第5話・未知のスキル
ティナからアドバイスをもらい、執事のセバスチャンの所へ向かった。
セバスチャンは、親子2代でミラルディア家に仕えてくれている2代目執事だ。年は35歳ほどで黒髪オールバックがよく似合い、メイドたちの間で人気が高い。まさに、イケメンだ。
知識も豊富で仕事もできるので、若くして亡くなった父の跡を継ぎ他の執事やメイドたちを束ねる執事長も担ってくれている。
「セバスチャン、今お時間いいですか?」
「はい、アルフレイル様、なにか御用でしょうか?」
「ここの図書室には錬金術の本が1冊しかないみたいで…他の部屋にあったりする?どこで読めるか知らない?」
「…アルフレイル様はまだ文字が読めないはずでは?天命の儀も受けておりませんのにそのような本をお探しとは。」
「あ…えーと…。文字の勉強中でね、興味のある本から読んでみようかなぁ、なんて思って」
(セバスチャンのするどい目が、こわい)
なんでも見通せそうな目を見ると、そらしたくなる。
「まぁ、いいでしょう。私の知る限り、この国には錬金術の本はあの一冊しかありませんね。錬金術のスキルを持つ者が少なく、研究が進んでいないということもありますが…」
「え。そうなの?」
「えぇ、正式に本として売られていないだけで、それぞれの錬金術スキルを持っている方達が独自で研究をしている資料はあるのかもしれませんね」
「そっか…。近くに錬金術スキルを持っている人知ってる?」
「…文字の勉強ならば他の本を読んでみては?」
「はは、それもそうだね」
「とはいえ、私も錬金術スキルを持つ者を知りません。お力になれず申し訳ありません。」
「ううん。大丈夫だよ、他の本で勉強するよ。ありがとう。お仕事の邪魔してごめんね。」
「いえ、では失礼いたします。」
アルフレイルが歩き出してもまだ、セバスチャンはアルフレイルを目で追っていた。
(んー。錬金術スキルを持ってる人は少ないのか…面白いスキルなんだけどなぁ。)
「あ、そうか。皆んなは天命の儀で神様から与えられるだけで選べないんだもんな。」
ふと、他のスキルを思い返す。
(スキル『創造』は、何かを作り出せるスキル。本には無い錬金術だってこのスキルで作れるかもしれない。)
そう思い、もう一度図書室へ戻り『スキル辞典』とある本を開く。しかし、僕のスキル『創造』は載っていなかった。
「辞典に載ってないってことは、この世界には無かった新しいスキルってことかな?これもセバスチャンに聞いてみれば良かったかなぁ」
(でもやっぱこのスキルで何ができるかは確かめたいな!)
庭に出て、いつもの場所でいつものように周りを確認して人がいないことを確かめた。
「よし。誰もいないな。創造スキルを試したいけど参考にできる本もないし、とりあえずイメージしたものが作れるのか試してみよう。」
まずは小石で何か作れないか試してみることにした。右手に小石を乗せ、魔力を流してみる。
「何も起きない…何か唱えてみるか?」
もう一度魔力を流してみながら
「創造」
と唱えてみたあとに鑑定してみるが、『小石』とでるだけで何も変化は起こらない。
(イメージが大事なのか?…それなら…丸くてツルツルした表面、透き通った青色。ビー玉になれ!)
もう一度魔力を流す。
すると、小石が白い光を放つ。
光が消えると、前世で見たことあるビー玉が手の上に転がった。
「おぉ!成功だ!」
これを鑑定すると、
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素材名 ガラス玉
品質 A
説明
高純度のガラスで作られた球体。
効果
魔力を蓄積でき、魔道具の核として使用可能。
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という内容であった。
(錬金術は素材を分解や構築でき、創造はイメージした完成品が作れる、というところか?)
その後は、錬金術を初めて試した時のように、庭で目に付く物を素材としてスキルを試していった。
夕方近くになり、そろそろ部屋に戻ろうとした時だった。
ガシャーーン!!
何かが割れる音と同時に、悲鳴が聞こえた。
アルフレイルは反射的に音の方へ駆け出した。




