバック〉
想像通りの肩掛けの布バックが出てきた。
隣村に着いたらプレゼントしよう。
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