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平和な世界で生きていたぼくたち

「ねえ、キツいこと言っていい?」

ふーちゃんの膝から降りて、人の姿になったコタは床に座り込み、皆を見上げ、話しだす。


「オイラ達って盗賊を退治したんだよね?

それの何が悪いの?

同じ人間を殺したから良心の呵責なの?

でもさ、あの時やらなきゃやられてたのはこっちだよね?

相手は殺すつもりだったのに、同族だからってこっちが殺さないんだから、相手もこちらを殺さないなんてのはキレイゴトだよ。

やらなきゃやられるってのは自然の摂理なんじゃないの?」

「コタ………」

コタのセリフに皆が唖然とする。

「皆肉を食べるために動物殺すよね?

熊や狼が襲ってきたら殺すよね?

人が襲ってきた時だけは殺さないってのは、オイラに言わせれば不自然だよ。

だって相手は奪いにきてるんだよ?

奪われたくなければ刃向かうのが当たり前じゃない?

そりゃあ闇雲に相手を殺していいわけじゃないけど、話し合う余地もなく殺しに来てる相手に、防衛のため殺しちゃうのは仕方ないじゃん」

「いや、しかしコタ……」

「この世界はさ、国が一つしかないから戦争なんてないけどさ、国がいっぱいある世界だったら、人間同士が戦争で殺し合うなんて当たり前だよ。

オイラの居た世界だって、オイラの国はここ何十年か戦争してないけど、他の国はドンパチやってるよ。

割り切るしかないんじゃない?

割り切れないなら冒険には出ないで、争いのない村の中でずっと生活するしかないんじゃないかと思うな」

子供のような身体付きで、見た目も子供なコタから出た言葉だとは思えないセリフだけど、

「コタ、戦争って何?」

そう、そんな言葉聞いたことがない。

「え?そこから?

て言うか平和な世界なよね、この国って」

そう言いながら説明してくれた話に、頭が追いつかない。

「祈りを捧げる神様が違うからって、別の神を信仰する相手を殺すの?」

「そうそう、金と宗教が戦いのは一番の理由だよ。

昔は領地欲しさにとか、頻繁にあったみたいだし。

自分の主張を通す為とか、相手が気に入らないとか、下らない理由もあったみたいだよ」

殺伐とした話を聞いているうちに、自分達が平和な世界で生きてきたんだなって思えた。

それはボクだけじゃなかったようだ。

「戦争……女子供関係なく命を奪うなんて、信じられない世界だな」

「いやいや、戦争がない世界の方が珍しいよ。

国と国じゃなくても、人間と魔物とかが争ってる世界で勇者や英雄として召喚するとかアルアルだし」

まぁリアルじゃないけど、と呟いた意味はよくわからないけど、恵まれた国にいた事は本当だと思う。

「だからさ、気にするなってのは無理だけど、気持ち切り替えるしか無いと思うよ。

まぁ、2、3日はゆっくりして出発するかどうか決めるって感じで、今日は疲れたでしょ?

ご飯食べて寝て、また明日で良くない?」

コタに仕切られるまま、今日は解散となった。


     *****


同室のミトさんと部屋に戻ってから、コタの言葉を考えた。

殺さなきゃ殺される、それは確かに当たり前なのかもしれない。

ただ、今までが殺すとか殺されるとかと無縁な生活だったから、こんなに心がざわつくのだろう。

冒険に出たらこれからも人の命を奪う事があるかもしれない。

村に戻れば命のやり取りなど無縁な安寧とした生活を送れるだろう。

ボクとしては、アス姉さんの決定に従うだろうけれど、ボク自身がどうしたいかって言うのも考えるべきだよな。

周りがどうするかではなく、ボクの気持ちを。

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