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20話 沈む
池に叩きつけられた音が、やけに鮮明に響いた。
衝撃で、目を覆っていた布が外れる。
だが、手足は縛られたままだ。
動けない。
その間にも、体はどんどん沈んでいく。
足に、重い感触。
視線を落とす。
――石。
ロープで巻かれ、足に縛りつけられている。
重石だ。
息が苦しい。
このままじゃ、沈む。
後ろに回した手で足の縄を探るが、指先がかすめるだけで届かない。
そのとき。
池の底で、
何かが――動いた。
「っ……!」
ぞわり、と背筋が冷える。
ワームだ。
喰われる。
こんなところで、こんな死に方――絶対に嫌だ。
その瞬間、腰の小型ナイフを思い出した。
腕を無理やりねじり、引き抜く。
そのままロープに刃を押し当てた。
切れろ、切れろ、切れろ――
同じ場所を何度も削る。
指先の感覚が鈍くなる。
それでも止めるわけにはいかない。
十数回目。
ぷつり、とロープが切れた。
足が、ふっと軽くなる。
切り離された重石が、沈んでいく。
――その奥で。
暗闇の中、
二つの黄色い目が光った。
来る。
まずい、上に――
でも、もう息が限界だ。
肺が焼ける。
もう……
意識が、遠のく。
視界の端に、
水を切って飛び込む影が見えた。
マグシム――
そう気づいた瞬間、
すべてが、暗転した。




