打ち合わせ
打ち合わせは本格的なものとなった。
ヘビメ主導の元、温泉周りの土台となれるスペースの計測から壁の現在の高さから理想の高さまでの差異。
とにかくまずは素人ながら測れる所を測り出し完成系イメージを詰めていく。
脱衣所は近くに欲しいと要望を出したら「材質は?」と聞かれて、そこまでするのかと思ってしまった。
なんとなく「調理場みたいな丸太小屋」と答えておいたが「考える」で返される。
ヘビメは大きな紙にスケールを使い線を引いていく、更に温泉の上から見た図も軽やかに描いていく様は芸術家と言うより職人である。
「あの、ヘビメさんすごいですね…空間を把握してると言うか図面に起こす能力と言うか」
「昔親に仕込まれたのよ、絵や彫刻でも活きてるわ」
喋りながらスラスラ描き進めて雛形が完成したようだ。唸る程に見やすく綺麗だし細部に縮尺の数字も沢山入ってる。
「さて、後は送るわ」
送る?コレを?どこで?
「ネコメの家行くわよ」
「ネコメちゃんの?」
なぜと聞く前にもう動き出しているヘビメを追いかけネコメ宅へ。
コンコン
「ネコメ、スキャナーとパソコン貸しなさい」
…凄い暴君感
「あれ?ヘビメちゃんにお兄ちゃん」
「幽荘温泉改造計画の始まりよ」
「ふえ?」
ぽわぽわと何の事かわからないネコメには後で説明しよう、構わず入ってるヘビメは書き上げた図面をスキャナーに通しパソコンを触ってる。
少しカタカタキーボードを叩いたと思ったら「よし」と一息吐いた。
「あの、何をしたんですか?」
「ん?業者にデータ送って見積もり取るのよ」
仕事が早い…管理人の自分出る幕が無さすぎる。
「返事は夜までに来るわね、アタシデザイン考えるから」
そう言って自宅に戻ってしまった、ネコメは不思議な顔で見てくる。
「ネコメちゃんじつはね――」
「――へ〜温泉改造なんだ、プールも欲しいな」
「あー…それはまた相談してからね…」
とりあえずは脱衣所が出来れば良い、皆の要望を聞き出したらえらい事になりそうだ。
一応計画の進みを狐音に報告しておこう、二日酔いでフラフラだったが…
コンコン
「狐音さん動けますか?」
ガチャと開いたドアから割と元気そうな狐音が姿を見せる、色々見えそうな危うい姿だが慣れてきてしまった。
「おお、ヘビメから聞いたぞ!確かにヘビメのツテがあったのを忘れておったわい!」
「そのツテが僕わかりませんが図面も引いて見積もりまで取ってましたよ」
「なーに心配いらんよ、調理場の丸太小屋に柵まで付けてくれた職人さんじゃ」
あの幽荘で一番立派な建物建てたとこなのか、期待しても良さそうだ。
「ウチに来る資格もあるし何で忘れ取ったんかの〜」
多分二日酔いのせいです、とは言えないのでただ笑っておいた。




