ネコメと
パチパチと火が爆ぜる、ヘビメに続いて来たのはネコメだった。
「お兄ちゃんきたよ」
「お、次はネコメちゃんか」
ネコメはパタパタと脱衣所に入り込んでいく。少し緊張しているようだが…
程なくしてパタンと扉の閉まる音が鳴った。
「お兄ちゃん入って良い?」
「ドラム缶が少しネコメちゃんには深いかもだから、ゆっくり気を付けてね」
「うん」
注意通り静かにゆっくりと入ったのか音がしない、大丈夫か?
「ネコメちゃん大丈夫かな?」
「うん、大丈夫」
返事があった、良かった。
「お兄ちゃん凄いね、こんなの作って」
「いや、これは皆が助けてくれたからだよ」
「私も?」
「もちろん」
「えへへ、嬉しい」
ネコメは口数少なく自信なさ気にしてしまうが感情表現はしっかりしている、縁には可愛らしい妹のように感じネコメも自身をお兄ちゃんと慕ってくれる。
「ネコメちゃん、あれからネットの調子とか大丈夫かな?」
「うん、ちゃんと動いてるしお掃除の時は線に気を付けてる」
「良い事だ…ネコメちゃんはネット繋いで、その何してるの?」
少し不思議に思っていた事を聞いてみた、ネコメのような世代の子が一人で幽荘のようなとこで生活をしている。
側からみれば異様に思えてしまうのだ。
「最近は学校のオンライン授業に出たりしてるよ」
「学校…オンラインで受けれるんだ」
「うん、ちゃんと単位取り切れば高校卒業の資格貰えるの」
「頑張っているんだねぇ、俺も頑張らないと」
「えへへ、お父さんとお母さんが亡くなってるけど皆が居るから頑張れるの」
縁はドキリと身を固めた、あまり触れないようにしていたがネコメにはやはり親が居ないのかと知る。
「そっか…本当に頑張ってるよネコメちゃんは」
「うん、私卒業したらもっと勉強して幽荘の管理人さんになるつもりなの」
「え?ここの管理人…?」
「それまで資格も取らなきゃいけないけど、外の世界にも目を向けるんだって狐音さんがオンライン学習を勧めてくれたの」
「そうなんだ、狐音さんはびっくりするような事が多いなぁ」
「狐音さんは皆の事を大事に想ってる」
「うん、俺もそう思うよ」
「だから狐音さんみたいな大人になりたい」
「そうだね、それならまず高卒資格からだ、俺も頑張るから競争だね」
「うん!あ、もう上がって次の人呼ぶねお兄ちゃん」
「ああ、ありがとう」
壁越しに鼻歌が聞こえる、どうやらネコメは上機嫌な様である。
しかし、意図せずに知ってしまったネコメの両親の事は皆知ってる事だったのだろうか。
ネコメ自身は受け入れた状況で前を向く姿勢であったが。
こんな時上手く励ましてやれない自分に情けなさを感じる縁であった。




