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現代幽荘物語  作者: かずや
鎮魂祭

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お見送り

「縁よ、皆を頼むぞ」

「はい!」

 この後は精霊柱のお焚き上げがあるのだが、送迎者が居る縁は一足早く出る事に。

「俺、また来る!」

「トラちゃん……皆ありがとうね!」

 トラメとリュウメは車内から大きく手を振る。

「んじゃ皆姉貴をよろしくな!酒造にも来なよ〜」

 狐子は浴びる程飲んだのにいつも通りで怖い。

「ほれ、スズメ。しばらく会わんじゃろうて弾渡しとくぞ」

 猟銃の弾を渡しスズメ達幽荘のメンバーと挨拶していくタカ。

 皆が車に乗り込んで準備が出来た、出発時のバックミラーには残る皆が揃って手を振ってくれていた。


 山を越えまず近い狐火酒造へ狐子を送る。

 車内は子供のトラメを中心にお話が盛り上がる、彼にとっては初めての一泊に鎮魂祭と大人に囲まれた一日で刺激的だったのだろう。

 行きは長く感じても帰りは短いもの。

 時間は変わらないのに体感短く狐火酒造に到着した。

「ん〜!鎮魂祭良かったわ〜トラメ君!リュウメ!タカ婆!気を付けてな!おにーさん頼んだよ!」

 明るく皆に声を掛けて大きく手を振り見送ってくれる狐子、彼女に会釈して車を出す。

「狐子お姉ちゃんは狐音お姉ちゃんと双子って言ってたけど似てないね」

 トラメが道中呟く。

「顔は似てるよ」

「うん、でも違う気がするの。狐音お姉ちゃんを助けようとしてるの」

 子供とはよく見てるものだ、リュウメとタカも柔らかい眼差しでトラメを見守っている。

 幽導孤児院に着く、少し不満そうだがトラメは文句は言わず自ら車を降りた。

「縁のにーちゃんありがとうな!またここにも来てよ!」

「紬君、タカさんありがとう。長年行きたくても行けなかった夢が叶ったわ」

「アタシもだよ、リュウメ。何かあったら幽荘とアタシを頼りなさい」

 いつまでも見えなくなるまで手を振るトラメ、少し大人になったように見えた。

「縁や、そろそろ聞けるだろうね」

「……今日帰ったら狐音さんが話したいって言いました」

「おや、認められたね」

 認められたと言うのは人としてなのか、それとも()()()()なのか。

「アンタが引っ掛かる事はわかるよ、アタシもだったからね」

「タカさんが先代管理人だと聞きました、僕も薄々は気付いてます。一般的な管理人じゃないのでしょう?」

 縁は引っ掛かる事を口に出してみた、整理の為でもある。

「幽荘は何らかの資格が無ければ辿り着けない、そしてそれは幽導村の歴史に関わる上で出来たルールじゃ無いかって」

 タカは静かに聞いている

「あそこは良い場所です、だからこそ入りたくなる。そうなれば壊れる、実際村が壊れたのでしょう?」

「ほっほ、そこまで辿り着いておったか。確かに狐子の言う通り良い眼、そして意識を保っとる」

 タカは少し考えた後、口を開いた。

「先代管理人として伝えておこうかの、アタシの時代とお主の時代は明らかに違う。これは時代の流れ、誰にも止められん」

「時代の流れ……」

「お主が今接している幽荘の孤児は何人おる?」

「え?ネコメちゃん……一人ですね」

「お主はネコメ一人孤児だと知った時感情が渦巻いたじゃろう、孤児院もそうじゃし歴史的な孤児に対しての。おそらくそんな酷い事があるなんてと言ったとこかの」

 タカは的確にモヤモヤしていた正体を掴む。

「それは今の時代じゃからの、ではアタシの時代。先代管理人として実際にあったことじゃ」

 縁は息を飲む。

「お主ネコメを一とは考えまい」

「え?そりゃ一人で考えます」

「アタシは違う、管理人として受け持っていたのは平均十人が普通で日常じゃったからの。お主とは基本スタンスが違うのじゃ」

 縁は声が出なかった、孤児になる子やならされる子が多い歴史と理解はしていた。だが実際の相対する人数がそれ程になるのは想像できなかったのだ。

「これは時代なんじゃ、今みたいに便利な物がすぐに見つかる事も使える事も無い。今と昔の差なんじゃ、気に病むな」

「幽荘はそんな子を受け入れる為の場所だったんですね……」

「言ったろう?それは昔なんじゃよ、今はどうじゃ?楽しく出来ておろう」

「……ハイ」

「それで良い、それがアタシらの目指した幽荘じゃよ。今日来れて本当に良かった、当時アタシらの手を溢れ救えなかった子供達に会えたでの」

 話は聞きたいが、タカの家が見えてくる。

「焦らなくて良い、アタシは先代でお主は今の管理人じゃ。後は狐音に聞けば良い、もう教えてくれようぞ」

 タカの家前に停まり、タカは車を降りる。

「ありがとうの今日は楽しかったわい……そうじゃちょっと待て」

 タカは家に入りしばらくして出てきた、そして縁の手に何かを握らせた。

「これ……ペンダント?」

 模様が複雑に装飾されてる古いペンダントだ

「アタシを守ったペンダントじゃ、それを常に着けなさい。風呂でもな、少しまた変わって来るぞい」

「……はい、着けてみます」

「それと今日狐音に聞く事をまず一つ……尻尾はどこにある?を聞けば良い」

「……尻尾」

 縁は二回尻尾を見た、一度目は幽荘に来て狐音と初対面の時。二度目は今日の鎮魂の儀式で見えたもの。

「何を意味するかはこの後わかるよ……それじゃあありがとうの」

 後ろ手を振りながらタカは家に入ってしまった。

 ぐるぐると頭は台風みたいだが話せば収まるだろう、縁はまず今乗るユウメの車を軽トラに戻す為保管場所へ向かった。


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