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【連載版】ミドサー転生幼女は働きたくない~面倒事はお断りです~  作者: Na20
第一章 三歳の幼女

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第18話 心強い味方

 

「エステル!」



 王女の部屋をあとにした私たちは、報告のため国王の執務室へとやってきた。



「おとうさ、うぐっ!」


(く、くるしい)



 扉を開けた途端父が現れたかと思うと、ギュッと抱きしめられる。

 待っている間、ずっと心配していてくれたのだろう。

 しかし娘の意識が落ちそうなので、いい加減離してほしい。



「落ち着いてください!」


(ナイス、グレイ!)



 すぐさまグレイが止めに入ってくれた。

 だからもう大丈夫。そう思ったのに、



「何を言っているのか。私はいつでも落ち着いています」


(何真面目に答えてんの!)



 思いっきりツッコみたいところだが、そろそろ本気でまずい。



(た、たすけ⋯⋯)



 もうダメ。そう諦めかけた時、救世主が現れた。



「公爵。⋯⋯娘に嫌われるぞ」



 威厳のある声が聞こえた。この声は国王だ。



「嫌われるだと⋯⋯?」



 国王のひと言に、一瞬父の力が緩んだ。

 私はその一瞬を見逃さず父の腕から抜け出すと、すぐさまグレイの後ろへと隠れた。



「エ、エステル?」


「⋯⋯」


「怒ってるのか⋯⋯?」



 本気で怒っているわけではない。けれどまた同じことをされても困る。

 だから怒っていることにしておくが、折り合いをつける必要もある。



「⋯⋯デザートふたつ」



 指を二本立てる。

 今日の夕食のデザートの増量。普段なら許してくれないだろう。

 でも今ならいける気がする。



「わ、分かった」


(わーい)



 結果よければすべてよし。


 そんなハプニングもあったが、ようやく報告会が始まった。



「王女殿下は、一人で立って歩けるまで回復しておられました」



 まずはグレイが報告をする。



「それは本当か!?」


「はい。歩けるようになったのは三日前からだそうです」


「っ⋯⋯そうか」



 国王が手で目を覆う。

 これまで一向に良くならなかった娘の病。それがこの一ヵ月で歩けるまでに回復した。

 喜ばずにはいられないだろう。

 しかし残念ながら『よかったね』だけで終わりにすることはできない。



「あかいまりょくのけっしょうがちいさくなっていました」



 これはとても重要な情報だ。この情報から分かることは三つ。


 一つ目、結晶が小さくなれば病状が改善すること。

 二つ目、この一ヵ月の間に犯人は王女と接触していないこと。

 そして三つ目は、王女に仕える使用人はこの一ヵ月の間も王女の側で世話をしていたため、犯人はではないこと。



「それは⋯⋯」



 誰かがつぶやいた言葉。しかしそれ以上言葉は続かない。

 ただ、国王も父もグレイも難しい顔をしていた。



(そりゃそうだよね)



 これくらい私でも気づいたのだ。シゴデキの三人なら、当然その事実に思い至っているだろう。

 このあとはどうするべきか。

 きっとそんなことを考えているはず。

 だけどその前に一つ確認したいことがある。



「あやしいひとはみつかったんですか?」



 まだ私に共有されていない情報。

 この一ヵ月の間に、王女に接触しようとした怪しい人物はいたのか。

 もしいたとすれば、その人は誰なのか。

 最終的には私が魔力を視て確認することになるのだ。

 そろそろ私も知っておくべきだろう。



「⋯⋯そうだな。そなたに伝えなければいけないな」



 どうやら以前、私は三歳だと言ったことを国王は気にしていたらしい。



「エステル。お前は知らなくてもいいんだぞ?」



 父が言う。

 犯人探しなんて普通子どもはしない。だから心配なのだろう。

 今回の出来事で、私の心が痛むことになるのではないかと。

 できることなら危険から遠ざけたい。そんな想いが伝わって来る。



「エステル嬢⋯⋯」



 グレイも心配そうに私を見ていた。



(みんな心配してくれている)



 本当なら、面倒で厄介な犯人探しなんてお断り案件だ。

 わざわざ自ら危険に突っ込むような馬鹿な真似はしない。

 けれどこれは、王女を助けるために必要なこと。

 王女が安心して元気になれるように、犯人をさっさと捕まえなくては。



「わたしはだいじょうぶです。だってみんながいるから」



 この三人がいれば怖いものなどない。

 それに私は魔力を視るだけ。それ以外は何もしない。

 あとのことは、できる大人にお任せだ。



「分かった。そなたの真心に感謝する」



 そのあと国王が、怪しいとされている人物の名を挙げた。


 複数回王女との面会を求めた者。

 王女に贈り物をしようとした者。


 名を挙げられた者たちすべてが、このどちらかに該当するのだそう。

 そんな中、挙げられた名前の中に私の知っている名前が二つ。


 一つはアルト・ハジェス侯爵。

 もう一つはカイル・ハジェス侯爵子息。



(これはもう⋯⋯)



 きっとここにいる全員が同じことを思っているだろう。

 それならダラダラ議論をする必要はない。

 だから私は、はっきりと結論を述べた。



「ハジェスこうしゃくのまりょくをみます」



 あの日視た、見覚えのある鮮烈な色。

 ようやくあの日の答えを出す時が来た。

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