第27話 火と氷
本日6話目
オルクとクレオスの魔装魔法を試す為に、今は湖前にいた。
「まず、オルクの力を試させて貰うわね」
『ケッ、勝手にしやがれ』
「んで、先に『跳脚』を試すね。ねぇオルク。ただ蹴るだけでいいの?」
『チッ、壁があるとイメージして、空中で跳んでみろ』
勝手にしろと言いながらも、アドバイスをしてやるツンデレなオルク。リリィもオルクのアドバイス通りに壁があるのをイメージして、蹴ってみた。
「出来た!!」
「わぁっ、空中を走っているように見えます!」
「凄いな。これがあれば、空中にいる敵と戦えるのにな……」
『注意があるぞ。一歩ごとに魔力が一つずつ減っていくからな』
「成る程ね。今の私は1000歩ぐらいが限界なのね」
もう充分に空中を走ったので、次のスキルを使う。ちゃんと魔力が残っているのを確認してから使う。森に向けると危ないので、皆に離れてもらってから湖に向けて『炎獄』を使う。
「『炎獄』」
一瞬で湖の上は炎で満たされた。発射したというより、突然に現れたような感じだった。それは長く続かず、ふっと炎が消えていた。
範囲は特大に広くて、威力も湖の量を減らす程の高さ。
「……うん、今は封印だね」
『凄ぇ威力だったな……』
「うん……」
このスキルは範囲が広過ぎて、ドラゴン戦には使えない。倒せても、周りを焦土にしては意味がない。それに、魔力消費も多過ぎる。
「このスキルの使い道はあとで考えるとして……魔力を回復させたいわ。ねぇ、デリカはどうやって自動魔力回復を手に入れたの?」
「え、えっと、私の場合は瞑想でじっとしていたら、魔力が回復して、次に自動魔力回復を手に入れたの」
「へぇ、瞑想すれば、魔力を回復出来るんだ?」
「何もしないでじっとすれば、魔力は少し早く回復しますよ。昼寝でも回復しますが、起きている状態でじっとした方が効果は高いです」
デリカから教えて貰ったことを試してみる。『跳脚』と『炎獄』を使い、魔力は100ぐらいしか残ってない。
「座り方はなんでもいいの?」
「何でも大丈夫です」
『長くなりそうだから、解除して魔界に帰らせろ』
「はいはい」
『おいっ! 一緒にやる趣味はねぇから、さっさと解除しやがれ!!』
「もぅ、付き合ってくればいいのによ」
オルクは長い時間をジッとしているのは苦手のようで、解除して魔界へ帰らせた。もう一回魔力は確認してみるが、100ちょっとのまま。
「そういえば、全快するまで何時間掛かるの?」
「今の私では、2時間あれば全快しますが……、スキルがないので5時間は必要かと」
「4時間!? 無理無理、全快じゃなくてもいいから、半分ぐらいはあればいいかな」
「なら、2時間ですね」
「はぁい」
2時間なら大丈夫だろうと、胡座で座ってジッとする。隣にはイーナも同じようにジッと座っていた。瞑想と自動魔力回復は魔術師にとっては、有用だからイーナも欲しいのだろう。
「もう1時間経った?」
「いえ、まだ20分です」
「うー」
「うあー、デリカ……」
「まだ30分です」
「うえっ」
「デリ」
「40分」
「…………」
「……」
「50分です」
「私は何も言ってないよね!?」
「1時間」
「だぁー!! 無理無理!! 2時間半も無理ぃぃぃ!!」
2時間でもジッとするのは無理だった。暇過ぎて何かしたい気分になってしまう。
「はぁっ、魔力はまだ回復してーーーーあ、もう半分も回復している」
「嘘っ!?」
何度も魔力の数値を確認しても、400ぐらいに回復していると表示されている。
「あ、瞑想と自動魔力回復を手に入れていたわ。しかも、レベル5になっている」
「え、えっ? どういう事……?」
リリィもこれはおかしいとわかる。たった1時間だけ瞑想をしただけで、瞑想と自動魔力回復のスキルを手に入れ、更にレベル5まで上がっていた。成長が早いと言うレベルではない。
「私は50年、瞑想を続けて、ようやく今のレベルになったのに、どうして……?」
「私もおかしいと思うわ。何か理由がある筈なの」
最近、ステータスで変わったことは『魔装魔法』を覚えたことだけだ。そこに鍵があるとしか思えない。
「ん? まさかーー『小悪魔召喚』!」
『なんだよ!? 帰ってから1時間しか経ってねぇぞ!』
「聞きたいけど、オルクは瞑想と自動魔力回復を持っていて、レベル5じゃない?」
『なっ、なんで、知っていんだよ!?』
「やっぱり……」
「え、理由がわかったの?」
「うん、この瞑想と自動魔力回復はオルクが持っていたスキルで、解除した後に追加されたみたい」
『ん、どういうことだ?』
「つまり、オルクのスキルを使えるようになったのは、5つに増えたのよ。多分、最初に出たスキルは戦闘用だったよね。解除したら、非戦闘用のスキルが追加された可能性が高いわ」
『あぁ、成る程。最初から一気に出れば分かりやすいのに、別々に出たから混乱していたわけか』
「えぇ、装備している時は戦闘用のスキルを使えるようになり、装備してない時は非戦闘用のスキルが使える」
理由がわかり、納得も出来たがデリカはぷぅーと頬を膨らませていた。
「ズルい。その魔法は」
「確かに、努力もしないでスキルを使えるからね。でも、単品では全く使えないスキルになっちゃうんだよね」
「え、なんで?」
「そりゃ、従えている魔物がいなかったら、使えないんだよ? 最低でも、召喚魔法も持っていないと駄目ね。あと、テイムとか私が持っている魔召魔法があれば、もっと強い魔物を従えるわね」
「う~ん、リリィ様は運が良かったと?」
「そうだね。先に魔召魔法を使えるようになったのは、ラッキーだったわ」
もし、魔装魔法を先に覚えていたら、魔召魔法よりも質が下がる召喚魔法を覚えていたかもしれない。魔召魔法の書を探そうと思わなかったかもしれない。
「おっと、次のも試さないと」
「そして、また使えるスキルが増えるのね……。せめて、私が覚えているスキルを覚えないように……」
「あははっ、ランダムっぽいから難しいかな? それよりも、皆を呼んで来て」
「わかりました」
瞑想中にバラバラになっていた皆を集めてくれた。
「2体目の魔装魔法を試すよ。『氷獄魔召喚』」
『何か用がありますか?』
「うん、試したいことがあるから、私がやる事を受け入れてくれる?」
『かしこまりました。リリィ様の好きなのように』
クレオスはオルクと違い、文句を言わずにリリィがやりたい事を受け入れてくれるようだ。
「うん、ありがとう。『魔装魔法』!」
『おおっ?』
オルクと同じように、クレオスが光の粒子になり、リリィへ纏われていく。
オルクの時はフード付きのパーカーだったが、クレオスは氷の女王みたいなドレスだった。
「わぁ、綺麗!」
『こ、これは……?』
「クレオスが、私の装備になってくれたのよ」
『これは……成る程。私は近くでリリィ様を御守り出来るのですね。光栄です』
「ふふっ、ありがとう」
クレオスを装備にして、使えるようになったスキルは同じく3つだった。非戦闘用が後から追加されるかもしれないが、今は追加されたスキルを確認していく。
追加されたのは、『飛翔』、『氷牢』、『絶対零度』だった。
「……ねぇ、『絶対零度』の魔力消費が750だったりする?」
『流石、リリィ様ですね! そうです!!』
「……よし、これも封印ね!」
『リリィ様!?』
「どの道、今の魔力では2つを試したら足りなくなるし」
『……それもそうですね』
『絶対零度』は『炎獄』の仲間だとわかったので、封印するが、クレオスは使って貰いたかったようだ。今度、何もない場所を見つけて、魔力も増えたら試すのもいいかなと思う。とにかく、今は2つのスキルを試すのだ。
クレオスの魔力は800なので、残った400ちょいと合わせれば、残りは800ちょいになる。
「『飛翔』の魔力消費はどうなっている?」
『1秒に1つは減ります』
「成る程。うーん、翼が背中にあるのをイメージすればいいかな?」
『そうですね、飛んでいるのをイメージするだけでも良いかと。無理に翼があるのをイメージしなくても、飛べます。それが『飛翔』です』
「成る程」
リリィは翼があるよりも、念力で自分を浮かべて飛ばせるようなイメージにした。
「おぉっ!」
『凄い、綺麗に飛んでいますね。これなら、敵の攻撃を躱しやすいかと』
「このまま飛ぶのは面白いけど、次のを試さないとね。えっと、『氷牢』は相手を傷付けないよね?」
『はい。氷の牢屋に閉じ込めるだけなので』
「よし、イーナとウルガ。待たせてゴメンね」
「大丈夫です。見ているだけでも楽しいので」
「あぁ、大丈夫だ。こっちを呼ぶということは、何かあるのか?」
「うん、氷の牢屋に閉じ込めるから、剣と魔法で中から攻撃して欲しい」
「わかりました」
「わかったぜ。壊されても、泣くなよ?」
「ふふっ、遠慮は要らないわ。『氷牢』」
突如に地面から氷が現れて、1秒も満たない時間で完全な牢屋になって、イーナとウルガを閉じ込めた。
「っ、寒い!?」
「この寒さはヤベェ!!」
2人は寒さが思ったよりキツイとわかり、早めに破壊しようと剣と魔法で破壊しようとするが…………
「嘘、火魔法がいつもより弱い!」
「くっ、寒さで動きを阻害されてしまう!!」
『氷の牢屋に閉じ込められた者は、寒さによって魔法の威力低下と動きの阻害を高めます。20分も中にいたら、仮死状態にすることも出来ます』
「凄いな。あ、破壊された」
2人は頑張って、一点に集中して剣と魔法で攻撃し続けたら、一部の檻が破壊された。
「これで、出られるーーーーえっ?」
「なっ、直っていくだと!?」
破壊した場所に向かったが、あっという間に元の檻へ戻ってしまった。そして、出られずに閉じ込まれたままになった。
「再生付きなのね。そろそろヤバそうだから、解除っと」
2人の唇が紫色になって来たので、すぐ解除した。出られた2人は火魔法で枯れ木を燃やして、暖を取っていた。
「はぁ、生き返った……」
「あぁ……、強度は一点に集中すれば脆いが、あの再生は卑怯だ」
「成る程ね。ドラゴン戦に使えそうわね。もう終わりだから、解除したら魔界に戻ってもいいわよ」
『はい、お疲れ様でした』
クレオスを魔界に返し、非戦闘用のスキルがあるか確認したらーーーー
「えっ? 自動魔力回復と瞑想のレベルが10になっている……?」
「えぇっ!?」
「クレオスはレベル10になっているの……? 『氷獄魔召喚』!!」
『え、どうしましたか?』
すぐまた召喚されたことに純粋に驚いていた。
「クレオス、もしかして、自動魔力回復と瞑想はレベル10に達していたり……?」
『いえ! 買い被りですよ! 私なんかは、まだレベル5で未熟ですよ』
「えっ、レベル5?」
リリィは頭にある計算式が浮かんだ。
オルクの自動魔力回復 レベル5、瞑想 レベル5+クレオスの自動魔力回復 レベル5、瞑想 レベル5=リリィの自動魔力回復 レベル10、瞑想 レベル10になった。
ーーデリカもその計算式を思い浮かべたのか、涙目になっていた。
「………………てへっ、レベル10になっちゃった」
「う、うわぁぁぁぁぁん!! そんな、可愛く言っても駄目ですよ!! 狡い! チートだよぉぉぉぉぉ!!」
デリカは泣き叫びながらログハウスの中へ入っていった。残された人は沈黙に陥るのだったーーーー
今日はここまでです。
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