見ている
さっきまで座っていた場所で薪を焚べ、炎に揺らめく狐音の顔が綺麗に見える。
「ん?なんじゃ?」
「あ、いえ入らせて貰いますね」
縁は脱衣所で服を脱ぎドラム缶風呂へと入っていく。
作りはしたが実際に入るのは初めてだ。
なかなか気持ち良く体勢的に上を見るので星空が綺麗に見える。
「のう縁よ、お主は管理人として動き出したが勉強は出来ておるのか?」
「…はは、痛いとこ突きますね、受験勉強はあまりですよ」
「主はそれで良いのか?」
「今は幽荘の管理人です、順番は決めてやっていきますよ。ネコメちゃんと卒業の約束もしましたし」
「ふむ、どうやらネコメは親の事を打ち明けれたようじゃの」
「ええ…戸惑いましたがそれ以上に前を向く彼女に刺激を貰いましたよ、もちろんヘビメさん、スズメさんにも」
「ふ…お主もいつの間にかしっかりと幽荘の一員じゃな」
「だと良いんですけどね、知らない事がありすぎてこれからですね」
「そうじゃな…お主は大事な知りたいはずの疑問は考えてから聞くタイプじゃが、内に秘めとくタイプでもあるようじゃしバランス取るんじゃぞ」
狐音さんの声のトーンがいつになく真剣な気がした、壁越しに聞こえたからなのか…
「この夏、来月になるか鎮魂祭があるからの」
「鎮魂祭?」
「うむ、まあそれについては温泉改修中に話してやろうぞ」
大事な話となるみたいだ、縁は少し気合いを入れた。
身体も良い感じに温まりドラム缶風呂を上がる、脱衣所で水分を取り火の始末の為、焚き口に来た。
狐音は待っていてくれたようで火消しの準備をしてくれていた。
「こんな事を皆でやれるなんていつぶりじゃろうか…お主は頑張っておるよ」
急に褒められて照れてしまう。
「お主が来て時間が動き出したんじゃ、ゆっくり見て行くんじゃぞ」
狐音の言う言葉の意味が把握出来ない、酔ってる様には見えないが…
火が消え、更に星がはっきりと見える夜空を二人で眺める。
「狐音さんは幽荘に来てどれぐらい経つんですか?」
「うん?儂は来たんじゃないよ、居たんじゃよ」
「え?でもここ相当古いんじゃ…」
「そうさのう、まあいつか話す時が来るじゃろう」
狐音は明らかに濁した言い方をした、縁が来て日は浅いがまだまだ知らない幽荘の秘密があるようだ。
ただ、今は知らずとも皆で笑い生活出来ているなら良いと縁の胸に閉まっておいた。




