出発前夜
翌日からふーちゃんは、職場に旅に出る為仕事を辞める事を告げたり、借りている部屋を引き払ったり、家具や旅に必要のない色々な物を古物商に引き取ってもらったり、出発のための準備に取り掛かった。
部屋を引き払ったので、宿のアス姉さんの部屋で寝泊りしている。
ミトさんは、王都に付くまでに仕入れていた村々の商品を売ってお金に換えたり、商人の伝手で情報を仕入れたりと、ボク達とは別行動だ。
リュート兄さんは武器屋で新しい、今まで使っていた物より丈夫な剣を購入したので、慣れる為に郊外で剣を振るっている。
ボクは鍛錬のため手合わせしてもらったりしている。
でもどちらかと言うと姉さん達の荷物持ちが主だ。
家具を古物商に運んだり、旅立つための買い物に付き合ったり、食材仕入れに付き合ったり……パシリって言うのかな?
コタは「リュート様」とか「ラミシェル〜」とか言いながら、リュート兄さんやふーちゃんの側でチョロチョロしている。
楽しそうでいい事だ……きっと。
「そうだ、村長に手紙を出すんだけど、ふーちゃんの事どうしょう」
ふーちゃんの出発準備も整い、皆で夕食を食べている時にアス姉さんが問いかけてきた。
「村長にはふーも一緒に行くと伝えた方がいいんじゃないか?」
リュート兄さんが言う。
因みにリュート兄さんは、「ちゃん付けはちょっと……」と、『ふー』と呼ぶ事にしたそうだ。
「そうよね。村長に言うのはいいけれど、うちの家族には伝えない様にしてもらえるとありがたいわ」
「うん、言い方次第では、ふーちゃんの相手を認めたからって、村長の身の危険も有るかもしれないよね」
考えすぎかな?とも思ったけど、姉さん達は大きく頷いた。
「そんなにそんななんだ…」
ミトさんとコタは若干引いている。
「じゃあ村長に口止めもしっかりしておくわ」
「私も直接村長に手紙を書くわ」
「あ、ついでに俺の手紙も一緒に送ってもらえるかな?」
ミトさんが言うのに頷くアス姉さん。
「それじゃあ準備も済んだ事だし、明日あたり王都を出ようと思うんだけど、いいだろうか?」
リュート兄さんに言われて、皆頷く。
「私のせいで出発遅くなったわね」
ごめんねと、ふーちゃんが頭を下げる。
「別に先を急ぐわけでも無いんだから、気にしないでよ」
「そうそう、気にしない気にしない気にしない」
アス姉さんとミトさんが言うと、コタも
「オイラはラミシェル様とご一緒できるならなんでもいいです」
と、いつものように意味不明な事を呟いている。
「いくら似てるからって、ふーちゃんはふーちゃんなんだから、他の名前で呼ぶのは失礼じゃない?
やめなさいって」
アス姉さんのツッコミに、ごめんなさいと頭を下げるコタ。
「じゃあ明日の昼前には出るから、寝過ごすなよ」
リュート兄さんの呼びかけに手を振り、皆部屋へ戻った。
ふーちゃんは家を引き払って来たので、アス姉さんの部屋へ泊まる。
ちなみにボクはリュート兄さんと、コタはミトさんと同じ部屋だ。
部屋へ戻り、少したわいもない話をしてから眠りについた。




