第28話 十七歳自白調書・部分再掲
【文書種別】供述記録抜粋/再照会用添付資料
【作成日】2166年6月26日
【作成者】都警教育関連事案照会係
【対象】2146年6月14日 白峰学院高等部北棟三階事案
【状態】再照会用写し/原本別保管
【備考】本資料は、2146年当時の真柴透の発話記録から、加害自認および自己感覚に関する箇所のみを抜粋したものである。
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2146年供述記録抜粋
真柴透発話に関する再整理
1. 抜粋理由
2166年6月26日、星陵学園高等部関係者間の事案に関連し、2146年白峰学院高等部北棟三階事案における真柴透の発話記録を再確認する。
本資料では、以下に該当する発話のみ抜粋する。
・加害自認
・現場経過説明の欠落
・身体感覚に関する発話
・「見た」と「行った」の区別不能
・被害者の負傷後場面と負傷発生場面の混在
なお、本資料は2146年事案の再捜査結果を示すものではない。
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2. 保健室搬送時発話抜粋
対象者は、2146年6月14日15時台、白峰学院高等部北棟三階第二準備室前で保護された。
搬送後、保健室にて以下の発話あり。
> 僕がやりました。
> 深瀬先生を刺しました。
> 先生は助かりますか。
> 助けてください。
> 謝らないといけません。
同記録では、対象者本人に多量出血は確認されていない。
右手指先および制服袖口に血液様付着あり。
対象者は加害を否認していない。
一方で、深瀬亮平に対する敵意、怒り、恨みを示す発話は確認されていない。
対象者の発話は、自己の処分や今後の扱いではなく、深瀬亮平の容体確認に集中していた。
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3. 心理面接時発話抜粋
2146年6月18日、医療機関にて心理面接を実施。
対象者は、事件に関する質問に対し、以下のように発話した。
> 僕が先生を刺しました。
質問者が、第二準備室でのことか確認したところ、対象者は以下のように回答。
> 分かりません。
> 準備室だったと思います。
> でも、いつもの準備室と同じ感じがしませんでした。
続けて、以下の発話あり。
> 扉を開けたと思ったら、中にいました。
> 先生が近くにいました。
> 声がして、手が動いて、先生が倒れました。
刺した感覚について確認したところ、対象者は以下のように述べた。
> あります。
> 手が重かったです。
> 自分の手じゃないみたいでした。
質問者が、別人の手のようだったのか確認したところ、対象者は以下のように回答。
> 分かりません。
> 別の人、というより、僕の手なのに、僕の手じゃないみたいでした。
また、身体感覚について以下の発話あり。
> 身体の場所がずれている感じです。
> 目の位置とか、手を出すまでの距離とか、声の出方とか。
> 全部少しずつ違いました。
質問者が、知らない誰かの記憶を見た感じか確認したところ、対象者は以下のように否定。
> 違います。
> 見ていたんじゃないです。
> 僕がやっていました。
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4. 加害自認に関する確認
対象者は、面接および校内聞き取りにおいて、加害自認を撤回していない。
確認された発話は以下。
> 僕がやりました。
> 深瀬先生を刺しました。
> 見ていたんじゃないです。僕がやっていました。
対象者は、第三者を庇っているとは述べていない。
また、「本当は自分ではない」とする訂正も行っていない。
一方で、以下の点について明確な説明はない。
・第二準備室へ入室後、どの位置にいたのか
・凶器をどこで手にしたのか
・負傷後、凶器をどこへ置いたのか
・被害者が倒れていた場面と、倒れる場面をどう区別しているのか
・自分の身体ではなかったという感覚が、何を意味するのか
対象者の発話は、否認としては扱いにくい。
しかし、現場経過説明としても扱いにくい。
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5. 倒れていた場面と倒れる場面
対象者は、面接中、深瀬亮平について以下の二種類の発話を行っている。
> 倒れていた先生を見ました。
および、
> 先生が倒れました。
この二つについて、対象者は明確に区別できていない。
対象者は、発見時点で第二準備室前廊下にいた。
深瀬亮平は第二準備室内で負傷状態にて発見されている。
対象者が、負傷後の深瀬亮平を見た可能性はある。
ただし、対象者が深瀬亮平の負傷発生過程を視認したかは、記録上確認できない。
対象者本人は、この点について「見た」ではなく「やった」と表現している。
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6. 刺した、という語について
対象者は一貫して「刺した」と述べている。
ただし、発話中に確認できる身体感覚は、以下のように断片的である。
・手が重かった
・腕が自分の思う通りに動かなかった
・身体の位置がずれていた
・声が近かった
・先生が近くにいた
・先生が倒れた
刺突動作、刃物の把持、接触位置について、対象者は具体的に説明していない。
対象者の「刺した」という語は、本人の加害自認を示す発話として扱う。
ただし、刺突動作、凶器把持、接触位置、負傷発生時の対象者位置を示す説明としては不足がある。
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7. 2146年時点の整理
2146年時点では、以下が併存していた。
・対象者本人の加害自認
・深瀬亮平による、真柴透が加害者であるとの認識
・対象者による現場経過説明の欠落
・第三者関与を示唆する不完全な音声断片
・対象者の自己感覚異常
・正規外学習補助への接触可能性
以上から、当時の内部整理では、対象者の発話を以下のように扱っていた。
> 虚偽とは断定できない。
> ただし、現場の物理的経過としては採用困難。
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8. 再照会時留意事項
本資料は、真柴透の2146年時点の発話が虚偽であったことを示すものではない。
また、本資料は、同発話が2146年白峰学院高等部北棟三階事案の物理的経過を正確に説明していたことを示すものでもない。
以下を区別して扱うこと。
・本人が加害自認を維持していること
・当該時点で本人が物理的に行った行為
・本人が訴える身体感覚
・確認可能な記録上の経過
特に、以下の発話については、単純な否認または自白として処理しないこと。
> 見ていたんじゃないです。
> 僕がやっていました。
以上。




