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先生を助けてください.log  作者:
星陵学園高等部関連記録

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27/28

第27話 筆者不詳手記C

【文書種別】筆者不詳手記

【作成日】不明

【作成者】不明

【取得経路】未確認投稿アーカイブ

【状態】断片/自動保存ログ由来/作成環境不明


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


戻ったと思った。


だから最初に、日付を探した。


違っていた。


六月ではなかった。

呼び出しの日でもなかった。

まだ何も起きていない日の朝だった。


それなのに、手だけが終わった後だった。


指の間に残る重さ。

腕を引いた後の鈍さ。

肩の奥に残る、力を入れすぎた痛み。


部屋にたどり着く前から、俺はもう、やった後の身体をしていた。


準備室へ向かっていたはずだった。


角を曲がれば、あの扉がある。

そう思っていた。


けれど、角の先にあったのは、知らない昇降口だった。

俺の知らない制服の生徒が、俺の横を通り過ぎた。


誰も、俺を先生と呼ばなかった。


次は駅にいた。


学校へ向かう電車を待っていた。

鞄の中には、見覚えのない書類が入っていた。

校章も、校名も違っていた。


それでも胸の奥だけは知っていた。


今日、あの男に会いに行く。


電車は来なかった。


来る前に、また別の場所にいた。


ある時は、事件の前だった。


あの男はまだ生きていた。

けれど、教師ではなかった。

校長でもなかった。

別の肩書きで、別の場所にいた。


写真の目だけが同じだった。


ある時は、事件の後だった。


あの男はもう死んでいた。

俺が着いた時には、ニュースも終わっていた。

コメント欄だけが残っていた。


犯人は分からない、と書かれていた。


俺の名前はなかった。


それでも俺は、やった側にいた。


ある時は、あの男の名前がどこにもなかった。


学校案内にも、記事にも、職員一覧にもいなかった。

その学校には別の校長がいた。


安心するべきだった。


なのに俺は、準備室を探した。

あの男がいない場所で、あの男が倒れる部屋を探していた。


おかしいのは、死んだことではない。


死ぬ場所へ、たどり着けないことだ。


扉の前まで行けない。

呼び出しを受け取る前に、別の日へ落ちる。

朝だと思ったら、もう取調室にいる。

取調室だと思ったら、まだ廊下に立っている。


俺は、戻っているのだと思っていた。


けれど、戻ったと言える場所は一つもなかった。


準備室の扉は、いつも少し手前で遠のく。


たどり着いた時だけ、あの男は倒れる。

たどり着けない時でも、手は覚えている。


刺したはずだった。


そう言った。

そう書いた。

そうしなければ、出来事の形が保てない気がした。


でも、手だけが先に残る。


何をしたのかより先に、

やった側にいたという感じだけが残る。


補助。

支援。

道具。

本人のため。


言葉は毎回少しずつ違う。


でも、声の置き方は同じだった。

こちらが選んだことにされる前に、もう選ばされている。


俺は、それを止めようとした。


そう書けば、少しは軽くなるかと思った。


軽くならなかった。


止めようとした手も、やった手として残っている。


俺がやった。


その言葉だけは、どの場所にもついてくる。


呼び出しは、やはり短かった。

準備室に来なさい。

パッチのことで話があります。


読み終えた時、俺はもう扉の前にいると思った。

けれど、そこへ行く前に、別の日の空気が入ってきた。


俺はまだ、扉の前にさえ戻れていない。


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