ハッピー ミトクリアン
やあ、ミトクリアンだよ。
最近父に付いて商人デビューをしたばかりの19歳だ。
うちは空間魔法を持つものがよく出る家系なのだよ。
勿論空間魔法でも能力は様々なんだ。
俺の魔法は残念ながらあまり強力ではなく、容量は部屋一つ分ほど、しかも時間経過してしまうんだ。
父は大きな屋敷一つ分ほどの容量で、時間経過も無いので、いつでも新鮮な状態を保てる、能力の高い尊敬に値する人物なのさ。
正直言うと、俺の能力は半端過ぎて、商人には向かないってジジイやババアに言われてたんだけど、母の弟、つまり俺の叔父がマジックバック作りの天才で、その叔父が俺の為に沢山のマジックバックを作ってくれたんだよ。
容量はカバンのサイズそのままから、ベッド一台分と様々だ。
勿論時間経過も無い。
その複数のマジックバックを俺の空間魔法の中に仕舞うことで、俺の商人人生に光が見えたんだ。
沢山のマジックバックを駆使する事により、俺は商人として父に同行することを許されたのさ。
生まれ育った村を出て、見知らぬ土地で見知らぬ人と出会い、知らない事を学んで大きな人になる。
それこそが俺の本当の夢なんだ。
フクロギツネの獣人なので、身体的に大きくなることは無いけれど、その分も内面の大きな人になりたいと思っているんだよね。
まだまだ父に付いて回るひよっこだけど、沢山の村や町を回って、いずれは国一番の商人なんてのになれたらいいな。
そんな俺はある村で運命の出会いをしたんだ。
父に連れられその村の長に挨拶に行ったのは、年の暮れの押し迫ったころ。
思慮深そうな村長に聞かれるまま、いろんな話をしているところに、一人の女性が現れた。
お茶を運んできたその女性。
スラッと背が高く、整った顔をさらに華やかに見せる明るい金髪の女性。
一目惚れだよ、惚れない方がおかしいよ、こんな綺麗な人見たことないよ。
そんな俺に気づいたのか、村長はニコニコしているから、これは口説いていいって言ってる感じ?
これは是非滞在中に口説き落とさなければ!
結果的には当たって砕けたけれど、二度や三度のお断りで挫けてなんていられないよ。
しつこくならない程度に声を掛け、いろんな事を話をしているうちに、空間魔法の話になったんだ。
彼女は目をキラキラさせて聞いていたよ。
これで俺に興味を持ってくれたかな。
年が明け、村長の家での宴会中彼女に呼び出された。
なになに?年明け早々ハッピーエンドの予感?
と浮かれちゃったけれど、別の意味でハッピー展開したよ。
彼女の夢を聞いて、その夢は俺の夢と近いんだって思ったね。
勿論彼女の誘いは即OKしたよ。
他にも彼女の弟と、別の世界から来たと言うタヌキと言う魔物…ではなく、妖怪と、それからまだ後一人誘って5人で旅に出るんだって。
彼女の夢に向けるバイタリティはとても素晴らしい。
ますます惚れちゃうよね。
今は夢を追うのに頭も心も一杯だろうけど、一緒に旅してるうちに、彼女の気持ちも俺に向くかもしれないよね。
……でも俺も、彼女の事と同じくらいの重さで、夢を叶える事へのワクワクが溢れてる。
彼女と夢と…ああ、今の俺はハッピーに包まれた、国一番の幸せ者なのではないだろうか。
やはり彼女との出会いは運命だったのだよ。




