第10話・最初の協力者
(ーーしまった!!)
見つかってしまったことに焦っていたが、なんだかティナの様子がおかしいことに気付いた。
顔が赤い。
「あの…どうかしましたか?」
「ふ…ふ…」
「ふ?」
「服!なんで着てないんですか!」
(あーー!!!しまったー!)
急いでアイテムボックスから大人用の羽織りを取り出す。以前、実験していた時にも4歳の子供服は破れてしまい、大人用の服を用意したことをすっかり忘れていた。
「ごめんよ、ティナ!もう大丈夫だから!」
「ふぇ?なんで私の名前を?…よく見ると、アルフレイル様に似てるような…」
(あ、しまった。つい名前を呼んでしまった。)
「アルフレイル様なんですね?」
(…ティナなら悪意をもって言いふらすこともないだろうし…これから先、協力者がいた方がいいとも考えていたしな。)
そう考え、打ち明けることにした。
「そうだよ。驚かせてごめんね。」
「やっぱりそうでしたか。…そのお姿は?」
「ちょっと、僕が作った薬の実験をしていてね。今は副作用がないか調べているんだ。」
「…信じられません。…が、今目の前で見てしまいました。…アルフレイル様はどこか普通ではないと思っておりましたが…。4歳にして薬を作れるなんてやはり普通ではなかったのですね。」
(あれ?もっと取り乱すかと思ったけど…割と冷静だな…)
「1つ、お聞きしてもよろしいでしょうか?」
「うん、何かな?」
「なぜ、そのような薬を求めていらっしゃるのですか?」
その質問に答えるには、スキルのことや加護のこと、女神様のことを話さなくてはいけない。
しかし、信じてもらえるとも思えないし、何より女神様が付けた条件の『他人に言ってはいけない』が、どこまで適用されるか分からない。
そこで、本当のことと少しの嘘を交えて話をした。
「…つまり、アルフレイル様は、天命の儀を受ける前で既にスキルと加護を持っていて、称号が商人見習いだから早く商人としての道を歩む為に大人になる薬を作っていた、ということですか。」
「そうそう。」
「それにしても…なんというか…大人のアルフレイル様は…こんなにも素敵だなんて…」
「ん?何か言った?」
まだティナの顔は赤いままだったので、熱があるかとも尋ねたが、近づいておでこに手を当てたらすぐに
「だ、だだ、大丈夫です!!」
と、後ろにさっと逃げた。顔に触られるのが嫌だったのか、申し訳ないことをしたと思い、冷やしたハンカチをティナに渡した。
「それで…秘密にしてくれるかな?」
「…かしこまりました。…ただし、条件があります。」
「条件?」
(そうだよね。こういう時ってやっぱりお金かな。ティナの家庭の事情もあるし…)
「私にも、協力させてください!」
「うん。…え?」
「アルフレイル様の商人になる道、私にも手伝わせていただきたいです!」
「えぇ!?そんなことでいいの?」
「はい!私は以前お話ししたように商家の娘です。多少なりともお力になれることがあると思います!」
「それは…願ってもないことだよ。ありがとう。」
微笑んで見せると、ティナは真っ赤の顔のまま、ふらりと後ろによろけた。慌てて背中を支える。
「大丈夫?やっぱり熱があるんじゃ…?」
「はぅ!そんな…顔を近くに…」
ティナが気を失ってから、意識が戻るまで冷やした布をおでこに置いて、隣で休んでもらった。
目を覚ます頃には、アルフレイルの身体は元の4歳の身体に戻っていた。
「…アルフレイル様!すみませんでした!」
飛び起きて土下座をして謝るティナに手を差し伸べて言った。
「ティナ、これからよろしくね。」
「…はい!」
2人は握手をし、笑い合った。
♢♢♢
その頃ーー。
隣街の領主の屋敷の地下牢で、領主の息子であるラドムーアが奴隷として買ってきた小さな獣人族に暴行をしていた。
「今度のおもちゃはすぐに壊れないといいなぁ!」
「…だれか、たすけて…」
小さな獣人族の少女は壁際で震えながら涙を流した。
♢♢♢




