すずめ
ヘビメと別れどっと疲れも出てくる
(そういえば朝から運転して幽荘着いてから動きっぱなしだな)
なんだかんだ初日からハードである
そんな縁の様子を見た狐音からお誘いがあった
「なんじゃ疲れとるの、まだ飯を食っておらんのか?」
「あぁハイ、移動もあったんで…あ、そういえば調理場聞いておきたいんですが」
「ふむ、まだ案内しとらんかったの〜ヨシ、何かつまむ物用意してやろう」
おいでおいでと手招きされ温泉に向かった側と反対のアパートの裏手へ連れて行かれる
「ほれここじゃ、なかなか立派じゃろ?」
胸を張り指し示す場所は、ここで見た何よりも管理されてる新しいめの丸太小屋
外柵がついているのは野生動物の侵入を阻む為か?
牛の牧場柵みたいな頑丈の物で覆われている
「猪や熊がでるからのう、気を付けるんじゃぞ」
やっぱ出るんだ…
「ほれ、中入るぞ」
狐音は軽やかに入っていき後をついて行く
意外に中は広く三.四人くらいで調理しても余裕あるスペースだった、コンロもガスコンロが六口も有りキャンプで使うような釜戸も2つ、調理器具も数多くそろっており下手したらアパート内で一番充実した場所じゃないだろうか
「冷蔵庫デカ!冷凍庫も更に別にあるしレンジやオーブンまである…」
なんだか飲食店のキッチンみたいな設備だ
「ほれ、ワシの分けてやるから食って回復せい」
渡されたのは市販の冷凍パスタ、レンジだけで出来る簡単な物だ
「お主料理はするのか?」
不意に聞かれた
縁は特別料理をするわけでは無いが、特に不得手でもなく普通の食べる物をレシピ通り作るくらいなら出来る
「得意って訳じゃないですが食べる分なら作りますよ」
「おお!ならここを存分に使ってくれ!一人を除いて幽荘の住人は料理からっきしでの」
こんな立派な調理場があるのに…?勿体無くない…?
「一人料理にのめり込んでおるんじゃが納得出来ないと出さない気質での〜」
頑固親父みたいなのが居るんだろうか
そう話していた時だった
調理場の入り口が開いて誰か入って来た
「おお丁度良い所に来たの、おーいスズメー」
スズメと呼ばれ入って来たのは綺麗なお姉さんであった
清楚な雰囲気と少しミステリアスな空気を纏い目が鋭い
「あら狐音さんこんにちは、そちらの方は?」
「あ、今日から管理人としてお世話になります二〇二号室の紬 縁です!宜しくお願いします」
「あらあら縁さんね、狐音さんから話聞いてましたよ、宜しくお願いします」
とても綺麗にお辞儀をされ見惚れてしまう、良かったまともそうな人も住んでるんだ
「スズメ、主また狩りに行っておったのか?」
「うふふ、猪が獲れたので皆で頂きましょうか、私が納得いく料理になればですが」
…やっぱり何かちょっと変な人ばかりかもしれない
「私、スズメは一〇三号室に住んでいますが日中狩りに出かける事が多く御用の際はこちらをお使い下さい」
「これは…?」
「色付き狼煙玉です」
…うーん、ワイルドレディ
「では私は早速解体を始めちゃいますので血と臓物が苦手なら避けられた方が宜しいですよ」
「全く、縁もここを使う事になるから程々にの、それじゃあ最後の住人紹介しに行こうかの」
最後の住人、お隣の二〇三号室になる
「ほれ血を見る前に行くぞ行くぞ」
狐音さんに背中を押されながらチラ見したスズメさんは、笑顔で猪の首に包丁を突き立てようとしながらヒラヒラ手を振ってくれていた…




