帰宅撤収
全員の送迎を完了し、軽トラに戻して幽荘に帰る。
常に人が居る時間ばかりだったせいか、一人になって寂しさが募る。
この山を抜ければ幽荘だ。
幽荘方面から煙が立ち上っている、精霊柱のお焚き上げだろう。
いつもの駐車場所に停め、燃え上がる焚き上げ台に向かう。
「ん、おかえり」
ヘビメが精霊柱を入れてる時であった。
「今、皆手分けしてるけど数多いから手伝って」
「了解です」
広範囲に設置して綺麗で厳かだったが大変だ。
「あ、お兄ちゃんお帰りなさい」
「管理人さんお疲れ様でした」
ネコメとユウメも回収に追われている。
「手伝いますよ」
「あ、調理場の方が大変かも」
ネコメから「スズメさん一人だから手伝いお願いします」とお願いされた。
「よし、じゃああっち見てくるね」
「うん!」
二人に任せて調理場に来た。
「ただいま帰りました!スズメさんどうですかこっち」
「あら、助かりますわ〜お料理の後片付け考えて無かったですもの〜うふふ」
確かに用意された品数も多かった、スズメの指示を受けながらスピードアップしていった。
しばらく集中して調理場内の皿や調理器具を洗い倒して、スズメと一息吐いた。
「うふふ、張り切りましたね〜お疲れ様です」
「いやスズメさんだってメインは儀式なのに料理から片付け、皆のフォローまで……」
「よく見て下さってて嬉しいですわ〜でも縁さんも皆の為に走り回るじゃないですか」
あまり考え無しで動いているだけなんだがなと縁は思う、ただそれを見て居る存在があるだけで頑張れる。
「鎮魂祭は如何でしたか?」
「……一言で言えば圧倒でした」
「その心は?」
「見た事ない力で確かに存在した精霊達を招いてもてなした、現代で考えられないモノに圧倒です」
「縁さんにとって忘れられない一日でしたね?」
「ええ、沢山感じて疑問もあるけどゆっくり解きたいと思ってます」
スズメは何も言わずにただ微笑む。否定も肯定も無い、感じたままで良い。そう言ってくれているように。
「さあ、調理場は私が仕上げます。縁さんは狐音さんの所に行ってくださいな」
「そうですね、帰った挨拶もまだですし」
スズメに礼を言い調理場から出る、少し探すと狐音は陣幕を片していた。
「狐音さん、無事皆を送ってきました」
「うむ、ご苦労じゃったな……よしここも終いじゃ縁よ端を持て、裏の倉庫に突っ込むぞ」
そう言えば倉庫なんて見た事が無いのだが、どこにあるのだろう。とりあえず言われるがまま幕を持ち狐音に任せる。
ずんずんと幽荘の裏と温泉の間に来たが、それらしいものが見当たらない。狐音は地面を確認している……
ガコン
突然地面の一部が開き階段が見えた。ゲームで言えばダンジョンの入り口みたいな風貌だ。
「ほれ入るぞ」
幕を持ち奥に入り込む、割と狭い。
よく見ると様々な小物が保管されている。
「驚いたか?幽荘の地下倉庫神器置き場じゃ」
神器と言う割に埃がすごいのだが、限られた幽荘のスペースならばこれは賢い。
「ふーっ今日はよくやった、疲れたのう!先風呂入らんか?」
「ふぇっ!?」
「良いではないか、後は皆に任せるのじゃ」
「はぁ……まあありがたいです」
実際縁は誰よりも早く動き出していて、疲れはある。
お言葉に甘えてしまおう。
「おーい、皆後は任せたぞー!」
はーい!
あっさりと承諾されるのが狐音がリーダーである所以だろう。
「ほれ準備出来たら温泉に入っておるのじゃ、姿見えんでも話できるじゃろ?」
どうやら温泉に浸かりながら話があるみたいだ、気持ち良さに頭へ入るのか……
とにかく入浴準備をして脱衣所に向かった。




