第14話 警察資料:違法パッチ流通照会
【文書種別】捜査関係事項照会回答要旨
【作成日】2146年6月22日
【作成者】白峰署 生活安全課/県警サイバー犯罪対策支援係
【照会対象】正規外学習補助パッチ「ANCHOR-β」関連ログ
【関連事件】白峰学院高等部北棟三階事案
【状態】内部確認用/氏名一部匿名化/添付ログ一部未復元
【備考】本資料は、正規外学習補助パッチの校内流通状況に関する中間回答である。負傷事案の加害者認定を目的とするものではない。
1. 照会対象
白峰学院高等部より任意提出された校内連携ログ、StudyNest異常検出抜粋、正規外学習補助アカウント凍結時保存ログを照合した。
照会語句は以下。
・ANCHOR-β
・アンカー
・短期学習補助
・再定着補助
以下、本資料では総称して「当該補助」と記載する。
2. 確認結果概要
2146年5月下旬から6月中旬にかけて、白峰学院高等部関連と推定される本人電脳IDに、当該補助関連の履歴が複数確認された。
現時点の集計は以下。
・案内表示要求:17件
・体験版補助表示および一時補助処理:6件
・紹介コード照会:5件
・本版導入承認相当ログ:2件
・導入未遂または承認取消:4件
上記は重複を含む可能性がある。
匿名化、削除済み添付、保存期間差異により、実利用者数としては確定できない。
ただし、当該補助が単発の外部広告として接触しただけではなく、同校内で複数回共有されていた可能性は高い。
3. 校内関連ID
当該補助に関する履歴が確認された校内関連IDのうち、事件周辺情報と照合対象になったものを抜粋する。
ID-A
属性:生徒
学年:2年
確認内容。
・紹介コード照会履歴あり。
・体験版補助表示あり。
・本版導入承認相当ログあり。
・夜間帯の電脳同期失敗が直近一か月で増加。
・非公式学習グループ内で、当該補助に関する発言が確認されている可能性あり。
備考。
本人特定には追加確認を要する。
現時点では、当該IDの使用者が紹介者であるとは断定できない。
ID-B
属性:生徒
学年:2年
確認内容。
・匿名DM受信履歴あり。
・当該補助の案内表示要求あり。
・体験版補助表示および一時補助処理の開始ログあり。
・一時補助処理は短時間で終了。
・本版導入承認なし。
・紹介コード未入力。
備考。
真柴透本人電脳IDと一致。
本版利用を示す確定ログは確認されていない。
ただし、本人電脳上で当該補助の一時処理が走った可能性は高い。
ID-E
属性:判定不能
確認内容。
・複数紹介コードの照会要求あり。
・複数生徒IDへの案内表示要求と時刻が近接。
・生徒個人IDとしては照合不能。
・中継認証領域を経由した要求として記録されている可能性あり。
備考。
現時点では、教職員ID、学校管理ID、外部配信アカウントのいずれとも断定できない。
追加照会中。
4. 紹介コードおよび配信元
復元された紹介コード断片は以下。
・Aβ-██-17
・R-2146-██
完全なコード列は復元不能。
ただし、複数コードに共通する構造があり、利用者個人ではなく、紹介経路または承認階層を示す可能性がある。
配信元として確認されたアカウントは複数あるが、文面には共通する定型句が含まれる。
・正規ルートで間に合う人は、正規ルートで十分です。
・落とせない人向けです。
・完全消去保証はありません。
同一配布元、または共通テンプレート利用の可能性あり。
5. 学校関係ログとの近接
白峰学院高等部から提出された校内ログと、当該補助関連ログを照合した結果、以下の近接が確認された。
・定期考査前二週間に案内表示要求が集中。
・案内対象は、成績下位層ではなく、成績維持圧の高い生徒に偏る傾向あり。
・StudyNest夜間利用増加後に、体験版補助表示が展開された例あり。
・面談予定日の前後に、案内表示要求が集中する例あり。
・校内補習対象外の生徒にも案内が届いている。
以上から、案内対象が無作為に選ばれていたとは考えにくい。
一方で、対象者本人が自発的に検索して接触した可能性、または生徒間で共有された可能性も残る。
現段階で、特定の教職員による配信、管理、紹介コード発行は確認されていない。
6. 担当者所見
当該補助は、少なくとも一部において白峰学院高等部内で共有されていた可能性が高い。
真柴透については、体験版補助表示および一時補助処理の実行までは確認された。
ただし、本版導入を示す確定ログはない。
したがって、同生徒の本人電脳に当該補助が一切干渉していないとは言えない。
一方で、紹介コード認証後の継続導入、または本版利用者として扱う根拠も確認されていない。
ID-Aについては、本版導入相当ログおよび紹介コード照会が確認されている。
また、非公式学習グループ内の発言時刻および夜間同期失敗ログとの近接がある。
ID-Eについては、生徒個人IDとして照合不能であり、中継認証領域を経由した要求として記録されている可能性がある。
案内対象の偏り、面談予定との近接、ID-Eの認証経路を考慮すると、生徒間流通のみで説明できるかは不明である。
紹介経路の一部に、学校関係者、または校内管理情報にアクセスできる者が介在した可能性は排除できない。
以上。




