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第25話 拾った

本日4話目

 


 3日経った。その3日間は持ってきた本を読んだり、食事の為に魚釣りや動物狩りをして過ごした。

 動物狩りをしたお陰で、弓術を手に入れていた。

 魔物狩りを楽しんでいた頃と違ったスローライフに慣れてきた頃、ようやくディガムが全快した。


「早いな。竜の回復力か?」

『それもあるが、再生 レベル2もあったから、早かっただけだ』


 ディガムが持っている『再生』は四肢を捥げられても、元どおりに回復出来るぐらいに高い効果を持っている。レベルが低かったから、時間が掛かってしまったが、深かった傷が消えてしまう程の効果は凄いと思った。

 リリィも欲しいと思ったが、人間が手に入れるのは難しいと。今まで人間が持っていたというのは聞いたことがないらしい。


『人間は自動体力回復と言うスキルを持っていた人がいたが、再生程の効果はないな。四肢欠損したら、自動体力回復で治るのは不可能だ』

「むうぅ、残念」

『ワシはこれから禁書を取ってくるから、待っていろよ。近くに拠点があるから、すぐ戻る』

「わかった」


 ディガムは翼を大きく開き、飛び上がっていく。ちゃんとあのドラゴンが近くにいないか確認してからだ。


 すぐ帰ってくると言っていたし、ログハウスで待っているか。









『帰ってきたぞ!』

「早っ!? 3分しか経ってないぞーーーーって、何だそれ?」


 ディガムの早いお帰りだと思ったが、口に何かを咥えていたことに気付いた。なんか、人のような物に見えた。口が使えないからか、念話で話してきた。


『拠点に向かっていたが、途中でこれを拾ったから戻った方が早いと思ってな』

「あぁ、それでアレ以外は手ぶらだったわけか」

『此奴を置いておくが、好きにするがいい』

「あれ、ドラゴンは人を食べないのか?」

『そういうドラゴンもいるが、ワシは食べない方だな』


 口からペッと雑にリリィの側へ転がして、再び拠点へ向かっていった。その音でイーナとウルガがログハウスから出て、こっちへ向かってきた。




「また何処かに行ったのか…………なんだそりゃ?」

「アレはーーーー魔人!? なんで、こんな所に!!」


 イーナは転がっている人を魔人だと見破り、武器を構えていた。


「これは魔人なの?」

「えぇ、耳を見ればわかります。尖っている耳を持っているのは魔人だけです!!」


 倒れている人は長い髪をしており、近くに行くと尖っている耳が突き出ているのが見えた。


「そうなの? エルフは?」

「エルフ? なんですか、それは?」


 どうやら、この世界はエルフがいないようだ。異世界に来たら見てみたいベスト5に入っていただけに残念だった。


「う、うぅっ……」


 残念な気分になっていた所に、魔人は意識を取り戻したが、すぐ起き上がる様子はなかった。小さいが、声が聞こえたのでもう少し近付いたらーーーー




「ご、ご飯……水……」

「腹減って倒れていたのね……」




 身体を見たが、傷一つもなかった。ちょっと臭いが、ディガムが咥えていたせいだろう。

 大した理由じゃなかったことにガックリとしつつ、イーナに飯の準備をさせた。イーナは最初、反対していたが……最終的に渋々とご飯を作ってくれた。






「がぶがぶっ、ごくごくっ!」


 近くに置くと、匂いに気付いて倒れたまま食べ始めた。一応、3人分は準備させたが、皿の上は何も残っていなかった。


「ご馳走様でしたぁ!!」


 食べ終わった魔人の女性は、飛び起き上がって元気を取り戻した。そして、ようやくこっちに気付いたのか眼を見開いていた。






「に、人間!? なんで、ここに!?」






 驚愕して、バックステップをして武器を背中から取り出そうとしたが、ぴたっと止まった。眼は食べた後の皿に向けられていた。


「……もしかして、その食事は」

「うん、私達が準備したよ」

「え、ええと……」


 魔人の女性はまさか、人間に助けられるとは思わなくて、困った顔になっていた。




「人間でも……、助けられたのは間違いないですよね。ありがとうございます」


 武器から手を離し、頭を下げて礼を言った。その様子から、リリィの後ろで武器を構えていた2人も肩の力を抜いた。


「えっと、貴女様はどうして魔人である私を助けてくれたのですか?」

「ん、ディガムが拾ってきたのを見捨てるのもどうかと思ってな」

「ディガム?」

「あ、帰ってきたわ」


 リリィが上空へ眼を向けていたので、それに吊られて同じように顔を上げてみるとーーーー竜がいた。


「キャァァァァァーー! ど、ドラゴン!?」

『煩い娘だな。ほれ、持ってきたぞ』

「あ、ありがとう!!」


 手に持っていた本を受け取り、宝物を貰ったように眼をキラキラと輝かせる。その様子に意味がわからないと表情に出ていた。


「な、何が起こって……?」

「あ、ごめん。こいつがディガムだ。お前を咥えてこっちに連れてきた本人だよ」

「ドラゴンが!? く、咥えて……そういえば、身体が臭いような……」

『拾った娘は元気になったようだな。戦力になると思って、拾ったが使えそうか?』

「そういう理由でか……」

「ちょっと待って、貴女様はドラゴンと喋っているの……?」


 会話をしているような雰囲気に疑問をぶつけていた。魔人の女性もディガムが言っていることは理解出来ない。


「うん、私はディガムが言っていることはわかるみたい。何故かわからないけどね」

「えっと……ごめん。色々ありすぎて、わからないわ……」


 人間に助けられたと思えば、ドラゴンがここに連れてこられたと聞いて、更に3人いる人間で1番若いお嬢様らしきの少女がドラゴンと喋っていたりと…………色々なことが起これば、頭の中はパニックだろう。


「そうそう、此処までの経緯を知れたし、自己紹介でもしよう。私はリリアーナ。貴女様じゃなくて、リリィでいいわよ」

「私はお嬢様のメイド、イーナと申します」

「護衛兼執事のウルガだ」

『ワシのはリリィが言ったからわかっているだろう』

「え、あ、はい。わ、私はデリカです。姓はありましたが、今はないです」

「ん? どういうこと?」

「えっと、私は魔人の国では犯罪者なので……」


 犯罪者と聞き、イーナがリリィを後ろに庇うように前へ出て、鋭い眼で見ていた。その様子を見たデリカは悲しそうで苦笑にも取れる表情をしていた。


「ゴメンね。助けて貰ったのに、御返しが出来なくて……。私はすぐ去るから」

「待ちなさい。イーナも敏感に反応し過ぎよ」

「で、でも!」

「犯罪者と言っても、魔人の国でのことだろ? それに、私も今は犯罪者として手配されているかもしれないよ? だったら、同じでしょ」

「お嬢様……すいませんでした」


 イーナはようやく自覚した。リリィは屋敷を半壊しており、両親を殺そうとしていた犯罪者であり、イーナとウルガは共犯者として手配されている可能性もあるのだ。

 何をしたか聞いてもないのに、犯罪者だけで敏感に反応するのもおかしいなことだ。


「リリィ様……」

「リリィでいいわ」

「いえ、リリィ様と呼ばせてください。恩人であり、尊敬出来ると思ったので、そう呼びたいです」

「…………はぁ、私はとんでもないことをしようとしている犯罪者よ? その人を尊敬しているとは言わないほうがいいわよ」

「確かに、私はリリィ様が何をしようとしているかはわかりませんが、魔人である私を助けてくれた。普通は出来ないことです」


 自分が言ったことは撤回をしないと眼で語っているのを感じ取り、リリィは溜息を吐いて、勝手にさせることに決めた。


「わかったわ。好きにするといいわ」

「はい!!」

「そういえば、私達と一緒に行動するでいいの?」

「私は今まで魔人の国から逃げて、追っ手を躱していましたが……、ここは何処でしょうか?」

「そうだったな、ここは大きな穴の中だ。入ったり出るには飛べなければ難しい場所だ」

「そうでしたら、魔人からの追っ手はほぼ無いかと思います。私もリリィ様の目的の手伝いをしてもいいですか……?」


 ここは飛べる者以外は入ってくるのが難しい場所なので、デリカを追ってきた魔人は入ってこれない。デリカにしたら安全地帯だが、助けてくれた恩人であり、犯罪者である私の事を受け入れてくれたリリィの手伝いをしたいと思っていた。


「私の仲間になってくれるのね。じゃ、他の人もいいね?」

「さっきはすいませんでした。これからお嬢様の手伝いを頑張りましょう」

「おう、宜しくな!」

『よし、戦力が増えた! あのドラゴンめっ、覚悟しとけよ!!』


 皆もデリカを受け入れた。ディガムだけは別の理由だったが、仲間に受け入れたことに変わりはないだろう。


「はいっ! 宜しくお願いします!!」













まだ続きます。

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