第6話 進路希望調査票・面談記録
【文書種別】進路希望調査票・担任面談記録
【作成日】2146年5月28日
【作成者】白峰学院高等部 進路指導部
【対象】2年A組 真柴透
【担任】深瀬亮平
【状態】進路指導部共有控え
【備考】本人入力欄、担任面談記録、学習状況メモを含む
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1. 進路希望調査票
氏名:真柴透
学年・組:2年A組
提出日:2146年5月21日
第一希望:教育学部
第二希望:社会学部
第三希望:未定
希望する進路区分:大学進学
推薦利用希望:あり
奨学金利用予定:あり
自宅外通学:現時点では困難
保護者との相談:未完了
担任との個別面談:希望する
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2. 本人記入欄
将来希望する仕事、または関心のある分野を書いてください。
> 学校に関わる仕事をしたいです。
> 教師か、進路相談に関わる仕事を考えています。
> 理由は、自分が進路を考えるときに、最初にお金のことを考えてしまうからです。
> 行きたい学校を書く前に、行ける学校を探してしまいます。
> それは現実的には必要なことだと思います。
> でも、それだけだと、最初から選択肢を減らしている感じがあります。
> 家の事情を言い訳にしたいわけではありません。
> ただ、本人が努力していないわけではないのに、条件のせいで先に諦めることはあると思います。
> 自分も、行きたいと思ってから無理だと分かるのが嫌で、先に無理かどうかを見ます。
> そういう時に、本人が知らない制度や、聞きにくいお金の話を一緒に調べられる人が学校にいたらいいと思いました。
> 「頑張れ」だけでは足りないと思います。
> でも、「無理だ」と決めるのも早いと思います。
> まだ自分が本当に教師になれるかは分かりません。
> でも、家庭のことやお金のことで、進路を言う前に黙る人を減らせる仕事がしたいです。
入力履歴メモ:
上記欄は提出前に三回編集あり。
削除済み文言に「自分がそうだったので」「相談していいと先に言ってほしかった」「困ってから探すと、間に合わないことがある」「助けてもらう理由を先に説明できないと、相談してはいけない気がする」が含まれる。
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3. 家庭状況・進学条件に関する本人申告
以下、本人申告に基づく。
詳細確認は奨学金担当および保護者面談で実施予定。
・母と同居。
・父とは別居。
・大学進学時は給付型奨学金を第一候補とする。
・貸与型奨学金については本人が慎重。
・自宅外通学は、本人、家庭ともに現時点では困難。
・成績基準を下回った場合、現在の在籍条件および進学計画に影響あり。
本人発言抜粋。
> 「家に余裕がないというより、余裕がある前提で計画できない感じです」
> 「母は、行けるなら行っていいと言います。でも、その言い方になるのは分かります」
> 「推薦か給付型を狙いたいです」
> 「成績を落とすと、進路の話をする前に終わる気がします」
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4. 学習状況メモ
直近三か月の成績推移は、おおむね上位帯を維持。
ただし、英語・数学に小幅な低下あり。
定期考査、校内小テストともに再試対象なし。
StudyNest学習ログは、本人電脳IDに紐づく校内連携ログとして記録される。
平日夜間の使用時間が増えており、休み時間にもStudyNestの電脳表示を開いていることが多い。
睡眠管理連携記録では、睡眠時間の短縮傾向あり。
担任所見。
・提出物の遅延なし。
・授業態度は良好。
・質問は少ない。
・分からない箇所を自力で抱え込む傾向あり。
・疲労の蓄積が疑われる。
本人発言抜粋。
> 「休むと、その分だけ落ちる感じがします」
> 「落ちても戻せばいいと言われますが、戻す時間がある人とない人がいると思います」
> 「自分よりできる人がまだやっているので、自分が止まる理由がないです」
> 「寝た方がいいのは分かっています」
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5. 担任面談記録
実施日:2146年5月24日
場所:北棟三階 第二準備室
面談者:深瀬亮平
対象生徒:真柴透
面談目的:進路希望確認、奨学金利用予定、学習負担の確認。
面談要旨
本人は、教育および進路支援分野への関心を示している。
志望理由は、本人の家庭状況および進路検討時の経験に基づくものと見られる。
現時点では具体的な大学名よりも、「進学が可能かどうか」の確認を優先している。
一方で、成績維持への不安が強い。
努力量を減らすことに抵抗があり、休息を「遅れ」と捉える傾向がある。
深瀬所見。
> 真柴は、努力不足の生徒ではない。
> むしろ、努力以外の手段を自分に許可しにくい生徒である。
> 「休む」「相談する」「制度を使う」ことを、本人はまだ自分の選択肢として持てていない。
> そのため、通常の補習や資料提示だけでは、不安の軽減につながりにくい。
> 教育支援分野への希望は、本人の経験と接続している。
> 軽く扱うべきではない。
> ただし、このまま自己管理のみで成績維持を続けると、進路希望以前に体調面で崩れる可能性がある。
> 本人が「特別扱い」と受け取らない形で、学習環境を調整する必要がある。
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6. 面談時発話抜粋
深瀬:
「教育に関わりたいと思った理由は、進路調査に書いたことで合っていますか」
真柴:
「はい。うまく書けたか分かりませんけど」
深瀬:
「十分伝わります」
真柴:
「ありがとうございます」
深瀬:
「行きたい学校を書く前に、行ける学校を探す、とありました」
真柴:
「はい」
深瀬:
「それは、いつもそうですか」
真柴:
「だいたい、そうです。先に無理かどうかを見ます」
深瀬:
「無理だと分かる前に、希望を持ちたくない」
真柴:
「……はい。そうかもしれません」
深瀬:
「それは悪いことではありません。現実を見る力でもあります」
真柴:
「でも、それだけだと駄目だとも思います」
深瀬:
「だから、進路支援に関心がある」
真柴:
「はい。自分みたいな人に、先に教えられることがあると思うので」
深瀬:
「何を」
真柴:
「制度とか、奨学金とか。あと、家庭のことを言ってもいいってことです」
深瀬:
「君は、それを言いにくかった」
真柴:
「はい」
深瀬:
「では、君はそう言える側になりたい」
真柴:
「なりたいです」
深瀬:
「そのためには、今ここで折れないことも必要です」
真柴:
「はい」
深瀬:
「ただし、折れないことと、一人で抱えることは違います」
真柴:
「はい」
深瀬:
「君は、その区別が少し苦手です」
真柴:
「それは、たぶんそうです」
深瀬:
「苦手なら、別のやり方を用意すればいい」
真柴:
「別のやり方、ですか」
深瀬:
「今すぐ決める話ではありません。まずは、睡眠と学習時間を確認します」
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7. 進路指導部コメント
本人の進路希望は明確であり、学習意欲も高い。
教育学部志望については、現時点では妥当。
ただし、奨学金利用を前提とした進学設計が必要。
要確認事項。
・給付型奨学金の対象条件。
・校内推薦枠の可能性。
・成績基準維持。
・保護者面談日程。
・本人の睡眠、疲労状態。
本人が自己責任として抱え込みすぎないよう、担任、進路指導部、奨学金担当で共有する。
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8. 担任追記
記入日:2146年5月27日
記入者:深瀬亮平
真柴透について、以下追記。
本人の希望は尊重すべきである。
同時に、本人の努力量だけに依存した進路設計は危うい。
通常の補習、面談、進路資料の提示だけでは、本人の不安が解消されていない。
本人は学習量を増やすことで不安を処理しているが、この方法は長期的には維持困難。
担任としては、以下を提案する。
1. 進路指導部との継続面談。
2. 奨学金担当との早期接続。
3. 睡眠・学習時間の見直し。
4. 学習負担を軽減する補助策の検討。
補助策については、本人が「特別扱い」と受け取らない形で導入することが望ましい。
本人の自尊心を損なわず、学習成果を維持できる方法を選ぶ必要がある。
必要に応じて、外部補助の導入を検討。
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9. 進路指導部処理欄
処理状況:継続面談
次回面談予定:2146年6月中旬
保護者連絡:要調整
奨学金担当共有:済
担任管理メモ:要確認
備考:
担任追記にある「外部補助」の具体内容については、次回面談時に確認すること。
現時点では、校内補習、外部教材、学習管理サービス等を含む一般的な補助策として扱う。




