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第23話 拠点

本日2話目

 


 リリィは1年前から見つけた拠点へ向かっていた。途中で邪魔があったが。


「さっきの何だったのかしら?」

「さぁ? 放っていたら、王国へ向かっていたな」

「いいじゃない? いい経験になったし」

「それでも、その数は多過ぎますよ……」


 魔物の数は5万、しかも強力な魔物も数体はいた。だから、リリィは召喚出来る悪魔を全て出して、雷を落としまくっていた。

 そのお陰で、レベルも上がった。


「もし、放っておけば、街は3割は崩壊してしまうけど、両親が死ぬ可能性があるなら放っておけば良かったのでは?」

「あー、あの程度で両親が死ぬとは思えないわ。無駄にするだけなら、私の糧になって貰った方がマシだわ」

「俺もそう思う。アレは化け物だ」


 2人の実力を知っているだけ、半端な戦力では潰せない。この世界は数の強さよりも個の強さが重要であり、一対一でも勝てるように強くならなければならない。


「着いたわ」

「誰もここを拠点だと思わないわな」

「普通なら足を踏み入れるのは不可能ですからね」


 3人の前に現れるのは、大きな穴。ーーーー巨大な穴。ーーーー超巨大な穴!


 ここは小さな穴から超巨大な穴まである珍しい場所である。どうやってこんな沢山の穴があるかまだわかっていないが…………。

 リリィ達が見つけた拠点は、半径1キロもあり、深さは500メートル程の超巨大な穴の中にある。




「『氷獄魔召喚』!」




 この穴は周りのと比べて、一番深さがあり、中心は湖がある。下まで到着するには、飛べなければ駄目だ。

 クレオスみたいに飛べる魔物を連れてくるか、稀少である飛べるスキルを持っていなければ、下まで到着出来ない。だから、ここに拠点と決めたのだ。


『いつも通りにですね?』

「あぁ、すまないね。いつも翼に頼ってばかりで」

『構いません。貴女の役に立つことが喜びなので』


 礼儀が正しく、時々悪魔だと忘れそうだ。クレオスが気にしてないなら、リリィも気にしないことにした。


「3人まで乗せれるのは凄いですね」

「重くねえのか?」

『私は見た目よりパワーは高いので、問題はありません』


 クレオスは3人同時でも問題ないと翼を力強く羽ばたいていた。そのまま、穴の底まで降りていく。

 近付くつれに、穴の底から絶景な姿が現れる。


「いつ見ても、綺麗な森に湖ね」

「壁から流れている水が長年掛けて、湖になったようです。さらに、魚もいるから何処かの川から来ているかもしれません」

「森も食べ物は充分だし、魔物もまだ会ったことがないから、平和なモノだな」


 1年前から時々来ているが、ここでは魔物に会ったことはない。動物もいないが、鳥類は結構多く生息している。

 リリィ達の拠点はーーーー






「うん、いい出来だよね」

「一から作るの大変でしたよ……」

「あぁ、3人と1体だけで作っていたしな……。でも、出来た時は感動したよな」


 目の前には、木で作られたログハウスがあった。それをリリィ達と召喚したオルクだけで作ったのだ。クレオスも木を運んだりしたが、作る手がないから製作には関わっていない。意外だったのは、オルクが正確な設計図を作り、木工の技術を持っていたことだった。


「戦いは大雑把なのに、木工だけはキッチリとしているんだよねぇ」

「まぁ、それはいいから中に入って、これからの事を話そうぜ」

「えぇ。予定より早い計画になっちゃったけど、住む場所が変わったと思えばいいわ」


 思ったより予定が早まったが、計画に支障はない。今は力を付けるために、魔物と戦い続けること。

 あとは、禁書集めと仲間を増やすことだ。


「禁書は近くの村か別の国に行って探すとして、仲間はどうしようか……」

「はい、私に案があります。お嬢様は強い仲間を欲していますよね?」

「そうだが、あっさりと見つけるのは無理だろう?」

「でしたら、魔人を引き込むのはどうでしょうか?」

「魔人!? 考えたことが無かった。魔人と言えば、人間の絶対敵じゃなかったか?」


 ウルガの言う通り、人間と魔人は深い溝があり、歴史上で1度も友好的になったことはない。なのに、イーナは魔人を仲間にしてどうかと案を出してきた。


「魔人なら仲間にするのは心強いが、イーナは怖くないのか?」

「別に、オルクみたいなモノだと思えば、怖くはないですね」

「あはははっ! 魔人をネームモンスターと同義にするなんて、面白いわね!! 確かに、魔人を仲間に引き込むのはいい案かもね」

「大丈夫なのか……?」


 ウルガは昔に裏で魔人は危険で絶対敵だと教えられたから、心配しているのだ。リリィは魔人を見たことはないけど、想像は出来る。ルードから魔人は危険だと聞いているが、会ってから判断したいと思っている。


 魔法が得意な種族かな? 前世の漫画や小説では、そうなっていたし。


 魔人と言えば、強い魔法が使えるイメージがある。現実はどうなのかわからないが、仲間にするには充分過ぎる程の実力があるのは間違いないそうだ。


「そうだな、一気に仲間にするのではなく、1人だけ仲間にしてみるか」

「その方がいいですね」

「万一に備えて、お嬢ちゃんはさっさと魔人より強くなっておけ。この中で強くなるの早いのはお嬢ちゃんなんだから」

「簡単に言わないでよ」


 全く、まだ化け物扱いをするのね。確かに、私はこの中で成長が早いけど……。でも、魔法のスペシャリストの魔人より強くなれは、スゲー無茶だよね?


 リリィは話を切り上げ、ログハウスの中へ入ろうとしたら、湖がある方向から高く上がる水飛沫と大きな鳴き声が聞こえた。


「全く、今日は色々あるなぁ……。見に行くわよ」

「わかりました」

「一応、武器を持って行こうぜ」


 魔物がいないのはわかりきっているが、湖の中までは全部調べてないから、もしもの為に、武器を持っていく。

 一体、何があったのかと見に行ったらーーーー




「ど、ドラゴン!?」




 湖には傷付いた黒い竜がいた。

 震える声でイーナは後ずさる。ドラゴンの危険さを知っている為、青ざめた顔だった。ウルガは初めて見たドラゴンにキラキラと眼を輝かせていた。恐怖よりもロマンが勝ったようだ。

 リリィはドラゴン自体ではなく、別の所を見ていた。


「傷だらけだな……?」


 ドラゴンがいる上空へ眼を向けてみると、もう一体のドラゴンが飛んで去っていく姿が見えた。

 あのドラゴンが戦い、勝ったから去っていったようだ。


「んー、まだ生きているな。敵になる前に殺しておくか?」


 ウルガが近付き、様子を見るとまだ生きているのがわかる。回復される前に殺すかと剣を向けて提案するが、それを止める者がいた。


『待たれよ……、話を聞いてくれ』

「えっ?」

『くっ……、通じないか……』


 ドラゴンが話しかけたが、ウルガはギャーギャーとしか聞こえなかった。眼を見れば、話しかけているのはわかるが、内容がわからないウルガは困っていた。

 でも、リリィだけは何故かドラゴンの言葉がわかった。


「これは、古代語?」

『そこの娘! ワシの言葉がわかるのか!?』

「まぁ、何故かわかるみたいね」

『お願いだ、助けてくれ……』


 助けを請うドラゴンに困った表情を浮かべるリリィ。取り敢えず、剣を向けているウルガを下がらせる。


「ドラゴンが言っていることがわかるなんて……」

「そのドラゴンは何と言っていましたか?」

「助けて欲しいらしいよ」


 重傷を負って湖に沈んでいるのを見れば、助けが欲しいのはわかる。だが、助けた後に襲われないかとイーナは心配しているのだ。


「私はトドメを刺した方がいいと思いますが……」

「ドラゴンの肉は美味いらしいよ? ドラゴンステーキがオススメだぜ!」

「ドラゴンステーキ……ゴクリッ」

『いやいや! ワシのは筋だらけで筋肉も沢山あるから、不味いぞ!! だから、助けてくれぇぇぇ!!』


 リリィの言葉だけわかるようで、何を話していたか理解出来て、泣き叫ぶのだったーーーー






まだ続きます。

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