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【連載版】ミドサー転生幼女は働きたくない~面倒事はお断りです~  作者: Na20
第一章 三歳の幼女

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第7話 報連相

 

 お昼寝をして頭がスッキリした私は、帰宅後、父に話を聞くことにした。

 三歳の娘が突然『王女の病について知りたい』と言い出して、父はさぞかし困っただろう。

 どう話せばいいのか。そもそも子どもに話してもいいことなのか。

 悩んだ末、父は私に王女の病について話してくれた。

 ただ子どもに分かるようにと、だいぶ噛み砕いた言葉ではあったが。



(まぁ三歳児だからね)



 むしろ父が私に分かるようにと、頑張って話してくれたことに感謝したいと思う。


『魔力結晶化病』


 名前のとおり、魔力が結晶化してしまう病気だ。

 普通魔力には形がない。身体中を巡っているといっても血液のように液体でもない。

 そんな形のないものが、何らかの要因で固体になってしまう。

 そしてそれによって魔力の流れが阻害され、身体的不調として現れるそうだ。



「ただ私もこれ以上詳しいことは分からなくてね」



 それはそうだ。父は医官ではない。

 病気の進行具合や治療について。

 それを知るためにはもっと詳しい専門家が必要だ。

 でも三歳児が専門家を呼んでほしいと言って、受け入れてくれるか。

 否。

 ワガママだと判断される可能性が高いだろう。

 私の名前で呼び出すのは現実的ではない。



(どうしよう)



 一番手っ取り早いのは父に頼むこと。

 けれどそのためには、父に秘密を打ち明けなければならない。

 本当はずっと隠しておきたかった。



(でも、それしかない)



 今さら見なかったフリなんてできやしない。

 私は王女に、外の世界を思いっきり走らせてあげたいのだ。



「おとうさま」


「なんだい?」


「あのね⋯⋯わたし、まりょくがみえるの」


「魔力が⋯⋯?」



 父の顔に戸惑いの色が浮かんでいる。

 けれど私はそのまま続けた。



「うん。おうじょさまのここでね、まりょくとまりょくがけんかしてたの」



 そう言って左胸に手を当てる。

 これで父に伝わるだろうか。



「心臓⋯⋯?」


(ほっ)



 伝わらなかったらどうしようかと思ったが、無事に伝わったようだ。



「おうじょさま、くるしそうだった」


「⋯⋯エステル。本当に魔力が見えるのか?」



 先ほどは教えてくれなかったけど、父は王女の病気が心臓にあることを知っていたのかもしれない。



「うん。みえる」



 ここはあーだこーだ言うより、はっきりと事実だけを告げる。



「だから魔力炉も⋯⋯」


「いまはかんけいありません」


(終わったことは蒸し返さないで)



 父の言うとおりだけど、あれは騎士が直した。

 それで話が終わっている。それ以上は不要だ。



「⋯⋯そうだな。関係ない話だったな」


「はい」


「それで、エステル。お前はどうしたいんだ?」


(さすがお父様)



 話が早くて助かる。

 それに子どもの戯言だと切り捨てず、きちんと話を聞いてくれる。どれだけありがたいか。


 部下の話に聞く耳を持たず、自分がミスをして、そのミスを押し付けてくる上司とは雲泥の差だ。

 いや、比べることすら烏滸がましい。


 どうしたいのかと問われれば、王女の病気を治したい。

 でもいくら魔力量が多く、魔力が見えるという稀有な能力を持っていたとしても、今の私では何の役にも立たない。



「おうじょさまのびょうきにくわしいひとにそうだんしたいです」



 報告はした。

 だから次は連絡だ。それを父にお願いしたい。



「……分かった。陛下には私から伝えよう」


(ちゃんと報連相できた)


「ありがとうございます」



 これで今やるべきことは終わった。あとは連絡を待つだけ。


 父との話を終え、自分の部屋へと戻る。



(これから忙しくなる)



 きっと面倒事もやってくるだろう。

 けれどそれは、父に秘密を明かした時点で覚悟を決めている。

 これは仕事ではない。私のお節介だ。

 だからきちんと責任を持って最後までやり遂げる。



(でも今は)


「ミア。おみやげのケーキ、いっしょにたべよう」


「わぁ。ありがとうございます」



 腹が減っては戦はできぬ。

 私はその時が来るまでの間、のんびりまったりするぞと、ケーキに誓ったのであった。



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