第21話 四死魔将 中盤
本日2話目
魔物達の後ろにいる巨大な魔物の背に座る者がいる。
その者こそが、今回の戦争を起こした四死魔将の1人である。だが、その姿はまだ子供であった。
「ギザエル様、向こうが強い者を出してきたようです」
「そうか、お主が止めよ」
「はっ」
ギザエルと呼ばれる四死魔将は動かず、参謀も受け持っている魔人が動く。人間側から近衛騎士が出てくるので、魔人側も魔人を送った。
「ふん、そろそろか……」
ギザエルは何かを待っていた。
自分が動くのは、アレらが来た後だ。そのアレらを待っていたがーーーー
空中にいた『迷彩』を使う魔人が堕ちた。
「なっ、何が!?」
ギザエルは理解出来ていなかった。空中にいた魔人に攻撃するには、ペガサス隊が攻撃を仕掛けるか、魔法で撃ち落とすのどちらかになる。だが、ギザエルが見た様子ではそんな影は見えなかった。
「何が……む?」
堕ちてゆく魔人の胸から何かが生えているのが見えた。胸から生えていた物とはーーーー1本の矢だった。
「や、矢だと……ッ!?」
ギザエルは何かを掴んだ。こっちへ向かってきた物を反射的に掴んでおり、それも矢だった。
矢が向かってきた方向を見てみると、門の上でこっちを狙っていた男の姿を見つける。その距離は2キロ以上。
「残念。流石、四死魔将ね。子供だと思っていたら、逆に喰われそうだわ」
弓矢で2キロ以上も先にいる敵へ射ることは普通なら不可能だ。だが、あるスキルを合わせてこそ、こんな神業が出来るようになったのだ。
この女性も、エリーナの近衛騎士である。
「次は当たればいいのですが……」
今度は3本の矢を構え、連射でギザエルを狙った。その3本の矢は頭、胸、腹を狙って、正確に貫こうとしていたがーーー
「舐めるな!! 『嵐鳥』!」
嵐の様な鳥が現れて、矢を巻き込みながら門の上に向かっていた。
「あ、ヤバイ」
3本の矢がアッサリと蹴散らしていた所から、抵抗は無駄だと理解し、門の上から飛び降りていた。的がなくなった『嵐鳥』はそのまま門へ激突して、破壊していた。
「ここまで届くなんて、とんでもない魔力を持っているわね」
早い判断で飛び降りた弓矢使いの女性は驚きながらも、次の矢を放っていた。バランスを崩していて、まだ空中にいるのに、正確に頭を狙っていた。やはり、掴まれてしまったが。
「チッ、避けたか。ウザいな、ウザいよ……?」
四死魔将のギザエルはアレを待つの止めて、立ち上がっていた。蝿を払うつもりで、巨大な力が込められた魔法を撃ち出そうとしていた。
「この魔法を受けて、生きていられるか!!第10之魔法『神風』!!」
ギザエルが得意とする魔法は、風魔法であり、第10之魔法までも使える。大量な魔力を込められた『神風』は、黄金の風だった。上空から神が生み出したような暴風が戦場の全体に向けて吹き出されようとしていた。
それを見たルードは眼を釣り上げた。
「味方ごとやるつもりか!?」
「うはははっ、魔人である俺は耐えれるから問題なねぇな!!」
「お前、自分以外はどうでもいいのか!?」
「はん、魔物なんぞ、使い捨てだ」
ルードの相手だけではなく、近衛騎士の相手も同様だった。
「我の相手も当たりそうだが?」
「構わない。ここまでの戦局は君達が勝っている。なら、ここで流れを変える為に仕方がないさ」
ギザエルの攻撃に耐えられるのは魔人だけ。それだけの魔力が込められた魔法である。魔人達は巻き込まれるのを覚悟しており、更に生き延びる自信があったから許している。
「うはははっ! 死ねよ!!」
「やらせないわッ! 『神風』!!」
クリスも『神風』を発動し、同じ魔法で相殺しようとした。だが、込められた魔力に差があったため、威力を削るしか出来ない。
「同じ魔法だろうが、お前らと格が違うんだよッ!!」
「まだ終わりませんわよ?」
いつの間に、第二王女のエリーナが戦場の中心にいた。側に近衛騎士が2人はいるが、大将が危険地の中心にいるのはおかしなことだ。だが、今回は幸いだった。
「天罰魔法、第4之魔法『絶断』」
エリーナは背中に背負っていたクレイモアを振るだけで、黄金の風は真っ二つに斬られて、誰もいない場所へ流れ込んだ。
その結果は意外だったのか、ギザエルは呆気に取られるのだった。
「貴方も罰を受けなさい」
再び、『絶断』でクレイモアを振り下ろす。一瞬で、ギザエルの右腕が斬り落とされた。
今日はここまでです。




