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【連載版】ミドサー転生幼女は働きたくない~面倒事はお断りです~  作者: Na20
第一章 三歳の幼女

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24/25

第24話 それからのこと

 

 数ヵ月後。

 この日、城で喜ばしい発表がされた。

 それは、生後まもなくからこれまで病床に伏していた王女が完治したという、にわかに信じられないような内容だった。


 多くの者は喜んだ。けれど疑う者も多かった。

 しかしそれが事実であることを証明するかのように、一人の少女が現れる。

 その少女は国王と同じ色を持ち、顔立ちは美しいと名高い王妃によく似ていた。


『メロディ・ノル・エスペランゼと申します。みなさまにお会いできて嬉しいです』


 美しい礼を執り、ふわりと笑う少女。

 その姿にその場にいた貴族たちが思わず見惚れたのは言うまでもない。


 そしてその場で、王女の病を治した功労者として筆頭宮廷魔導士であるグレイ・アドスタークが、国王より褒章を授けられた。


『この度の功績はそ(・)な(・)た(・)た(・)ち(・)の力があったからこそ。王として父としてとても感謝している』


 アドスターク伯爵が王女の主治医であったことは周知の事実。

 だから貴族たちは特に気にしなかった。

 国王がアドスターク伯爵に褒章を授ける際に言った言葉を。

 国王はたしかにそ(・)な(・)た(・)た(・)ち(・)と言った。

 だが貴族たちは思った。

 きっと彼の部下である宮廷魔導士たちが協力したから、国王はあえてあのように言ったのだと。


 さらに喜ばしい発表とともに、王女の婚約が白紙になったことも伝えられた。

 詳細は伝えられていない。

 ただ聡い者は気づいているだろう。この場にいない男のことを。

 けれどわざわざその名を口にする者はいない。


 今後については決まり次第発表する。

 その言葉をもってその場は締めくくられた。



 ◇◇◇



「……謙虚な娘だ」



 国王は一人呟いた。

 王女の病を治したのも、王女を恐ろしい魔の手から救い出したのも、あの小さな勇者である。

 本当であればその小さな勇者に栄誉を与えたかったが、自分には分不相応だと言い、断られてしまった。


 己の力を持ってすれば、無理矢理に与えることもできただろう。

 けれど私は彼(・)女(・)の意思を尊重した。


 とりあえず今彼女のためにしてやれることは、次に城を訪れる際に彼女の好物である苺ショートを準備しておくこと。



「一体どんな成長を見せてくれるのか」



 彼女は、将来必ず歴史に名を残す人物になる。

 これからが非常に楽しみだ。



 ◇◇◇



「はふぅ」



 私はミルクを飲み干すと、そっと背もたれに寄りかかった。

 今はお昼寝あとのおやつタイム。今日のおやつはチーズタルトだった。

 濃厚なチーズタルトの余韻に浸りつつ、私は目をつぶる。


 あの日、虹色に光るマナリィの花を材料に薬を作ったところ、結果は大成功。

 それを王女に飲ませると、乱れていた魔力が嘘のように消え、ついでに残っていた赤い魔力もたちまち消し去ってしまった。

 これまでの経過から、完治まであと半年はかかると思われていたので嬉しい誤算である。

 ただ興奮するグレイは迷惑であったが。


 それから数ヵ月の間、王女は体力と筋力をつけるために懸命に努力し、そしてようやく今日お披露目となったのだ。



(無事に終わったかな?)



 私が昼寝をしている間にお披露目は終わっている。父が帰ってきたらどうだったのか教えてもらおう。



(……それにしても国王は何を考えているの?)



 当初、王女のお披露目の場で国王から褒章をとの話が出たのだが、即お断りした。


『さんさいじには、にがおもいです』と言って。


 三歳児が王女を救ったと国王から直接褒章を与えられる……。

 ブルリ。想像しただけで恐ろしい。

 結局、私の存在は隠すということで話はまとまったが、国王は何を考えているのだろう。

 三歳児に褒賞だなんて、正気を疑われてもおかしくはないのに。



「はぁ……」



 私は閉じていた目を開け、小さくため息をついた。

 国王のことを考えるのはやめよう。考えたってなにも分からないし。

 王女は元気になった。

 だから私は、これからのんびりゴロゴロ生活に勤しむ。

 それがすべてだ。



「どうかされましたか?」



 専属侍女のミアが心配そうに尋ねてくる。

 いけない、いけない。

 私はゆるゆると首を横に振った。



「なんでもないよ」


「本当ですか?」


「うん。ただあしたのことをかんがえてて」


「明日ですものね。王女殿下とのお茶会は」



 そうなのだ。明日はいよいよ王女とのお茶会。


『げんきになったら、いっしょにおやつをたべましょう』


 王女と指切りをした約束。その約束がようやく果たされるのだ。



「楽しみですね」


「うん」



 王女と会うのも楽しみだが、明日のおやつもすごく楽しみである。

 なんてったってお城のおやつはどれもおいしい。

 だけれども、今回はぜひとも苺ショートを所望したい。



(むふふ〜。楽しみ〜)



「さあお嬢様。そろそろおやつの時間は終わりにしましょう」



 楽しい時間はあっという間だ。名残惜しいが仕方ない。



「はーい」



 今回はイレギュラーな出来事だったが、これ以上の面倒事などないだろう。むしろあったら困る。


 私の今世の目標。それは、働かずにのんびりゴロゴロ暮らすこと。

 これからはその目標のために日々邁進するつもりだ。


 陰謀?策略?そんなの私には関係ない。

 私はただの三歳児。だから、



(面倒事はお断りです!)



 私の第二の人生は、まだ始まったばかりだ。

次回番外編です。

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